スキーム

旧来技術によるアニメの作り方とその完成物と、未来の新技術によるアニメの作り方とその完成物では、同じ「絵が動いて映像作品を形成」するとはいえ、絵の描き方から塗り方、映像の画面密度や色彩や時間解像能まで、何から何まで違うので、ひとくくりで考えるのは難しいです。


「アニメ制作スキーム」を比較すると、両者はまるで異質です。もはや、別物と考えた方が、話は早いでしょう。

 

 

旧来のアニメ制作技術においては、とにかく膨大な何千何万もの枚数を描いて塗らねば成立しません。ゆえに、1枚絵に所要する作業時間や、全体の作業人足が、コストを大きく上下させます。現在の作業単価は、その制作技術上の特性の強い影響を受けています。

 

新しいアニメ制作技術は、枚数を今までのように膨大に描く必要はありませんが、高密度の4Kに相応の美麗さ・繊細さを表現するため、1枚絵にかかる負担は比例して重くなります。

 

つまり、お金の使い所が大きく変わります。

 

今までの原動仕のシステムの上に、4K60pHDRの新しいアニメーション技法は運用できません。4K60pHDRは新時代の制作スキームが必須です。そのスキームは当面は「内製化」によって実現することになるでしょう。

 

これは逆に言えば、今までの原動仕のシステムでは、4K60pHDRには対応できないことも暗示します。60pHDRはこの際抜いても、4K映像フォーマットを活かす絵作りは、旧来のスキームではかなり難しいです。金が破綻するか、人間が破綻するか、どちらか1つです。

 

 

そもそも未来の4Kに、アニメが合わせる必要があるのか。

 

それはアニメ制作者サイドが決めることではなく、未来を生きる人々が決めることです。理屈ではなく、直感的に、未来の人々が‥‥です。

 

 

私らは去年、アップコンなしのネイティブな4K60pHDRのアニメーション映像を作りましたが、2K24pSDRと比較してみて、そのあまりの品質の格差に、我ながら愕然としました。

 

そのあまりの差を、映像の専門職ではない一般の人々が見たとしても、気づかないわけがない‥‥と私らは確信しています。

 

実際、4K60pHDRと2K24pSDRを比較してデモすると、ほとんど全ての人が映像品質の差異に驚きます。今まで見てきた映像が、画面密度が1/4でボヤけて不鮮明で、24pで動きがフリッカーのように見え、Rec709で色が濁ってヌケが悪いのを見ると、みなさん、「こんなにハッキリわかるんですね」と言います。

 

 

ただ、私は4K60pHDRに全てのアニメが移行すべきだとは思っていません。

 

むしろ、世界には、色々なアニメがあって良いと思います。

 

アニメの作り方や表現が4K時代に全て染まる必要はないですが、同時に、1970年代のテレビアニメの延長線上で支配されるべきではない‥‥とも考えます。

 

今までの慣習や愛着でアニメの可能性を封じて束縛するのではなく、新たな美しさと楽しさをもって、アニメ映像表現の可能性を大きく広げたいです。

 

私が少年時代にみたアニメから、4K60pHDRの新時代のアニメまで、古今東西色々なアニメの選択肢によって視聴者を魅了するのが、まさにアニメーション制作従事者としての私の理想です。

 

 

 

 


煽る

私がブログを書く理由や拠り所は色々ありますが、「煽りたい」というのは確実にあります。

 

え?煽ってんの? ‥‥と思う人もおられましょうが、少なくとも穏便にはしていないつもりです。

 

穏便にし続けた結果が今の業界のありさま‥‥ですから、私は穏便に体良くまとめるより、煽りたいわけです。

 

 

 

同じ業務ばかり繰り返す限定された閉鎖空間にいると、その状況が世界の全てのように思えることもありましょう。特に経験の少ない若い人ほど。

 

でもね。そんなわけ、ないじゃん。作画のフロアは単なる作画のフロア。撮影のフロアも単なる撮影のフロア。自宅の作業場所はただの自宅。‥‥それは、世界の全てじゃないよ。‥‥というのが、今回の「煽り」です。

 

 

 

アニメに限らず、色々な映像制作に関わり、様々な現場の気風を体験すると、いかにアニメ制作現場が「いち作業現場」でしかないかを痛感します。映像制作に関わる人間が、すべてアニメ現場の人々と同じ思考や気風をもっているわけではないのです。

 

私は前々から、アニメ関係者のツイッターのプロフィールにおける、「底辺」「三流」「へたれ」「へっぽこ」のような語句を自ら用いる文面に、アニメ業界人独特の共通点を感じています。

 

もちろん、そうでない人も多いですが、一方で、自虐的な語句を自己紹介に並べる人も多いようです。

*でもまあ、ツイッターは全員参加ではないので、全体の割合と見るべきではないとは思います。

 

まあ、普通に考えて、「底辺」「三流」を自称する人に、(少なくとも知り合いでなければ)仕事は出しにくいですよネ。良い条件の仕事も依頼しにくくなります。

 

私があまり目にしないだけで、日本の謙遜の文化、照れ隠しの文化なのか。それとも、アニメ業界特有なのか。

 

でも、アニメ業界以外〜実写や3DCGで、そうした自虐語句をしたためる作業者・クリエーターは、会った記憶がないです。人となりの差はあれど、技術と経験による自信が伝わってくるような雰囲気をもっています。

 

 

これはなにも、自分を必要以上に、何倍も盛って、喧伝するのが良いと言っているわけではないです。自分の技術と経験を素直に文字として表現すれば良いだけです。

 

一番怖いのは、事前に「底辺」とか「三流」などの自虐語句を並べることで、「うまくいかなかった時の保険」を自分自身にかけるような構造ができることです。

 

やっぱりさ‥‥映像制作における表現技術って、自分の能力を発揮すること、そのものじゃん? そこで逃げ癖をつけてしまったら、品質の対価としての報酬は低いまま‥‥なんですよ。

 

逃げ癖ではなく、単に照れ隠しだとしても、それはそれで、自分の経歴紹介の一文としては非常に紛らわしいし、初見で損をするように思います。

 

謙遜は日本人の美徳だとは思います。しかし、いき過ぎた謙遜=自虐は、プロの現場においては思わぬ誤解や低評価を受けるように思います。アニメ制作工程1セクションの閉鎖空間なら自虐ネタも仲間同士で通用するかも知れませんが、映像制作ジャンル全般で言えば、自らディスカウントして低評価を呼び寄せるような行為とも言えます。

 

 

以前、アニメや実写や3DCGなど色々な仕事に関わる人が、「アニメの作画の人たちって少々卑屈にみえる」と言ってて、作画出身の私は心の奥でショックを受けたことがありました。

 

卑屈‥‥かあ‥‥う〜ん‥‥‥。楽しい人も多いけどなあ‥‥。なぜ、そう見えたんだろう‥‥。現在のアニメ業界の単価からくる低賃金ゆえの、何か日常生活的な鬱屈が、全体像の雰囲気として表に出てるんかなぁ‥‥と、色々思い悩んでしまいました。

 

確かに、金の無さ、貧乏は、人を変えます。悪い方に。‥‥私もフリーアニメーター100%だった20代の頃に破滅寸前まで追い込まれたから解ります。アパートのインフラが全て止まるような極貧に陥れば、卑屈を通り越してヤバい精神状態にもなろうと言うものです。

 

でもだからといって、自分自身で「底辺」「三流」と口に出してしまったら、どうにもやるせない‥‥と私は思うんですけどネ。

 

 

 

で、最初に戻って、私としては「今の状態を、自分の世界の全て」にして良いのか、「煽り」たいわけです。

 

他人に口無し‥‥になりやすい業界だからこそ。です。

 

アニメの、特に作画の閉鎖空間にいると、外部の気風も価値観も心意気も、全く触れる事なく、ある種の自己洗脳状態に陥っていきます。

 

でも、アニメは、映像作品ジャンルの1つであり、もっと他の映像作品ジャンルから色々な刺激を受けても良いはずです。アニメーターは萌えキャラの線画だけA4用紙や2Kで描いてれば良いのか?‥‥ということです。もっと他に描いてみたいもの、動かしてみたいもの、そしてそれを作品・商品として売り出したいとは思いませんか。

 

誰かが率先してくれなければ、自分は行動できない。‥‥なんて言ってると、何も変わらんです。

 

 

私がコンピュータによる映像制作にどんどんのめり込んだ時期の、Appleの「Think different」広告キャンペーンで、私の好きな一節がありますので、Wikipediaから引用しておきます。

 

 

Here’s to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes.

The ones who see things differently. They’re not fond of rules. And they have no respect for the status quo. You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them.

About the only thing you can’t do is ignore them. Because they change things. They invent. They imagine. They heal. They explore. They create. They inspire. They push the human race forward.

Maybe they have to be crazy.

How else can you stare at an empty canvas and see a work of art? Or sit in silence and hear a song that’s never been written? Or gaze at a red planet and see a laboratory on wheels?

We make tools for these kinds of people.

While some see them as the crazy ones, we see genius. Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do.

 

(大意)クレイジーと呼ばれる人達がいる。不適応者、反抗者、トラブルメーカーと呼ばれる人達たち。四角い穴に丸い杭を刺すような物事をまるで違う目で見る人達たち。

違った見方で物事を見る連中。彼らは規則を好まない。現状維持なんて毛頭も考えていない。彼らの言葉を引用することも、同意しないこともできるし、奴らを持ち上げることも、こき下ろすこともできる。

おそらく唯一君ができないことは、連中を無視することだ。奴らは物事を変えるのだから。連中は発明し、想像し、癒し、探究し、創造し、ひらめきを与える。奴らは人類を前進させるのだ。

きっと奴らは、いかれずにはいられなかったのだろう。

そうするほかに、真っ白なカンバスに芸術作品を見いだす術はあるのか? 沈黙の中に誰も書いたことがない歌を聴く術はあるのか? 赤い惑星を見つめて車輪付きの研究室を考え出す術はあるのか?

私たちは、そういう種類の人間のための道具を作っている。

彼らをいかれた連中と見る人もいるが、私たちはそこに天才を見ている。世界を変えられると考えるくらいいかれた人々は、世界を変えていく人たちなのだから。

 

 

 

そうすネ。

 

2018年の今だからこそ、Think differentでいきましょう。

 

 

 

 


人、技術、金

もし、今後、4K24インチクラスの液タブに盛り込む要素があるとすれば、

 

  • 有機ELの締まった色彩
  • HDRでBT.2020に対応
  • 120Hz以上のリフレッシュレート

 

‥‥ですかね。

 

有機ELはまだまだこれから値段がこなれる技術でしょうが、絵を描く際に黒が締まってキリッとしているのは、絵の内容確認の点で有利です。実際、ラボやポスプロの製品プレビューチェックで、マスモニと併設した有機ELテレビで見ることが多くなっています。

 

HDRは輝度(カンデラ)を抑えめに設定して、彩度の広がりだけを活かせば、絵を描く時に有用でしょう。BT.2020に対応できる基本性能は、これから必須となるように思います。

 

絵や映像を鑑賞するだけなら60Hzでも良いのですが、絵を描く時には120Hz、将来的には240Hzくらいは期待してもバチはあたりません。筆致を描画するフレームレートが高ければ、より生っぽい感覚で描けるようになります。

 

 

 

しかし、これら未来の妄想をぬきにしても、「作画環境はお金がかかる」ようになります。新人一人あたりのイニシャルコストは100万円くらいは普通にかかるように思います。

 

4K対応のマシンと液タブだけで、70万円ですもんネ。ソフトウェアや周辺機器は全く計上していない段階で、です。しかも、一度買った機材はそのままでは済まず、メンテと機材更新を続けなければなりません。

*4Kタブレットやモニタを買うだけでは済まないのは、コンピュータにちょっと詳しい人ならお判りですよネ。4Kのモニタと液タブのマルチモニタ環境は、言わば2Kモニタ8枚分です。4Kモニタを複数接続できる、ビデオ性能の高いマシン、そして4Kの映像を再生できる高速な記憶装置とCPU‥‥なんて、現状のアニメスタジオの「デジタル」機材の性能とはあまりにもかけ離れています。

 

 

 

でもそれは、「作画」の人材の根底意識を見直す良い機会だと思います。

 

人をひとり雇うために機材費だけで100万円はかかるようになるわけですから、使い古しの作画机に新人を座らせて済む話ではなくなります。

 

新人の時代で100万円をまず初期投資して、さらに当人が仕事を続けていく間には、ソフトウェアの更新やサブスクリプションの維持費、5〜6年周期のマシンの入れ替え、さらなるソフトウェアの追加購入‥‥など、お金はどんどん必要になります。

 

これはすなわち、どういうことかというと、「仕事を通じて人間が成長して、作品制作に貢献する」ことを見込まなければ、スキームは成り立たない‥‥ということです。

 

 

 

アパートを借りて作画机を並べてアニメ作画スタジオだ。上手く育つかどうかは本人次第と運次第。‥‥というのは、昭和と平成の古い時代感覚です。

 

今後は「人材」に対して「採用する側」も「採用される側」も格段にシビアな意識が求められます。

 

 

 

作画する当人、仕事を引き受ける側は「アニメが好き」とか「好きなキャラが描いてみたい」なんてことばかりに終始するのではなく、様々な映像全般の知識を習得して、自分の「価値」を高めなければなりません。自分は数百万の最新機材を使うに値する人間だ‥‥と平然と言いのける技術と経験と度胸を、作画の人間も持つべきでしょう。

 

採用する側、仕事を出す側も、「人間こそが技術」ということを今一度認識すべきでしょう。アニメ業界にありがちな雑な人材採用と人事は、結局は自分らの窮状を生み出し続ける元凶とも思えます。「技術を使いこなす人間がいるから、不可能と思えた事が可能にもなる。人こそが状況の可否を決める」と改めて心に留め置くのがよろしいです。

 

 

 

せっかく育った技術と人材が、途中で失われるのって、作品制作現場のとんでもない大損失です。

 

人間を失ってしまったら、どんなに高価な機材を揃えても意味がありません。

 

優秀な人材と性能の優れた機材、そしてそれらを現場で運用するノウハウの3つが揃って、高技術レベルでブランド力のある制作集団が形成されます。

 

 

 

まあ、だから、それには、「金」‥‥‥ですネ。

 

金、金、金、です。

 

金を避けて、先には進めません。

 

でも、金は「可変」で「ダイナミック」です。お金は一律ではなく、良い条件と悪い条件は往々にしてあります。

 

うまいこと技術力をブランド力へと転化できれば、ブランド力ゆえにお金の面で有利になり、さらに技術力を高めてブランド力を一層高めることもできます。

 

 

 

どこの世界に、安かろう悪かろうで買い叩かれるのを望む人間や集団がいるでしょうか。

 

でも、安かろう、悪かろうの仕事を続けていて、お金だけはいっぱい欲しい‥‥なんて通用しません。

 

逆も然りで、安い金で高い技術力は導入できません。

 

 

 

人は技術を為し、技術は金を為します。そして金は人を為します。

 

つまり循環します。

 

ふとした意識がきっかけで、下降していく循環構造と、上昇していく循環構造とで、命運が分かれます。

 

どちらの命運を選びたいか。

 

‥‥まあ、少なくとも私は、上昇するほう‥‥ですネ。

 

 

 


動きの知識

どんな方法を用いたとしても、絵を動かして映像作品を作るわけですから、絵を描くことと動かすことは、基本の技術として必須です。

 

昭和40年代生まれの私の同世代で、特に東京近辺に在住する人は、小中学生でマンガやアニメを模写してパラパラ漫画にも熱中し、高校生になる頃にはぼちぼちバイトで動画を経験し、状況によっては先輩の監修のもとに原画も何カットか作業し、高校卒業と同時に原画‥‥みたいな経歴は、さして珍しくないことでした。そういう人は何人も知っていますし、私もそうした「お定まりのアニメーター」コースでした。

 

しかし、都心近郊に住んでいない人は、上京してからのキャリアになり不利です。ゆえに、相当の覚悟と頑張りが必要なのでしょう。私の周りの巧い人たちは、北海道出身の人が多いのも事実です。

 

また、学校であまり絵のうまさで目立たなかった人でも、動画を経て原画になったほんの2〜3年で、メキメキとうまくなっちゃう人もいます。制作上がりの作監の人も知っていますし。

 

でも、どの場合も、絵が描ける人間としての「何か」が当人にあって、なるべくしてなった‥‥と思います。

 

当然のことですが、絵が描けないのに絵を描く仕事には就けないし、動きが判らないのに動きに関わる仕事にも就けません。それは誰でもわかるはず‥‥なんですが、「デジタル」のバイアスが、そうした正常な見識を鈍らせることは最近よく見かけます。

 

どんなに「デジタル」の道具を揃えても、絵も動きも上手くはなりません。ソフトウェアの機能をコレクションして、本人の技術が向上するのなら、それほど楽なことはないもんな。

 

「デジタル」〜コンピュータは、傲慢な技術的弱者を勘違いさせるための道具ではないはず。‥‥です。

 

 

 

絵を動かす?

 

だったら、それこそ、小中学生の頃から、描けば良いんですよ。

 

道具?

 

コピー用紙1000枚とLEDのA4ライトボックス。合計3千円。それでパラパラアニメを描けば上達します。

 

 

 

技能を習得する年齢は早ければ早いほど良いです。そして絶対的な練習量は必要です。

 

最初からタブレットで少ない枚数をチマチマ描くよりも、千枚規模で紙でガシガシパラパラめくって描いたほうが、確実に、動きは上達すると思います。特に、子供の頃は。

 

 

 

私は全ての工程をコンピュータで作業する新しい技術基盤を主力に据えていますが、決して、「デジタルで何でもできて楽」とは思っていません。むしろ、逆。

 

動きの知識を体内に叩き込んだ前提で、そこからさらにコンピュータの流儀に合わせて動きの技術をデータへと噛み砕かなければなりません。絵で描いて動かして作業完了‥‥よりも、格段に難易度が高い技術、および冷静な視点を要求されます。「自分の感覚に甘えて」いるだけでは、コンピュータ上においてデータとして表現できないですからネ。

 

 

 

しかしまあ、A4の薄型トレス台が、アマゾンの特価セールで1850円か。

 

機材はこんなに入手しやすくなったのに、生身の人間の技術は相乗的に向上しているんですかね。

 

むしろ、機材が貧相で、渇望していた時代こそ、人々の技術はその渇望感ゆえに成長が促進されたのかも知れない‥‥と思う昨今。

 

 

 

成熟してしまった旧来のアニメ技術は、特に、渇望感は希薄かも知れません。

 

飢餓感、閉塞感、行き詰まり感‥‥はあるでしょうが、それって、技術発展的なことよりも、お金の問題にウェイトがかかっていますよネ。

 

技術的には、全域を埋め尽くすほどの、マンネリ感。

 

マンネリ化した先にあるのは、緩やかな老い、そして死です。

 

 

 

若い世代は、本当に、旧世代と共に「殉死」したいのかな。

 

新しいこと、クレイジーなことを、やるべきなんじゃないですかネ。動きの技術ひとつとっても。

 

 

 


ペン

最近、iPad Proでこなす仕事が増えて、Procreateのペン設定をチクチクいじっているのですが、さっと描くスケッチにちょうど良いペンの設定が作れて、ちょっと嬉しい気分です。

 

リアル筆記具の時代は、信頼してやまない鉛筆やシャーペンの銘柄があったのですが、ProcreateのようなAppですと、いかに自分に合ったペン設定を作れるかがミソになります。

 

軽い筆圧が基本で、色は濃く出て、筆圧で入り抜きや太さが自由にコントロールできる‥‥というのが、私のラフ描き時のベストです。濃さが足りなくて、何度も線をなぞるのは、時間の無駄になりやすいです。

 

Procreateはペンの設定項目が数多くて、なかなか自分の欲しいペンが作れないのですが、今回は「ウォーターペン」というプリセットからカスタムしてみたら、それが妙にハマりました。

 

こんな感じです。

 

 

 

ペンの設定だけで作業効率は上下します。描きにくいペンでは能率は上がりませんよネ。

 

下手に鉛筆系のプリセットからカスタムするよりも、普段は使わないような意外なプリセットからスタートして各種設定をいじったほうが、結果的にしっくりくる事が多い‥‥のを、最近発見しました。

 

「ニッコラル」とかペイント系のペンをカスタムして、濃い鉛筆のようにも使えますしネ。

 

 

 

 


Cintiqの24インチ

‥‥が、発表されましたネ。4Kで24インチは、解像度と面積だけでも、十分魅力があります。一般的な作画机と同等の画面の広さはもはや文句のつけようがないです。大きすぎるのなら、小さく使えば良いだけですもんネ。4K解像度があれば、絵がボケずに済みますしネ。

*最初、24インチのガラス面積なんて記憶にない‥‥と書きましたが、目の前の白い作画机は27インチくらいありましたわ。‥‥なので訂正。

 

タッチ機能付きで31万。‥‥まあ、液タブの市場と需要を考えれば、妥当な値段だと感じます。

 

本体の厚さもかなり抑えているように見えます。私は液タブスタイルのスタンドで傾斜させて描くのが、どうも性に合わないのですが、フラットになるように机を加工するなど工夫すれば、理想のポジションを得られるかも知れません。

 

Wacom製品の場合、まずは1にも2にもドライバですネ。昔から言われている問題で、たまに悩まされることもありますが、どうにもならないほど苦労したことは、私はないんですよネ。ただ、業務においてタブレットが正常に動作しないと「営業に関わる」大問題ですから、優先度が高いことは確かです。

 

製品をイジってないので分かりませんが、気になるのはタッチ機能の精度や使い勝手と、何よりも「熱」はとても気になります。

 

タッチ機能はもはや「無いとありえない」くらい重要です。手に持つのはペンだけにしておきたいので、定番ジェスチャはもちろんのこと、3本指や4本指のジェスチャでカット&ペーストやアンドゥ・リドゥが即座にできるようでないと、いちいち面倒です。人差し指が消しゴム‥‥というのも手放せない機能ですが、それらのジェスチャをちゃんと捌ける精度があるか、実機を試さないとわからないですネ。

 

あと「熱」ですが、私は過去にWacomの液タブを熱が嫌になって使わなくなった経験を持つので、発熱問題も重要です。実は以前にMobile Studio Proの試験機で試した際に、「暑ッッ」と感じたことがあります。おそらく、ディスプレイの熱に加えてCPU関連の熱もプラスされているのか、余計熱かったのかも知れませんが、今度のCintiqの24インチはほとんど熱くないと嬉しいな‥‥。

 

 

逆にさほど気にしていないのは、レイテンシーですかネ。レイテンシーゼロがどうしても欲しければ生のペンや鉛筆を使いなせぇ。現代の常識的なレイテンシーなら、受け流せます。

 

‥‥いやほんと、ぶっちゃけ、絵って、芯の先の描画を目で認識しながら描くんじゃなくて、ある程度の予測値で描くじゃん? 超細密ペイントの場合は、実体顕微鏡を覗きながら筆致と塗料をリアルタム応答処理する描き方もありますけど、普通はもう頭の中で筆跡の軌道は見えてて、あとは誤差修正だけですよネ。‥‥なので、よっぽど反応が遅く無い限り、レイテンシーは許容できるはずですし、単に「たまに遅れることがあってキモチ悪い」感触なだけですヨ。

 

レイテンシーに限らず、4Kで快く描くためには、本体PC/Macの性能のほうが問われると思いますしネ。

 

 

24インチのCintiqは、期待のほうが上です。4Kの24インチ液タブが出たことを素直に喜びたいです。4Kで24インチあれば、少なくとも10年くらいの期間は、決定版と言えます。

 

 

ただねぇ‥‥、個人的な運なのかな‥‥とは思うんですが、Wacomの液タブは何種類か実際に使って、ホントに、良い思い出がなくてね‥‥。悪い時代の製品をたまたま立て続けに掴んだのか、よくわからないんですが‥‥。

 

板タブは今でもWacom以外にはないと思っているほど信頼しています。

 

液タブ運が、たまたま悪いのかな‥‥。

 

 

でも、未来の4K映像制作には、こうした24インチや32インチで4K以上の液タブは必須です。2K程度で24インチとか2.5Kで27インチだと、正直、線はボケます。ずっと使っていると麻痺して気にならなくはなりますが、線のリアルさはppiでイヤラしいほど上下します。

 

ボケた線では、4Kの映像など作れません。何が4Kで可能かも意識できません。

 

5KのiMac、iPad Proが登場して、ようやく私らもリアルな4Kアニメーション制作を実践できるようになりましたしネ。

 

なので、Wacomの4K 24インチの出来が良いといいなあ‥‥。

 

新時代のツールがもう1つ揃いますもんネ。

 

 

 

 


PythonとSwift

ドローソフトやコンポジットソフトで映像を作っているだけのシステム作りは、言わば「木材で屋敷の外見を組み立てているだけ」に過ぎません。電気や水道、ガス、空調など、目に見えない部分を手付かずで放置したら、トイレで用を足すこともできないですし、夜になれば真っ暗にもなります。

 

現場のシステムを作るには、目に見えない部分も構築する必要があります。

 

アニメーション制作の屋台骨を支えるシステムが必要です。‥‥このブログで度々出てくる話題の「システム開発」です。

 

最近は、映像の中身の開発に主力を注いでいたこともあり、作業システムの開発に関しては、2000年代に作ったシステムを流用し、足りないものだけを継ぎ足し開発するにとどまっていました。消極的なスタンスが数年以上続いたわけです。

 

しかし、これから先、新技術を本気で体系構築しようと思うのなら、開発は必須です。自分らの思い描く絵や映像を作ろうと焦っても、その足場を支えるシステムの土台がなければ、空回りして無駄な労力を浪費するだけ‥‥なのは、2000年代の経験で重々承知しています。

 

 

‥‥となると、何よりもまず、どんな開発言語をこれからの主力にすべきか‥‥が先決です。

 

私はしつこく、AppleScriptのライブラリを使い続けてきましたが、これから先、AppleScriptが陽の目を浴びるとは到底思えません。むしろ、macOSの「盲腸」みたいな存在ですらある‥‥と感じます。

 

AppleScriptもAdobeのESTKも、それはそれで、今後も使い続けるでしょうが、これから先に新規にmacOSで開発をやるのなら、SwiftとXcodeでしょう。その辺は、Appleのロードマップに準じていけばよろしかろう‥‥です。

 

ただ、SwiftはやはりApple主導。

 

いちまつの不安は残ります。何か、クロスプラットフォームの言語でも開発を進めたいと思っています。

 

そこでPython

 

恐ろしいヘビのことか‥‥と思えば、開発者さんによると、どうやらモンティパイソンのパイソンだとか。

 

 

 

 

私に限らず、制作さんやアニメーターやコンポジター、もしかしたらペイント作業者(仕上げさん)や美術さんが、やろうと思えばやれる言語ってなんだろう‥‥と、ずっとウツラウツラと考えてきて、最近はPythonあたりがちょうど良いのかな‥‥と思うようになりました。

 

プログラミングは一見難しい印象が強いですが、実際にやってみると面白いからこそ、世界中にユーザがいるのです。男女関係なく、ハマる人はハマると思いますヨ。

 

今まで苦労して手作業で処理していた雑事が、あっという間に自動処理で片付くのって、プログラミングの醍醐味の1つです。

 

私もボチボチ、Swiftと並行して始めようと思います。新しい現場システムの構築を見据えて。

 

 

まさに‥‥

 

 

‥‥ですネ。

 


用紙のサイズ

そもそも‥‥ですが、従来の一枚ずつ描いて動かすアニメーション技法は、その枚数の膨大さから、「省力」作業計画が原点です。ゆえに昔から、絵柄を省略するなど、様々な工夫が盛り込まれてきました。

 

もし、原画一枚、動画一枚をアニメーション素材ではなく「絵として」評価するのならば、まず何よりも「絵のサイズが小さい」ことが挙げられます。

 

A4サイズのさらに内枠に描かれた絵は、一般的な絵画基準でいえば、「小品」の域を脱し得ません。B4〜A3相当のスケッチブックですら、携行性を考慮した「コンパクトサイズ」です。A4用紙は絵画作品基準ではかなり小さい部類に属します。

 

しかし、アニメ現場でA4用紙ばかり扱っていると、その用紙サイズが小さいことを忘れがちです。

 

 

 

前々回に書いたブログ記事では、4K時代の作画を意識するのなら「鉛筆に対して用紙サイズが小さい」と書きましたが、単純計算で、2KでA4用紙なら、4K映像では面積比4倍のA2になったとしても不思議ではありません。記事の繰り返しになりますが、実際、私は分割作画でA2相当の紙の作画を実施する準備もしていました。

 

しかし、1話で数千枚を作画する現場にとって、まさかA2用紙なんて、有り得るはずがないです。先述の通り、「省力」が原点のアニメ技法なのですから。

 

私が分割作画でA2用紙相当の大きさを描いたのは、あくまで新しいアニメーション技術基盤=絵の内容をことさらに省力する必要がない技術ベースでの話であって、標準で数千枚を生産する旧来現場の技術とは全く異なるからこそ、チャレンジしたのです。もし、従来技術のままでいくのなら、私とて、A2用紙の分割作画なんて考えるはずもないです。

 

旧来から技術を受け継ぐ現場にとって、スタンダード用紙の拡大は、実質的には運用不可能です。B4用紙くらいが限度でしょう。

 

「いや。A3のスキャナがあるから、A3用紙まではいける」と思う人もいましょうが、その大きなA3用紙の動画作業をまさか200円ちょいで受発注するつもり? ‥‥‥無い無い無い無い、ですよネ。

 

 

以上を考えるに、今までの現場は、A4用紙サイズ(4:3時代もほぼ相応の面積)だから、バランスしていた‥‥と言えます。まあ、正常にバランスしていたかは色々お考えもありましょうが、A4用紙に描けるサイズだからこそ、まだ何とか収まっていたのです。

 

実際、B4用紙を使う劇場作品は、用紙の大きさ(と、その用紙の大きさに見合う中身)ゆえに、「劇場単価」で作業単価が高く設定されていたことを思うと、用紙サイズというのは単に面積の数値だけでは語れない問題であり、お金の話も当然絡んできます。

 

例えば、画家への「制作依頼」や「作品購入の目安」には、画家としての評価・認知度によって異なりはしますが、「号=何万円」みたいな費用や価格の基準が付記されていることがあります。絵のサイズが大きくなれば、絵の値段も上がるのは、一般的なことです。

 

 

つまり、旧来の現場において、用紙サイズが変わると、一気に作業のコストバランスが崩れても然り‥‥ということです。

 

 

一方、社会的な映像技術の流れは‥‥

 

白黒のSD

カラーのSD

SDRのHD(2K)

HDRのUHD(4K)

 

‥‥と、歴史の中でみれば、4K映像フォーマットが「ありふれた正常進化」の延長線上にあることが読み解けます。流れの中で、突如、4K時代だけが来ない‥‥なんて考える方がイレギュラーです。当然の予測として、2020年代から世間は4Kに染まり始めるでしょう。

 

つまり、遅かれ、はやかれ、やがてアニメも4Kの波に晒される‥‥ということです。

 

 

アニメはまさに、時代とともに生きてきました。

 

過去、時代に足並みを合わせられず、脱落して消えていった娯楽メディアを横目で見ながら、今まで進んできました。

 

そんなアニメが、「新しい時代は都合が悪いので、社会の流れとは無縁でいく」路線に転じた時、果たして、未来社会においてアニメはどのような運命を迎えるでしょうか。‥‥考えるだに、悲しいですネ。

 

社会はアニメにだけ特別に、時代遅れに関して寛容でいてくれるでしょうか。‥‥まあ、ないですよネ。そんな特別待遇は。

 

 

*8Kはともかく、4KのUHDは、多くの人が持ち歩いている最近のiPhoneで動画撮影できるほど、今や身近です。私もiPhone8ですが、私の周囲の人々のほとんどが、4K撮影可能なiPhoneを所持しています。

*SDのS=スタンダード=標準‥‥という命名も、Full HD=フル=いっぱい‥‥という命名も、今となっては形骸化も甚だしい‥‥ですわな。

 

 

 

 

では、今の作り方=A4用紙を150di前後でスキャンして二値化してペイントする方法は、4K時代に耐え得るのでしょうか。

 

それは「絵柄による」と思います。ディテールを極力省いたシンプルなデザインで、ニュアンスの負荷の軽い線質ならば、4Kへのアップコンもキレを保ったまま可能でしょう。

 

しかし、例えばブルーナのミッフィのような単純化したキャラの作品は、日本では数えるほどです。まあ、それらはどれも国民的アニメではありますが、作品数でいえば、極めて少ないですよネ。

 

日本のアニメの多くは、線質が重要となるニュアンス重視のキャラの趣向がほとんどです。

 

皮肉なのは、日本のアニメは線質が重要であるのに、現在はA4用紙の低解像度スキャンの二値化によって、線質が阻害されていることです。

 

 

*例えば、上図のような線の先端が‥‥

 

 

*上図のような150dpi程度のスキャンと二値化とスムージングを経ることで‥‥

 

 

 

*上図のような線の先端へと鈍ってしまいます。

 

 

*比べると一目瞭然ですネ。

 

*早合点しないでおきたいのは、これはあくまで「プロセス上の特性」だということです。二値化で作業することで格段に作業効率は向上し、ゆえに今のアニメ(特に深夜枠)の根底を支えています。現在の制作事情において各方面に動仕をバラ撒いても、一定の線のニュアンスで統一できているのは、二値化&スムージングのプロセスが貢献しています。

*ですから、線質のニュアンス損失を、ペイント工程作業者のせいにしたり、二値化を感情的に悪者扱いするのは、避けましょう。後述しますが、「今までの技術が、未来の技術レベルに対応できなくなる」と見るのが相応しいです。

 

 

私は仕事柄、色々なアニメ作品のマスター映像(家庭向けに品質が落ちていない最良の状態)をカラーマネージメントモニタで見ますが、どんなに美麗な映像でも、「線質」が全てを「旧時代の産物」レベルに押し留めているのを痛感します。毎日、一般的作業フローのアニメを見続けている人は「麻痺」するかも知れませんが、4Kアニメ映像に限らず実写映像でも4Kを日常茶飯事に見ている人間にとっては、「アニメの低解像度感」は異質に見えます。4Kでなく、2K視点で見ても、解像感は低いと言わざる得ません。

 

旧来の現場において、どんなに原画作業の最終工程で作監さんが美しいキャラにまとめあげて、動画さんが極めて繊細な線で線画を描き上げて、仕上げさんが最適な線の処理で仕上げてくれても、最終完成画面に表れる映像クオリティは「映像技術視点」からみれば旧時代のレベルで頭打ちです。

 

キャラが魅力的で、色彩は美しく、作品のワンシーンを物語る情景で、光と陰を感じさせる美麗な画面‥‥だとしても、特にセル部分は、物理的な要因=A4〜B4で1.5〜2Kで二値化のスペックによって、旧品質基準から抜け出せません。作業者が悪いわけではなく、これはもう、物理的な数値とプロセスの問題で、どうにもならないです。

 

かと言って、A3やB3の大判をスタンダード用紙にして、新聞紙のような大きさの紙をバッサバッサと捌いて作画はできまい。現状を鑑みれば、二値化を放棄することもできまい

 

 

では、「デジタル作画」は救世主足り得るのか。

 

用紙サイズの物理的な難題等、様々な現場の問題を「一時的に掻き消す」ことはできるかも知れません。しかし、それはあくまで「掻き消して」いるのであって、解決してクリアにすることは難しいでしょう。

 

「デジタル作画」が4K時代に合わせていくら大きなキャンバスサイズを設定しても、線質に繊細さが要求され、ともすればディテールも今以上に細かくなるとすれば、数千枚規模の作画作業に影響がでないはずがないです。むしろ、現場の悲鳴は今以上に、一層大きくなるでしょう。果たして、その1カットや1枚の作業単価は如何に?

 

‥‥まあ、「デジタル作画」に関しては、「デジタル化」がアピールする利点よりも、機材導入・維持に関する大きな負荷と、未来映像技術対応への効果の薄さの方に、徐々に皆が気づきはじめているのが2018年の現在‥‥だと感じます。「デジタル作画」を導入しても、劇的かつ根本的にコスト構造を革新できた事例や、4KHDRの新世代技術を象徴する事例は、全く見えてきていませんもんネ。

 

むしろ、4K時代以降も発注者側が同じ単価で作業させるために、「デジタル作画」は都合が良いように、なし崩し的に扱われてしまう危険すら感じます。なまじ、ワークフローの互換性を保っているがゆえに‥‥です。

*私らの進める新技術(デジタル作画ではない)は、旧来ワークフローとの互換性を放棄したがゆえに、とことん内製化しないと制作が不可能な弱点はあるのですが、一方で、旧来現場のお金や作業慣習上の「悪癖を絶つ防壁」にもなっているのです。

 

そうした作業負担増加の問題は「デジタル作画の当事者」が交渉するなり基準を作るなりして、「自分らの未来への影響」を目を背けずに見極める必要がありましょう。当事者の未来は、当事者の今の行動が鍵を握っているのです。‥‥それは「デジタル作画」に限らず、様々な未来への取り組みにおいても同様‥‥ですよネ。

 

話を本筋に戻して、「救世主足り得るか」を考えれば、それは「デジタル作画」の運用次第です。ただ、運用にはお金の問題がつきものです。

 

現在の人員規模のまま4K時代の適正作業価格を設定すれば、ドカンと制作費は膨れ上がりますよね。電卓で計算するだけでわかります。4K時代以降のアニメ制作を、どの会社もおしなべて深夜枠のテレビアニメ1話分を8千万で作る未来なんて、あり得るわけないじゃん‥‥です。今の制作本数を支えているのは、今の制作費ゆえ‥‥でしょう。

 

ですから、旧来作画方式におけるお金の問題は、私の予測では「作業者側が単価据え置きで泣き寝入りする以外には、解決できない」と思っています。‥‥なので、恐らく「デジタル作画」は救世主にはならない‥‥と私は考えます。むしろ、このまま状況が進んでいくと、救世主の「逆」を演じるのではないですかね。

 

 

 

 

鉛筆の問題の次は、用紙の問題‥‥です。

 

まさか、今まで信頼してきた道具が、ことごとく、未来の足枷になるとは、まさに当事者ほど、頭の痛い問題はないでしょう。

 

 

私は新しい技術をメインに据えていますが、旧来の技術も有効な手段として未来に活きると考えています。ただ、旧来技術はそのままでは生き残れないので、新たなドクトリンを有する新世代制作システムの中に、再定義された技術として再編成するのが肝要‥‥と日々思索しています。

 

 

用紙、‥‥つまり、コンピュータでの作業でいうところの「キャンバスサイズ」は、未来の映像制作においては、大きくならざる得ません。

 

では、その大きくなった用紙を、どのように、新しい時代の新しい技術として扱うか‥‥ということに尽きます。

 

 

そんなこんな、用紙ひとつとって考えて見ても、やはり私の本命は、2020年代以降を見据えた、新技術の育成です。大切に育てねば‥‥です。

 

 

 

 

 


描く道具

Procreateは、「レイヤー数が少ない」と言われるClipStudioよりも格段に少ないレイヤー数が上限ですが、作業に困ったことはあまりないです。さすがに8Kの大判はレイヤー数が30くらいに制限されちゃって、3つのファイルに分割して大変でしたが、そもそも8Kのアニメーション素材(止めのイラストではない)は色々ハードルが高いですから、納得ずくで回避策を講じて切り抜けました。

 

どちらかというと、Procreateで悩ましいのは、ペンの設定が細かくて、未だに「コレだ!」という設定を見つけられずにいることです。もっと書き味が良くて、生産性の高いペンを作れるのではないか?‥‥と現状に満足できません。

 

Proceateは、なまじ「鉛筆」「ペン」とかのプリセットからカスタムするより、ペイント系のブラシからカスタムした方が、軽い筆圧でスラスラッと描けて良いのかな‥‥と最近感じております。

 

妙に筆圧に対して敏感だと、線が途切れがちになりますし、ものすごく細いインクペンのようなペンだと、ジャギっぽく描写されたりと、中々、さじ加減が難しいです。今まで色々とペン入力系のハード&ソフトは使ってきましたが、Procreateは設定の内容が繊細すぎるような印象です。

 

‥‥でもまあ、それでも良いです。大雑把すぎるよりは、繊細すぎるほうが、調整の自由度が高いので。

 

 

Procreateで気に入っているのは、何と言っても「指先消しゴム」です。ClipStudioでも実装されているようなので(ペンと指に別々のツールを割り当てる)、Procreateだけの機能ではないですが、絵を描く際の必須機能だと感じます。

 

いちいちペンをひっくり返したりツールを切り替えて消しゴムにするなんて、効率的にもはや「あり得ない」です。指先が消しゴムになる機能は、全てのドローソフトに導入して欲しい機能‥‥ですネ。

 

 

* * *

 

 

ほんとに正直に言えば、鉛筆の書き味が一番好きです。やっぱり、どんなにコンピュータ機材の処理速度が速くなろうと、リアルの筆致には敵いません。

 

ただ、筆致や書き味のために、紙に描かねばならず、デジタルデータ運用の大きな足枷になるのなら、もはや選択の余地はありません。2018年現在は、迷わず、iPad ProやApple Pencilなどの「デジタルデバイス」を選択します。

 

実は数年前、「インプットメソッドとしての紙と鉛筆」をデジタルデータ運用で模索したこともありました。しかし、鉛筆の粒子の限界が、「4K時代のアニメ」をターゲットにしていた我ら開発チームにはあまりにも不適合でした。

*その経緯は、以前にこのブログでも書いた記憶があります。どの記事かは全く覚えてないんですけど‥‥。

 

有り体に言えば、紙が小さすぎます。

 

A4用紙の中に収まる100フレーム(カメラの撮影フレームをアニメ業界では100Fと呼び表します)なんて‥‥‥‥、どんなにスキャンのdpi数値を上げようが、仕上げさんに無意味な「ごみ取り」の負担を増やすだけです。そもそも紙が小さすぎるので、鉛筆の線の太さとの兼ね合いで品質が頭打ちになるのです。

 

ゆえに、現在の紙の現場のスキャン解像度150〜200dpiって、ベストチョイスなんですよネ。その数値に収まっているのは、理由があるのです。

 

ちなみに、私は当時(iPad Proが登場する2015年秋以前)、4K解像度をフルに活かせる品質を「紙と鉛筆」で実現するために、最低でもA3、時にはB3やA2まで用紙を拡大して描いていました。「分割作画」で「分割スキャン」していたのです。‥‥まあ、大変でしたヨ。単純に、手間がかかりますもん。

 

どう考えても、1話数千枚の旧来技術では運用など無理なのは判っていましたが、開発の主力は新しい技術ベースに移行していたので、分割作画はまだ「なんとかなるかもしれない」状況でした。

 

 

 

しかし、2015年秋に、Apple PencilとiPad Proが登場。

 

前年に登場していたiMac 5Kと合わせて、新しい作画技術の幕開けが実現し、現在に至る‥‥ですネ。

 

 

 

愛着は「思い出」にとっておけば良いです。

 

昔話は、酒の席での「肴」でじゅうぶんです。

 

 

 

実際の仕事の現場では、頭はスッパリと切り替えるべきでしょう。

 

未来の映像技術の中で、どのように高品質なアニメーション映像を具現化するか。

 

その目標に対して、合理的な手段を模索すれば良いのです。

 

 

 

もし、鉛筆の書き味が大好きで、どうしてもその書き味から離れたくないのなら、「鉛筆の書き味」が「高い商品価値」として活きる作品制作を獲得すべきでしょう。

 

レタスの二値化のための「入力装置」に甘んじている時点で、鉛筆ならではの特性は、映像品質に何ら貢献していません。

 

鉛筆の作業を本当に残したいのなら、もっとプラグマティックに鉛筆の未来を模索し、生き残りを賭けるべきだと思います。

 

 


豆本

前回のブログでふと思い出しましたが、「豆本」って今でも新刊がどんどん刊行されているのかな?

 

アマゾンで調べたら、今でも健在でほっとしました。

 

正式名は「ポケットリファレンス」シリーズです。

 

 

 

オライリーだけでなく、このシリーズにもずいぶんとお世話になりました。それはもう、前世紀から。

 

まるで学生時代の漢和辞典や英和辞典のように。

 

 

今でも正規表現やPHPなどのポケリファ(勝手に縮めてスミマセン)は座右に置いています。専門書にしては小ぶりなので、机に常備するのにちょうど良いのです。

 

新しい取り組みに向けて、何冊か新しい版に入れ替えようかな‥‥。

 

 



calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< April 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM