カメラと肉眼

透視図法の話題でツイッターで盛り上がっているようですが、

 

レンズ(人の眼もいわばレンズの一種)を通して記録する理屈の話か

肉眼(2眼)で見た雰囲気をどうやって絵として表現するのか

記憶上の立体をどう絵として描き表すか

 

‥‥の論点が錯綜しているように思いました。

 

「自然、不自然」でいうのなら、カメラで撮影して画像として閲覧する機会は、日頃山ほどあるわけですが、そのカメラ撮影画像を「のきなみ不自然だ」と感じている人って、かなり少ないと思います。

 

一眼レフで収録した画像には、2眼の画像合成も、時間と視点を超越した記憶としての立体も、反映できないのに、普通に自然に写っていると感じますよネ?

 

つまり、写真、映画の画像を、不自然で気持ち悪いと思わないのなら、一眼レフの35mmや50mmレンズで撮影したのと同じ絵を描いても、取り立てて不自然には見えないです。

 

一点透視図法のスタイルだけかじって、奥行きを長く描き過ぎたり、円が透視図法から外れていたり、中途半端に一点透視図法を扱うがゆえに、不自然に見えるのです。一点透視図法の基本をマスターせずに中途半端な技量で使うから、一点透視が過度に不自然に見える‥‥というよりは、そもそも一点透視図法を用いながら扱いきれなくて破綻しているに過ぎません。

 

奥行きはあっというまに詰まりますし、円は言うほど真円には見えないことも多いですヨ。

 

望遠の絵が一点透視できない!‥‥って、地球が丸いことはご存知?

 

電信柱は、綺麗に直線上には並んでいませんし、斜めに立っているのも多いです。道だって随分と曲がっていますし勾配していますし、路肩の周辺は緩くカーブして落ち込んでいることも多いです。それらをちゃんと観察して、今一度、然るべき一点透視図法で描けば、少なくとも映画やドラマや報道の実写くらいの自然な情景は描けます。

 

 

 

アニメーターはさ‥‥。鉛筆しか興味がなさ過ぎる人が多過ぎるんですよネ。

 

一眼レフカメラくらい自腹で所有して、自分の眼とは違う、写真や映画のレンズ越しの世界がどのように見えるかも、ちゃんと自分の知識とキャリアに加えたほうが良いですよ。

 

そうすれば、改めて、2つの眼で見ている肉眼の世界を明確に知覚できて、あえて一点透視ではない表現も絵として描いてみようと実感できるようになります。

 

他人の書いたマニュアル本、誰かのノウハウ視点で解説本を読んで知った気になるんじゃなくて、自身の様々なアプローチによるアクションと研究で、自分の血肉となる経験と知識を蓄えましょう。

 

ショートカットしないで、自分のカラダで覚えましょう。

 

 


クリスタ、どんどん進む

何においても、実践的な活用状況は、実作業での日々の事例が積み重なっていけば、飛躍的に推進していきます。リサーチや伝聞で推測したり予測するのとは雲泥の差と言って差し支えないほど、実質的なノウハウが日々蓄積され、その蓄積からさらに先が見通せるようになります。

 

クリスタを従来式ペンタブ作画に導入し、4Kでの作業に使い始めて、たったの2週間で随分と手応えと見通しができるようになってきました。従来式の作画がクリスタでも運用可能なことが実感として解ってくると、現場の構成案も具体的に見えてきます。

 

クリスタで広くペンタブ作画を普及させつつ(あまりにも導入しやすい価格ですし)、ハイエンドのベクター&カットアウトの環境はToon Boomでプロダクション規模で取り組む方法が、徐々に実現可能なニュアンスとして感じられるようになってきました。1ヶ月にも満たない期間であっても、物事は動く時は動くものです。

 

特に、iPad Pro 12.9インチとクリスタ、そしてProcreateの組み合わせは、自信を持って、知人友人に勧められるようになりました。

 

単に、「描きやすいよ」というだけでなく、現場のワークフローの実例として、何を初期に準備して、とっかかり何と何を覚えて、どんな感じで仕事で使うかを、同業の方々にも具体的に説明できるようにもなってきました。

 

Windows版やmacOS版で覚えたクリスタの「アニメーション機能」の知識は、そのままiOS版でも通用します。アニメーションフォルダー、アニメーションセルの概念、再生停止(プレビュー)時の各種設定、ペンプリセットごとに筆圧やベロシティを変えられる設定、ベクターレイヤーによるベクタートレスなど、すべて3種のOSで通用する‥‥と思います。Windows版を常用していませんので、強く言い切るのは控えますが。

 

クリスタのタイムラインからはオフラインにはなりますが、Procreateとの連携も可能ですし、登場すると予告されたiOS版のPhotoshopとの連携もファイル経由・クリップボード経由で可能となることでしょう。

 

 

 

初期導入において非常にハードルに低いクリスタは、ノウハウさえ普及して標準化すれば、未来の作画作業の共通アプリケーションになるであろうことは、想像に難くありません。

 

実際、この1ヶ月未満の期間で、クリスタ、TVP、Toon Boomへとアプローチして、手応えを感じたのは、ローコストなクリスタと、ハイエンドのToon Boomでした。

 

Toon Boomのカットアウト機能は、今まで私が試行錯誤し実作品でもちょいちょい使用してきたAfter Effectsによるカットアウト技術を、ほぼ全て移植可能なほど高機能、さらにはAfter Effectsでは難しいニーズを実現する機能も豊富に有し、かつ段違いにUIが優れています。‥‥まあ、After Effectsを魔改造してカットアウトに使う事自体がアレなんですが、After Effectsで蓄積したカットアウトの経験と知識は、ほぼもれなくToon Boomに翻訳して移植できるでしょう。

 

ただ、Toon Boomは導入の価格が50万と、プロダクション規模のプロジェクトで可能になりましょう。いやらしい言い方ですが、「カットアウトを確実に金に変える」条件が揃う制作現場で、まずは使い始めることになると思います。

 

 

 

ということは、まずはタブレットで作画してすぐにお金を稼ぐには、クリスタが現実的です。

 

私は今までクリスタを静止画イラスト用途だけで使っきましたが、最近、原画作業もクリスタ、作監作業もクリスタというフローを経験して相応の手応えを感じました。動画から彩色まで、皆で協力して探りながら検証し実践し、フロー全体規模の実質的な手応えも感じ始めています。しかもそれは、1.5Kの作品ではなく、4KドットバイドットのHDRの仕様で‥‥です。

 

クリスタにはまだ足りない機能も感じます。スクリプト制御はその際たるものですが、当面はなしでもズンズン作業と経験蓄積を進められます。機能改善は根気よくフィードバックしていけば良いです。

 

今すぐ、多くの人が使い始められる価格設定のクリスタは、強力なアピール力を放っています。例えば、TVPのプロ版は16万ですが、あなたは明日すぐに買えますか? 注文してすぐに使い始められる? 一方、クリスタは毎月500〜1000円、ライセンスの発行は即日‥‥と、導入ハードルが「超」がつくほど低いです。そして、その導入ハードルの低すぎるクリスタで、少なくとも私らは4Kの作画仕事を開始しています。事例が伴えば、状況にも変化が生じましょう。

 

機材を誰が買うか‥‥なんて議論をあと何年やるのでしょうか。アニメを作るだけでなく、色々な自分の仕事に使うことも想定し、受けではなく攻めで考えれば、どうすべきかが見えてきましょう。待ってるだけで時間を過ごしたら、気がついた時には‥‥ですヨ。

 

 

 

クリスタとToon Boom。

 

アニメ制作現場がこの2つを手にすれば、パンターとティーガーIIの組みあわせ、T-34とJS-3の組み合わせ、もしくはF-16とF-15の組み合わせを手にいれるようなもの‥‥ですネ。

 

T-34/85とJS-3。凶暴なコンビである。

 

F-15制空戦闘機のパイロットは男だけとは限らない。‥‥カットアウトの「操縦者」においても、男女の隔てなど必要なし。


ノイズフィルター

最近、自分でエフェクターを回路からハンダづけして作ったので、ふと気がついたのですが、音響機器とコンピュータ関連機器は、中々にNGな組み合わせで、電源コードからノイズも随分と混入しています。電池でテストして、パワーサプライでもテストして、そのノイズの差に驚きました。

 

「ジュルジュルジュルジュル‥‥‥」というノイズが、パワーサプライ経由ではハッキリとギターアンプから聞こえます。最初「素人のハンダ付けだしな‥‥」と悲しくなりましたが、パワーソースを006P(角電池ネ)に変えると一気にノイズが収まるので、どうやらハンダ付けが原因ではないようでホッとした反面、自宅の電源にノイズフィルターの必要性を感じました。

 

とりあえず、これを導入。いつもお世話になってる、サウンドハウスさんですネ。

 

 

作業場にはノイズフィルターの電源は設置してありますが、正直、厳密に系統を切り分けて配線しているかと言えば「‥‥。」です。作業場は、成り行きでどんどん機能を追加したがゆえに、魔境のごとくで、電源の系統管理は中途半端です。

 

今はもう、しょうがない。作業場の電源周りの修正は不可能。

 

しかし、次のステップに進んだ際は、吸音材も含めて、音周り環境を、電源をちゃんと切り分けて敷設しようと思います。

 

まあ、試行錯誤の途中は、環境など洗練できるはずもないです。それは納得していますので、次の機会にちゃんと試行錯誤の結果を存分に活かすこと‥‥ですネ。

 

 

 

ちなみにノイズフィルター。

 

デジタルデータ送受においてはプラシーボ効果にもなりかねない商品ではありますが、アナログ回路においては状況によってモロに効果が現れる商品でもあります。

 

自宅の自室のギターは、ギター本体はもちろんアナログ回路、エフェクターもアナログ(集積回路は積んでいますがアナログ信号です)、アンプはFenderの「DON'T EMULATE」が誇らしいソリッドステートのFrontman‥‥と、デジタルのデの字も介在しないオールアナログ信号伝達です。ゆえに、電源からのノイズもそのまま音に乗ってしまいます。

 

クリーンな電源は、特に音周りに重要だな‥‥と、最近認識を新たにしました。心地よく音を楽しむには、たとえヘッドフォンであろうと、クリーンな電源コンセントの確保から‥‥ですネ。

 

*ちなみに、アナログ回路でもエミュレートは可能ですが、この「DON'T EMULATE」はアナログ回路であることはもちろんのこと、何かをエミュレートする目的ではなく、回路の設計がそのまま音の個性になっている‥‥という意思表示なんでしょうネ。

*デジタル信号は、そもそもノイズの干渉を受けにくくするために、無段階のアナログ信号ではなく、標本化したデジタルデータで送受する仕組みです。デジタル信号の欠損防止や帯域確保の目的でノイズフィルタや高品位ケーブルを使うことはあるでしょうが、例えばUSBケーブルの質次第で音が良くなる‥‥というのは、実際は安いUSBケーブルを使って送受データ両方をベリファイしてみても完全一致しているらしく、伝送経路の質云々も状況によりけり‥‥みたいですヨ。


百獣のおかゆ

雇用を非正規から正規へと変えるのと、稼げないのを稼げる状態へと変えるのでは、話の論点が異なります。正規雇用でも給料が安ければ、生活は苦しいままでしょう。

 

もしかしたら、「正規雇用で、いっぱい給料が貰えて、終身雇用を保証せよ!」‥‥というのが、ロスジェネ問題の論点なのでしょうかね? そんな条件、別にロスジェネでなくても、全世代の多くが望むことなので、何か話がすり替わっているようにも思えます。

 

「正規雇用で高給で終身雇用」を万人が享受する社会って、どういう構造なんだろう‥‥と思います。これはもっと言えば、絶えず成長を続け衰退せず、利潤と景気が拡大し続ける社会の実現とも思えます。

 

何だか、ジャングル大帝のような釈然としない社会構造です。ジャングルの動物は皆ともだち!‥‥のスローガンは結構だけど、ライオンの子、レオは何を食べて生きているのか、食卓の内容がナゾです。

 

百獣の王ライオンも、トラも、チーターも、ハイエナも、シマウマも、バッファローも、キリンも、象も、毎日おかゆでも食べてるんでしょうかね。ジャングル工事の歌を歌いながら。

ジャングルを工事して遊園地を作る‥‥って、今にして思うと、罪深い歌詞だよねえ‥‥。

 

できもしない綺麗事を並べてもしょうがないですよネ。ライオンが食べるのはおかゆではなく草食動物の内臓です。口の周りを血だらけにして。

 

 

 

要は、貧困で悲惨な生活を回避することが、主たる目的ですよネ。その目的を達成する手段を、夢だけの理想社会など当てにせず、自分らの方法論にて探し出せば良いと考えます。現代社会のジャングルの中でネ。

 

過去、人類は色々な社会構造やシステムを試しては、頓挫してきた経験を持ちます。ロスジェネの問題を掘り下げていくと、「どんな社会にすれば、万人が幸せに生きられるのか」という問いにぶつかるような気がします。様々な社会的な主義や思想も皆それぞれ問題を抱えていますが、果たして、地上の楽園はいずこにありや?

 

世界平和をココロに秘めるのはソレはソレとして、今、目の前の「将来の貧困」をどのように回避するかは、社会システムの試行錯誤に委ねるべきではないと、少なくとも私は思いますけどネ。

 

 

 

 


33〜48?

朝日新聞の「ロスジェネはいま」の特集で、ロスジェネの定義を「ほぼ現在の33歳から48歳にあたる。」としていますが、正直、「幅広!」ですネ。33歳と48歳では、かなりの開きがあります。

 

33歳なら、「ロスジェネ」の単語に自ら束縛されるのではなく、今からでもいくらでもキャリアの路線変更や更新はできると思います。特に映像関係の最新技術を駆使するような仕事は、30代からいくらでも状況を変えていけると思います。2Kすらミニサイズになるような変革期ですから、チャンスはいっぱいあります。

 

アラウンド40だって、まだまだイケるはず。引きこもっていたわけではなく、ちゃんと働き続けて技術も経験も蓄積し、その上で、不当な評価に苦しんでいたのなら、不当な評価を覆す機運は、やはり変革激しい映像業界ではまだチャンスはあると思います。

 

100ある能力を、不当に50しか評価されてこなかったのなら、そもそも「労働力」「技術力」の確保に苦しむであろう未来は、その不当な50のマイナス評価を「事態を理解した受発注双方で」根気強く修復していく取り組みを実践し、手堅い「現場力」を指向するのも良いと思います。

 

少なくとも私の事情で言えば、年齢に関係なく、カットアウトアニメーションの技能者・作業者は、いつでも欲しています。

 

33〜48歳までの年齢層なら、当人の今までの経験の蓄積に、何か「化学反応」が作用すれば、例えばアニメ業界で言えば、2K以下の映像制作で停滞しきっている状況を、根本から変えていくパワーにもなり得ると思うんですよネ。‥‥まあ、アニメ業界は改善すべき点が沢山あるので、ロスジェネに関わらず全世代の問題ではありますが。

 

一方で、怨念感情を爆発させて、自分の100の能力を150も200もあるように主張すると、サーっと潮が引いてしまうでしょう。今まで損した分を取り返す!‥‥みたいなのは、端から見ててもバレちゃいますしネ。

 

33〜48歳の経験の蓄積が、妙に耳年増な達観主義に陥るのなら、かえってマイナスでしょう。鉄板とか定番などを振りかざす中年技術者は、新しい時代には障害にしかなり得ません。

 

いつでもフレッシュな思考を失わない気質は、どんな世代にも必要だと思います。ロスジェネと呼ばれる世代の「目覚め」においても、経験と技術を「ありきたりな予定調和」ではなく、まさに「Think different」へと繋げる思考が求められるでしょう。

 

例えば、「今までアニメの撮影を10年間続けてきました」と言うのなら、誰でも考えがちな凡庸な「アニメの撮影の未来」をイメージするのではなく、今までの経験して得た要素を、自分でも「引く」ほどの奇抜な発想で衝突させて、そこから何か新しいヒントやエネルギーを得るほうが、よほど未来に繋がります。仕事を出す側にしても、アニメの撮影で思考が止まっている人に対して、新しいタイプの仕事も役割も任せられないじゃん?

 

 

 

エスカレーター式出世、終身雇用型人生設計にあぶれたのに、今も未練がましく、その流れに乗れなかったことを恨み続けて何か良い進展はありましょうか。

 

どうすれば今からでもエスカレーターに乗れるか?‥‥なんて、全然Think Differentではないです。氷河期とは、当人の思考まで凍結させるものでしょうか。就職難でエスカレーター乗り入れ口から締め出されたのと同じ発想で行動しても、また同じことが起こるだけです。

 

むしろ、エスカレーター式の弱点を突けば良いと思います。

 

私は学校を卒業した時からエスカレーター式では生きていけない己を意識していたので、エスカレーターでは手も足も出ないことばかりを考えてきました。エスカレーターに乗れない(乗りたくない)のに、エスカレーターに乗ることばかり考えてもしょうがないじゃん。

 

10〜20数年前に正面に弾を撃ち込んで弾き返されたわけでしょ?

 

なぜ今また、同じ正面に弾を撃ち込むのよ。

 

また弾き返されて、返り討ちを喰らうだけだよ。

 

経験も技術も蓄積した今、相手の装甲の弱い部分を狙い撃ちすれば、貫通して撃破できるんじゃないの?

 

ロスジェネ世代の人口が極端に減って空席ができたのならまだしも、同世代の「勝ち組」はまだ健在なんですよネ?

 

‥‥だったら、より一層、正面の防御を固めていることは容易に予測できますよ。

 

エスカレーターのレールに乗っているがゆえに、ライバルは装甲列車みたいなものだとしたら、いくらでも攻め所はありますよネ。

 

攻める方が正面攻撃しか能のないお馬鹿さんだとしたら、守る方も正面防御を固めるだけのお馬鹿さんかもしれませんしネ。英雄になるのが目的なら正面攻撃or正面防御でヒロイックに死ねば良いですが、戦いに勝つことが目的なら戦術はよ〜く考える必要があります。

 

レールの敷かれたところにしか移動できないのが、エスカレーター勢の最大の弱点です。そのくらいの分析は当然した上で、エスカレーターに乗れなかった勢は攻勢を開始しないとさ‥‥、また、負けるで。

 

エスカレーターに乗り続けてきた「勝ち組」がエスカレーターぼけして頭を使わない中年と化しているのなら、そここそがロスジェネの勝機と私は思いますけどネ。恨み節を吐いてイジけていればいるほど、思う壺にハメられると思います。

 

30代なんて、まだまだ存分イケます。自らの境遇を自嘲するあまり、勝機を逃さないように努めましょう。別にロスジェネじゃなくても、エスカレーターに乗ってない友軍・同盟軍はいることも忘れずに。

 

 

 


就職。雑感。

日曜の朝日朝刊の1面に、

 

就職氷河期の悲運

 挽回できぬまま

 

 

 

‥‥と、1面と2面でデカデカと特集されておりました。朝日デジタルではさらに詳しく特集されているようです。

 

こんなスポット解説も。

 

 

 

私は就職氷河期から外れていますが、ベビーブームの渦中であることは同じです。加えて、アニメ業界の「アニメーター」になろうと思っていたこともあり、「就職難」という言葉とは少々ズレていました。

 

いや‥‥、私の場合、別の考え方をすると、

 

就職難=就職したアニメ業界が難ありだった

 

‥‥ということかも知れませんネ。皮肉な言い方ではありますが。

 

その「難あり」事情は、高校生の頃からアニメ制作現場に出入りしていたので、「就職」という概念すら通用しない業界なのを解った上で飛び込みました。なので、「エスカレーター式出世」なんて全くあてにしていませんでした。

 

実際のところ、当時、高校を卒業する際に、どうやって担任の先生に説明して納得してもらうか、少々困ったのを思い出します。事細かく事情を聞かれていたらNGだったでしょう。雇用とは呼べない「場所貸し」くらいの認識で、社会保険も何もないスタジオに「通って」仕事をするのは、果たして就職と呼べるのか、当時の私でもそのくらいの「危うさ」はわかっていました。

 

私の場合、就職難だろうが好景気だろうが、もともと社会一般の「終身雇用に基づく人生設計」の「枠外」で自分の人生を考えていました。アニメーターのそうした状況を肯定しようとは全く思いませんが、アニメの「職業」とはそうした性質を孕んでいると覚悟していたからこそ‥‥です。‥‥何度も繰り返しますが、その状況は肯定しませんヨ。あくまで、そうした時代であった‥‥という追憶です。

 

絵を描いてお金を得て生活する‥‥というカタチが、どう考えても、サラリーマンのイメージとはかけ離れていたのは、それこそい子供の頃から感じていました。

 

 

 

今でも、自分の描いた絵、作った映像で、対価を得て生きていくのって、相当厳しいと思いますもん。

 

個人作家ではないにしろ、実質、自分の描いた絵を売るんですよ? ‥‥どう考えてもハードルは高いですよ。

 

1,000x98x1.08=105,840

 

という計算は誰が何回計算しても結果は105840で変わりはないです。しかし、

 

絶望して自暴自棄になっている主人公の表情を描いてください

 

というオーダーは、人によって大きく異なる結果となるでしょう。均一にはなりません。

 

こうした「自分の絵は幾らの価値があるのか」という事実は、何をどう説明しても、どう綺麗事を言っても、誤魔化せることではなく、絵を描く人間の喉元に突きつけられたナイフのように鋭い、現実そのものです。

 

いつも笑顔で接している、一見穏やかそうに見える人でも、「自分の描いた絵を、値段で取引する」ような「自分の存在価値を金で取引される現実をいつも経験している」ならば、絶えずココロに「煉獄」を抱えているようなものです。

 

自分の価値は自分で高めていくだけのこと‥‥とココロの中で厳しく生きる人に、「氷河期」とか「就職難」とか「何かをロストした」とか「損をした」なんて感覚は、もともとありません。自分の能力「裸一貫」でいつも勝負しているのですから。

 

 

 

エスカレーター式人生、終身雇用で退職金と年金で暮らす余生、加齢とともに役職も給料もどんどん上がって‥‥というのは、いつ頃からの社会的なイメージなんでしょうね。私は、そっちのほうが気になります。

 

エスカレーター式人生設計を所与のものとしてイメージできなかった私には、むしろ、その大手企業型エスカレーターのほうが「長い人類の歴史」において特殊だったようにすら思えます。

 

学校生活の、学年が上がれば無条件に「先輩」と呼ばれて部活の要職に就く‥‥という「学園気分」は、現代社会の日本では多くの人間が有する「学園気分」だと思いますが、ロスジェネ世代は他の世代に比べて、学園気分が通用しにくい世代だったとも思えます。

 

学園気分なんて学校卒業と同時に捨てちゃえば良いのにネ。全ての世代においてネ。

 

重要なのは、

 

自分は何になりたいか。何になりたかったのか。

 

そのことに希薄な人ほど、寒さに震え続けているのかも知れません。

 

 

 

第二次ベビーブーム世代、団塊ジュニア世代が、他の世代よりも多くの貧困者で喘ぎ、その貧困をリカバーするために未来社会がより多くの社会保障を背負うのなら、どう考えても、今よりは苦しく、今より平和ではない社会になりそうです。

 

現実的に考えて、

 

私は何ができるか

あなたは何ができるか

 

‥‥を洗い出してクリアに相互評価できないと、状況打開のスタート〜新たな仕事を依頼することもままならないでしょう。

 

ロスジェネ関連の話題が「恨み節」に終始しているうちは、何も始まらないと感じます。恨み節を吐けば仕事を得られるんだったら、世の中みんな恨み節で埋め尽くされましょう。

 

どれだけ損をしたか、どれだけ辛い思いをしたか。どれだけ厳しい生活を強いられたか。‥‥そのことだけを記事にするのではなく、むしろ、どのようにすればロスジェネと呼ばれる世代の「覚醒」を呼び起こすのかを、新聞はアイデア出しを率先して記事にして欲しいです。

 

私は今まで色々な作業経験も積んできましたが、絶望的で屈辱的な体験や待った無しの貧困を経験してきたことも「今や自分の強力な武器」だと認識しています。

 

クリエイターは二度死ぬ

You Only Live Twice.

 

プラスだけがチカラになるのではなく、マイナスを掛け合わせた時にも爆発的なチカラを発揮するのを、私は知っています。

 

人生は一度きりですが、起死回生のチャンスは、恐らく、生涯に2〜3度はあります。

 

二度死んだら、三度復活すれば良いです。復活するチャンスのあるうちに‥‥です。

 

 


オレンジじゃないけどsqueezer

70年代を中心に、Fusionギタリストの有名どころがこぞって使っていた、ダン・アームストロングの「オレンジスクイーザー」という、ギター用のコンプレッサーがあります。

 

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dan armstrong orange squeezer

 

私は高校生の頃、電気屋さんの息子の友達(E.ベースを担当)に、このオレンジスクイーザーの回路を模したコピーモデルを作ってもらったことがあります。「コピーモデル」というと今の感覚だとギョッとしますが、エフェクターの回路は電気技術を学んだ人間なら、誰でも知り得る汎用的な回路構成ゆえに、そもそも特許を取るのが難しいらしく、電気系の雑誌や音楽雑誌で定期的に「君も作ろう!」的に特集されていました。

 

あ、そうか。これはアニメやコミックでも同じことが言えますネ。流行りのキャラデザインを皆でこぞって真似したり踏襲したりしますが、まつげの本数や角度など、パーツや顔立ちで特許を取るのは難しいですもんネ。

 

高校生当時に作ったオレンジスクイーザー的コンプレッサーは、今はもう、どこにしまってあるのかもわかりません。そして、本家製造メーカーのオリジナルも生産中止して久しく、新品は手に入りません。

 

ならば、高校の時と同じように、今度は自分の手際で(今は道具もそこそこ揃っているので)、オレンジスクイーザーを作ってみようと思い立ちました。

 

タッキーパーツドットコム」というパーツ一式を販売しているサイトで、「オレンジコンプ」というセットを買いました。

 

これ。

 

 

 

ケース、ジャック、ポット、基板、レジスタやコンデンサ、トランジスタ、IC、ダイオード、LED、配線材など、全てバラバラの状態のパーツを、ハンダゴテで取り付けて配線していきます。

 

ケースの穴あけ、基板のプリントは、私の道具では無理なので、それだけでもこのキットのありがたさが身に沁みます。

 

軽いハンダゴテの作業は今でもしますが、基板にレジスタやコンデンサを1つずつ取り付けていく作業は、思い出せないほど久々です。おそらく、20〜30年ぶりです。

 

なので、慎重に作業して進めました。案の定、最初の数手で、隣の回路にハンダが流れて短絡するようなミスもしました。適当に余った配線材を先バラにして、溶かして吸わせてリカバーします。

 

ひょうたんみたいな昔ながらのレジスタ(抵抗器)は、色分けでΩを判別しますが、私は色分けを暗記しているわけではないので、いざとなればネットで調べて‥‥と思っていましたが、私のような素人にもわかるように、タッキーさんのパーツ表の備考欄に色分けが記載されていて、すぐにわかりました。

 

筒状のコンデンサのプラスとマイナスはどう見分けるか‥‥とか、ダイオードのカソードはどっちだ‥‥とか、その辺は説明書には書いてないのでネットで調べて(便利な世の中だ‥‥つくづく)、慌てず騒がず慎重に進めて、何とか形になりました。

 

 

 

とてもシンプルな回路ですが、私には十分食べ応えがありました。慣れると、手際もよくなるんだろーなー‥‥。

 

ICは一番最後に取り付けます。ハンダゴテの手際が悪いので、熱でオシャカにしたくないですし。‥‥ちなみに、NJM4558Dというオペアンプで、共立エレショップさんで64円で単品で入手可能です。

 

でもまあ、回路自体はシンプルでパーツ数もかなり少ないこともあり、作業するうちにハンダゴテの手際もどんどん慣れて、パーツの確認や調べごとをして慎重に慎重を重ねても、1時間ちょいくらいで基板は完成しました。

 

昔からイヤだったのが、ケースの狭い空間に「具」を詰め込む作業です。予想した通り、パーツや配線材が交錯して、広々快適とはいきませんでしたが、パーツの向きや取り回しに試行錯誤をしながら、2時間くらい格闘して完成したのが、コチラ。

 

 

 

無塗装銀。

 

なので、オレンジスクイーザーと名乗るのは憚られて、単に、

 

squeezer

 

‥‥としました。ラベルはダイモの小文字モデル(今、アマゾンには見当たらない)で作りました。

 

 

早速、音出ししようと繋げたら、

 

LEDが光らない!

 

‥‥まあ、私のような20年以上ぶりの人間が、何もトラブルなしでイッパツで動作するとは思っていませんでしたので、冷静に対応。

 

音はちゃんと出ており、エフェクト(コンプレッサー)も正常に処理されているようです。つまり、LEDだけの問題。

 

LED周りを一旦外して、電池に直繋ぎして、極性を変えたらちゃんと点灯しました。‥‥しまった、LEDにも極性(アノード・カソード)があるのか‥‥。以前、「転輪塗装器」を作った時は、テキトーに繋いだら点灯したので、油断してました。

 

なので、取り付け直して、無事完成。

 

 

 

音をお聴かせできなくて、文字だけ申し訳ないですが、音はまさに荒削りな「アナログ」な音です。雰囲気だけの「アナログ」ではなく、正真正銘の「アナログ」です。デジタル演算処理が全く介在しない、「アナログ回路」そのものの音〜ファジーで丸っこくてファットな音がします。

 

シングルコイルでよし。ハムバッカーでよし。

 

特に、シングルコイルでの特定の音域の時に見せる「小悪魔」っぽいトーンがたまらないです。

 

まあ、私は電気回路を手際よく作業できる人間とも思えないので、これを機にいっぱい作ってみようとまでは思いませんが、今はもう製造中止の往年のエフェクター(ブースターとかプリアンプなど素朴なやつ)でいくつか欲しいものがあるので、またチャレンジしたいと思います。

 

 

 


慣れとく

自宅に日頃から4Kのパソコンモニタがあれば、少なくとも4Kの密度感には慣れることができます。

 

私がiMac 5Kを買ったのは、2014年冬。48回払いのAppleローンも終わりました。

 

もう4年以上、5K解像度を見続けているので、4Kの絵の密度にはとっくに慣れました。

 

 

 

慣れとけば、ショックも少ないです。ココロの準備ができます。

 

2K〜2.5Kのモニタではわからない色々なことがわかります。自分の家に置いてあって、日頃から使っていれば、それが普通になります。

 

バイクなんて、生身で鉄のカタマリに跨って、時速100km(一応、高速の最高法定速度ネ)にも達する「人間の足ではあり得ない」超速度で走行しますが、慣れるから怖くないのです。慣れずに怖がると、恐怖でふらついて、事故を引き起こします。

 

人間はテクノロジーに慣れていきます。

 

慣れさえすれば、大丈夫です。冷静な判断もできるようになってきます。

 

 


おおなみ

すぐ先の未来の4KHDRへの移行は、アニメ業界に何がキツいかって、

 

4KだけでなくHDRにも対応

ペンタブへの移行が事実上必須

 

‥‥というあたりでしょう。

 

地上波アナログの720x486から1920x1080へと移行した時と「どうせ同じ」とか考えている人は、技術のスペックをよく調べてください。解像度の拡大だけでは済んでいませんヨ。

 

今まで20年使い続けたsRGBとRec.709からの移行は、色彩コントロール技術の完全な刷新が必要となります。しかも、色をチェックするモニターは全部買い直しです。今までのモニターではHDRの映像制作は不可能です。

 

また、A4用紙を400dpiでスキャンしても絵が繊細になるわけではなく、A4用紙と鉛筆線の繊維の粗さが目立つだけで対費用効果が最悪ゆえに、現実的にはペンタブへの移行が余儀なくされるでしょう。‥‥まあ、スキャナが手元にあるのなら、スキャンしてみれば「しみじみ」わかりますヨ。つまり、紙と鉛筆のままで画像サイズだけが変更になったSD to HDの時とは、全く状況が異なることに注目しましょう。

 

また、色深度が各色10bitが必須というのも、一部では数年前から常識だった仕様ですが、今でもアニメーション圧縮(ロスレス圧縮〜コーデック自体が8bit震度)で出力しているコンポジット関連部署は、10bitや12bitのコーデックへと移行しなければなりません。たとえ10bitでも、圧縮時の絵の変質が大きいDNxHDとかはもう使えません。

 

なぜ、10nitが最低条件で、12bitが普通に必要かというと、HDRでPQだからです。データを格納するのに、8bitではまるで無理です。10bitでもギリギリです。アニメ制作現場は8〜10bitでリニアのSDRしか意識してこなかったので、HDRやPQの理屈にも慣れていく必要がありましょう。実写のログ運用に慣れた人なら、HDRのPQに慣れるのはさほど難しくないかも知れません。

 

こうした4KHDR品質の要求は、一部のネット配信会社の勇み足ではなく、もう何年も前から方々で予測されていた、世界的な映像技術の移り変わりです。

 

2〜3年前くらいにProRes4444 XQが登場したのは決してAppleの気まぐれではなく、DNxHRの444が登場したのもAvidの気まぐれでもないです。もう未来を予告していたわけです。

 

 

 

アニメ業界は、映像技術進化の兆候を甘くみる傾向を、制作現場から日頃感じます。線画を描いて色を塗ればアニメになる‥‥とばかりに、アニメの絵を直接作る以外の技術に無関心で、「一見関係ないように見える」映像の技術に対して謙虚さを欠くような気風があります。

 

アニメ現場に在籍するからって、アニメ以外の映像の知識に詳しくなってはいけない‥‥なんてことはないですヨ。

 

映像技術に最初から詳しい人なんていません。技術に詳しい人間になっていくのです。

 

 

 

制作現場の体質を、次世代の映像品質と映像フォーマットに徐々に慣らしておけば、急激な変化にも耐えられましょう。

 

今度の技術品質転換のビッグウェーブは、果たして、アニメ業界にどのような混乱をもたらすのか。

 

う〜ん‥‥。予測していたより、もう少し早く、大波は到来するのかな‥‥。

 

 


iPad版のクリスタ

すっかり言及しないままでしたが、クリスタにはiPad版もあります。

 

 

 

EXで月額980円ですが、1年一括払いだと7800円に割引されて実質月額650円です。

 

つまり、

 

MacOSやWindowsでクリスタEXで月額500円。

iOSでクリスタEXでサブスクリプション月額650円。

 

月:1150円

年間:13800円

 

‥‥という恐るべきコストで、プロ仕様の仕事ができてしまうわけです。

 

雑な計算をしますが、10年使っても、138000円です。iOSとデスクトップOSの両方で10年138000円(正確にはMac/WinのクリスタEXライセンスの買い切りがあるのでもっと安いですが)で済むのは、フリーランスの個人作業者の現実的な選択肢でしょう。

 

アニメーション用ソフトウェアには1ライセンス16万円のソフトもありますが、私の今までの経験では、ライセンスを買って10年全く追加費用を要求してこなかったプロ用ソフトウェアはないので、たとえ16万円払っても、「生涯0円」で済むとは思えません。

 

 

 

で、iPad ProとiOS版クリスタEX。

 

AstroPadとmacOSに比べて、iOSネイティブで動作するので、やっぱり、ペンストロークのキレが違います。iOS版だと、6000pxくらいある原画もモタつくことなく描けます。動画のリアルタイム再生も問題なし。(再生設定は変更してください)

 

冒頭のスクリーンショットは、5849pxもの横幅になりますが、全然、作業OKです。問題なし。

 

もし、macOS版のクリスタでモタツキを感じたら、AirDropでiPad Proに送って、続きをiPadで描けば良いです。もちろん、タイムラインの情報もclip形式ですから保持されます。

 

iPad版の弱点は、レイヤーウィンドウやサブツールを常時表示しておけないことですが(画面が狭くなるから)、絵を描くことだけに徹すればあまり気になりません。細かい編集は、macOS版に移動して継続できますしネ。

 

 

 

なんだか、ここ数日でいくつも点が結び合って、今後の作画作業スタイル(カットアウトではなく、旧来の原動画における)の立体像が浮かび上がってきたように思います。

 

macOSやWindowsでクリスタのアニメーション機能に慣れれば、iPadのiOS版クリスタでも同じ知識と経験が継承されます。もしかしたら、この「作業ネットワーク」は今後のブレークスルーになり得るかも知れません。

 

そう思えるほど、今までバラついていた要素が、まとまり始めた実感を感じます。

 

後日、Procreateとクリスタの連携方法など、実地で経験した色々を、このブログでも紹介したいと思います。書き味の俊敏なProcreateで絵を描いて、同じiPad内のクリスタでタイミングをつけて動かす‥‥なんていう連携技も難なく可能です。

 

各ソフトウェアの基本的な仕組みさえわかれば、自分の使いやすいソフトを使いつつ、作業を継承して、様々な状況に対応できそうです。

 

 

 

 



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