動仕の枚数

最近作業したカットは新しい技術体系に含まれる技法で作業しましたが、それを今までの実際の動仕でカウントすると、実に800枚の動仕枚数になり、動仕それぞれ200円前後で合計して400円で見積もっても30万円にはなる金額です。

 

煙が何本も別々に動いて、それぞれの間にガス素材の遠近感が挿入されるので、1枚のセルへ書き込みにはできません。また、動画200円ちょいではあまりにも作業が大変過ぎるので特別単価が必要になりそうでもあります。実はT光マスクの枚数は換算して算出していませんが、それまで含めると1000枚越えになるので控えています。

 

ガチで生身の人間の動仕でやると、1ヶ月くらいはかかるでしょう。しかも割りミスや色パカをシラミ潰しに潰すリテークを乗り越えつつ‥‥です。

 

ただこの金額や作業規模には構造上のトリックがあって、そもそも800枚も動仕枚数が必要なら、他の表現に変更になるでしょう。おそらく、一番ありそうなのが、BGオンリーで止め絵処理+透過光で炎をチラチラ。まあ、あっても、BOOK分けして密着引き(カメラワークに合わせて)とか‥‥ですネ。

 

 

でもまあ、「そもそも、今までの作業意識では、そんな大変な作業は回避する」と言っても、規模は違えど、過去にいくらでも大変なエフェクトカットはありました。私はセル&フィルム時代からエフェクトを描き続けてきましたが、動仕が作業上の限界に達した場面を何度も見てきました。

 

ゆえに、私は旧来技術の限界に気付くのが早かったのだと思います。2018年の今では、エフェクト作画を描き送りの手描きでやろうなんて、全く思わなくなりました。

 

出発点となる絵は手で描きますが、1秒間8〜24枚の絵で動かす作業を、動仕という作業スタイルで実現するのは、もはや誰も得をしないと考えるに至っています。恐ろしく細かい煙のディテールを綺麗に清書して描いて動かして1枚200〜400円とか、イヤでしょ? 塗るのだって大変ですが、それも1枚200円前後で引き受けたくないですよネ。影は明るい部分に3段、暗い部分に3段で6段です。‥‥どう考えても、通常単価じゃイヤですよネ。

*ちなみに私もまさか原画料金で引き受けてはいないです。それ相応の額で、です。

 

割りミスや色パカが作業上どうしても発生しちゃうのもイヤですしネ。どう考えても、新技術への移行しかありえません。3Dスタッフに任すのではなく、自分の手でエフェクトを描きたいのなら、です。

 

 

そうした新しい技術意識は、キャラにも応用されていて、今まで不可能だった表現をどんどん盛り込んでいます。一番端的なのは髪の毛の描写で、旧来の技法だとゴージャスに盛るにしても6〜7色の塗り分け&セレクトブラーという感じでしたが、髪の毛の光沢を虹色に表現しつつ1本1本のニュアンスを動かすことも可能になっています。ブロックで描いても、1本ずつ描いても、どちらでも可能なのです。

 

また旧来の技術では、枚数を何千何万と描く前提ゆえに、キャラのデザインが決定されています。‥‥まあ、今はかなりそういう意識は崩れていますが、動仕の効率に対する配慮はまだ生きています。しかし、新しい技術では違う観点でキャラがデザインされ、動仕枚数への配慮は不要となり、絶対に無理だったデザインも盛り込むことが可能です。

 

しかもそのキャラは24fpsフルでも、60fpsフルでも、ご要望とあらば120fpsフルでも動かせます。2コマ、3コマ=8〜12fpsのエコノミーな動きにする必要はなく、旧来の動仕換算で1カット300枚平均でも平気で動かせます。

 

 

 

長く連れ添ってきた可愛い馬っこを、新しい自動車とやらオートバイとやらと、比べられちゃたまんね。どうか、手加減してくれろ。

 

 

旧来技術への愛着はよく解りますが、時代は変わっていくものです。これから先の未来世界、人間は何に跨って走るのか、ふと、考えてみることも必要でしょう。

 

その昔にオートバイが珍しかったころ、人間が奇怪な機械に跨って高速で走り抜ける姿を、奇異な視線で眺める人は大多数だったでしょう。しかし、今はどうでしょうか。時代の足並みに合わせて、馬は道から消え去り、乗馬クラブでしか見かけない存在になりました。

 

原動仕に従事する人々が、ずっと馬に跨って走るのは絶対に必要なことでしょうか。‥‥時代に合わせて、自動車やバイクに乗り換えることも必要になりましょう。あくまで、主役は乗り物ではなく人間でしょ?

 

 

「アニメが60fpsで動く必要はない」「アニメに4Kは必要ない」と言う人もいます。まあ、たしかに、今までのアニメのままだったら‥‥です。

 

一方で、新しい技術で、新しいアニメの映像が、新しい映像品質で動くのを見たいと言ってくれる人がいます。であるならば、最大限の技術をもって、その期待に応えようと思うのです。

 

4Kでしか出せない細密感、60pでしか出せない動きの生々しさ、HDRでしか出せない色彩の鮮やかさと深さ。‥‥すべて、盛り込んでアニメにしてみせましょう。

 

 

アニメの表現を昔の意識で束縛するのは、アニメの逃れられない宿命なのか。‥‥‥否。頭の古い人たちが、アニメを昔の場所から抜け出せないように束縛しているだけ‥‥だと私は思います。

 

アニメはノスタルジーの世界のみ生きるにあらず。

 

新しい世界で生きる道は、それこそ、たくさん伸びています。新しい乗り物に乗り換えて、遥かな地平を目指すのです。

 

 

 

 


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