通時と共時

通時的なものの考え方と捉え方、そして経時的なものの考え方と捉え方は、どちらかを選択しておけばOKということではなく、両方をバランスよく自分の思考に取り入れることが肝要と心得ます。座標にはX軸もY軸も必要だもんネ。

 

昨日書いた「紙」の問題も、アニメ制作現場はそれこそ私が生まれる前から紙で作画してきたので、現場においては紙に対して通時的な捉え方がほとんどで、共時的に捉えることはほぼゼロ‥‥と言っても過言ではありません。「今までそうしてきたから、今もそうしている」という考え方です。それが「無意識」なので、余計に「気づき」の機会が得られず、共時的に紙を活用するアイデアは全くアニメ業界からは出てきません。

 

思うに、アニメの作画で用いられる紙は、考え方を共時的な発想へと変えれば、ものすごいお金を生み出すオンリーワン足り得ます。アニメーターを一気に金欠病から救いだす大きな可能性を秘めているだけでなく、現場ではなし得なかった変動的な技術価値も付与できるかも知れません。

 

しかし、旧来の現場は旧来ゆえに、通時的視点から逃れられないので、いつまで経っても、紙はただの紙。今では、レタス二値化線における、イニシャルコストの安価な入力手段にすら成り下がり、かつての描線のマティエールやニュアンスをAfter Effectsで再現しているありさまです。

 

デジタルデータでは到底太刀打ちできない「紙の価値」は、残念ながら、通時性に凝り固まった人々では見つけ出して創出できないでしょう。通時的にしか思考しないから、「マッチで火をつけて、ポンプで水を汲み上げて消す」ような行為に終始するのです。

 

紙を扱う人々が共時性に目を向けたら、紙はむしろ金を生み出す魔法の書みたいになって、紙の仕事イコール金の稼げる仕事‥‥にすらなる可能性を秘めています。‥‥でも、それは紙を扱う当人たちが実践すべきことなので、「デジタルデータ志向」の私が紙活用に関して色々とアイデアを出すのは変な話です。紙を愛する人が頑張るしかないです。

 

作画だけでなく、アニメ業界の全行程は、通時性一本槍から逃れて、共時性を強く意識することで、未来への生き残りと足がかりが確保できると思います。まあ、それも、当事者が実践するしかないです。

 

 

私はアニメ業界だけでなく、近代社会だけでもなく、およそ2000年前の古くからの歴史からも学んで応用すると共に、Dolby Visionなどに代表される4K HDR PQ 12bitなどの新しい技術もたっぷり旺盛に意識します。

 

通時性〜歴史からは本当に沢山のことが学べますし、共時性〜現代社会の様々な新しい出来事も重要な指針となります。つまり、自分の中に安易にスタンダードを作り上げてしまって、それ基準だけで物事を判断しがちな「悪癖」を、通時的・共時的なスタンスで相殺しようと思っています。

 

私も放っておくと簡単に「スタンダード」とか「鉄板」とか考え出すので、自分自身をクールダウンするためにも、通時性と共時性を大切にしています。

 

まあ、通時性を盲信すると「昔はこうだった」と言いがちになりますし、共時性を盲信すると「流行っているのはこれだから」とか言いがちになるので、自分自身の中に出来上がったログ的蓄積物と、通時性と共時性の「3要素の塩梅」は、悩ましいくらい難しいんですけどネ。

 

おそらく、自分自身の身の丈の思考、通時的思考、共時的思考の「配分」も、その場面や状況によってダイナミックに変わっていくこととも思います。また、適用する箇所によっても、配分は変わるでしょうネ。

 

 


関連する記事

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM