ご無沙汰です

忙しくて首が回らないス。ゆえに、ブログを書くこともままなりません。まあ実際は、時間の余裕よりはメンタルの余裕のほうが、文章を書くことに影響するようです。

 

HD=2KからUHD=4Kへ、SDRからHDRへ、24コマからそれ以上のコマ・フレーム数へ‥‥と、技術が進んでいく中、日本のアニメ現場の状況は深刻な要素だらけで、途方にくれます。技術も人も機材もお金も時間も、何もかも足りて無いことを、この数ヶ月で他人事でなくリアルに実感しつつ、一方でアニメ業界・現場の「どうにも抜け出せない停滞」も肌身で感じています。


運命は自分で切り開くものでしょう。ただ、自分の行動だけで世界を変えられるほど、世界は軽くもなければ柔軟でもなく、諸事情が絡みに絡んで現実が紡ぎ出されていきます。

 

「前に進める」「生き残れる」かは、まさに「総体的な運命」次第だと、より強く思うようになりました。

 

 

日々のリアル=現在未来の現実を作り出していく経緯において、現場全体の旧来の技術や作業習慣や意識が、あまりにも未来の動向とかけ離れているのを間近にひしひしと痛感すると、ニュースでいくら「数兆円の市場規模」と言われても、一層の違和感が目立つだけです。太平洋戦争の際の軍需産業の活況は、日本の明るい未来を保証していたのか?‥‥誰もが歴史で知る通りです。

 

私が「旧来から未来へ」の取り組みの中で、最近、悲観的な要素として特に再認識したのは、以下の通りです。

 

●紙に依存し続ける意識

 

紙と鉛筆は今でも優れた道具・手段だと思いますが、デジタルデータで映像を作りだす作業工程にはあまりにも厄介な存在です。

例えば、大判作画・拡大作画で大きな紙に絵を描くのは、多大な作業コストの浪費です。iPad Pro 12.9やCintiq Pro 13なら、どんなに大判作画をしても13インチより道具・作業段取りが大きくなることはありません。16や24インチの液タブでもそれ以上のサイズにはなりませんが、紙の大判作画は大きいサイズに歯止めが効きにくいです。

紙から離れられないのであれば、未来の4K8K映像世界には根本的に対応できません。A3用紙をスタンダードにするのは無理ですよネ。

 

●旧式フォーマット&ソフトウェアに縛られ続ける現場の実情

 

DCI-P3、BT.2100、300〜1000nits、PQカーブと言った新しい映像の基準を前に、アニメ制作現場の技術基盤はあまりにも旧式です。

TGA(=TGAは1984年のフォーマットです)は8bit止まり、PNGとTGAはプロファイルを持てないフォーマット、クリスタはプロファイルの運用が可能な一方で16bit非対応、スタイロスとペイントマンは今でも広く使い続けられていますが、旧式なTGAやPNGがベースになっています。

クリスタの開発で頑張っているセルシスさんを悪くは言いたく無いですが、セルシスソフトウェアの足りていない部分が、今までの現場の技術停滞に直に影響してきましたし、未来の現場にももろに影響するでしょう。セルシスさんには4KHDRは当然のこと、大袈裟な話ではなく8K120pまで見据えたロードマップを描いて頂きたいです。現場の現状の打算にまみれないでほしいです。

絵や映像を作り出すソフトウェアが、Dolby Visionなど12bit時代の映像産業をリアルに意識しなければ、ソフトウェアを使う作業者はいつまでたっても新時代の映像フォーマットを用いて作業することができません。

 

●そして金。

 

AdobeのCS5〜CS6を使い続けているのは、まさに「金がない現場の象徴」です。数兆円規模の市場を支える現場が、なぜ、Adobe CCを導入できない? なぜ、サブスクリプションを受け入れる体力が制作会社にないのでしょう?

ソフトウェアメーカーと、ソフトウェアを使う作業者・作業団体は、いわば、運命共同体です。iPadで使うクリスタEXは月額1000円ですが、決して「プロの道具」としては高い月額ではなく、むしろ安いとすら感じますが、その1000円の月額をアニメの現場では「高過ぎる」と言う人もいます。‥‥金がないからです。

ソフトウェアの使用コストを「できるだけタダにしたい」というアニメ制作現場の「民度の低さ」は、現実的に金がないからでしょう。しかしどんな理由がアニメ制作現場にあれど、ソフトウェア会社とその中にいる人々は「霞を食って生きているわけではない」ですから、ソフトウェアを時代の進化に合わせて機能向上させていくには、継続的なお金が必要です。

「数兆円規模の市場」っていうフレーズは、CS6止まりの現場の現状を見れば、あまりにも虚しく響きます。

 

 

 

‥‥と、できるだけ手短かにまとめましたが、こうしたことを未来に向けて現場を変えていくには、物凄く大変です。例えるなら、敗戦確定の太平洋戦争を勝利(=講和でも良い)に導くくらいに、絶望的に無理と言って、過言ではないです。

 

例えば、

 

  • 紙を廃止し、タブレット作画に完全移行
  • Adobe 旧CSを使用停止し、CCのサブスクリプションに移行
  • 各色16bitでカラープロファイルを持てるPSDかTIFFにファイル運用を完全移行
  • 各作業者は作品固有の色域に合わせてプロファイル運用を徹底する
  • 300〜1000nitsのHDR/PQカーブを扱える機材に、全スタッフ全機材をリプレース

 

‥‥なんていう現場の環境移行を、すんなり実行できるアニメ制作会社は、日本のどこにも存在しないでしょう。アニメ制作のスキームは、フリーランスの環境も含むがゆえに、いち部署の環境だけ移行しても立ち行きません。

 

アニメ業界は、「新学期」を迎えるにあたり、「夏休みの宿題」を、8/31の夕方まで、ほとんど何も手をつけずに過ごしてしまったわけです。原爆を投下されてもなお、竹槍とバケツリレーで勝てると思い込んでいるのです。‥‥しかし、どんなに後悔して懺悔して悔改めようと、8/31と新型爆弾の現実は冷酷に迫っています。そればかりか、B-29に竹槍、M69焼夷弾にバケツリレーのありさまを、美談にすらしようとする雰囲気すらあります。

 

 

ゆえに、旧来現場とは別立ての、新しい現場の構築を進めてきたのですが、機材はなんとか揃ってきたものの、人間がどうしても足りないです。新しい技術を使って生み出す人間が、シンプルに不足しています。

 

では、できるだけ工程を分割して「できるところ」から作業分配しようとすると、どんどん時間とお金が増えていきます。工数を増やすとコストも増えるのです。コンパクト、少数精鋭‥‥といったコンセプトは、工数を増やした時点であっけなく破綻します。

 

今まで、以下のようなシンプルな工数で済んでいたのが‥‥

 

*内製「プロジェクトマネージメント」システムからのスクリーンショットですが、…すみません、進行中のプロジェクトなので、モザイクかけてます。

 

‥‥以下のような工数に膨れ上がれば‥‥

 

 

‥‥何をどうやったって、コストは猛烈に嵩みます。

 

‥‥で、この工数の多さは、旧来〜現在のアニメ制作現場の姿そのものですが、その姿に新しい技術もハマり始めているので、どうやって「型崩れ」を阻止するかが、目下の課題です。

 

実は、良い作品を作ることと、工数の多さは比例しません。しかし、盲目な現場は「工数とチェックを多くすれば良いものに仕上がる」と信じて、どんどん崩壊への道を突き進みます。「今が苦しいから」「しょうがないから」と工数をむやみに増大させることは、四方八方に戦域を増やして破綻し敗戦したドイツ・日本の姿に等しいです。

 

 

しかし。

 

悲観して悲劇のヒーロー・ヒロインに酔うばかりでは、事態は悪化するばかりです。

 

ツイッターやブログも、何か重大な転機・転換期においては、ほぼ無力です。ツイッターやブログはあくまで累積戦略の手段であって、順次戦略には向きません。

 

ツイッターで「このままではいけない」「改善しよう」と書いても、一向に改善の兆しなど現れず、むしろ「みんな苦労しているからホッとした」と真逆の効果にもなりかねないです。なんとも皮肉なことですネ。

 

悲観しているだけでは、愚痴を垂れているだけでは、どうにもなりません。

 

どんな実践スタイルであれ、一見遠回りに見えるような道筋であれ、リアルに実行し続けねばなりません。

 

 

‥‥と、日記には記しておこう。

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM