マンガのかきかた

休日を利用して実家の風呂場のクローゼットを整理してたら、奥からダンボールが出てきて、その中に様々な書籍が詰まっていました。‥‥風呂場になぜ書籍が‥‥と思いますが、私の実家は一事が万事そんな感じで、「合理的に整えることができない」家族なのはもう諦めております。‥‥というか、私もその血を色濃く受け継いでおり、整理することに強迫観念があるのです。

 

アニメを作っていて、出力に絡む役職だと、夥しい数のファイルを整理しなければならないので、自分自身の「散らかり癖」は一生抱えるトラウマ、呪わしい自分の性質です。

 

 

とまあ、そんなこんなで、風呂場から出てきた書籍の中から、私が小学生の頃に度々繰り返し読んでいた、懐かしい本が出てきました。

 

これです。

 

 

 

秋田書店刊の「マンガのかきかた」です。アマゾンでも古本が手に入ります。

 

もちろん、内容は古いですけど、古いがゆえに興味深くもあります。

 

例えば、巻頭の「テレビマンガができるまで」は、この本の初版の昭和37年から、アニメの作り方が根本的に変わっていないことが、よくわかります。

 

 

 

 

初版の昭和37年って言ったら、私の兄も生まれておりません。西暦ですと、1962年です。今から55年前くらい‥‥ですかね。

 

ちなみに、実家にある本は昭和50年の「75版」です。地元の本屋さんでは売ってなくて、私と兄の子供二人だけで(当時は二人とも小学生)飯田橋の秋田書店に「直に」行って、秋田書店本社で買った記憶があります。

 

なんておおらかな時代なんでしょうか。子供がノコノコと出版社本社に現れても、邪険に扱わず、ちゃんと書籍を買わせてくれるんだもん。‥‥多分、今は無理なんでしょうね。

 

 

前にも書いた余談ですが、やはり小学生の頃、夏休みに友達と「手塚プロ・突撃アポなし見学」を実行したことがあります。高田馬場に子供たちだけで‥‥。さすがにその時は見学させてはくれませんでしたが、代わりに、「バンダーブック」のセル画を子供たち全員に配ってくれました。もちろん、本番で使用した素材です。‥‥これも、今思うと、なんて優しい時代だったんだろう‥‥と思います。

 

 

本の「まえがき」を今になって読むと、心に染み入る文章が記されています。当時はぼけっと読んでましたけど、今は何か、わたし的に、心を打つものがあります。

 

*今年度上半期のNHKテレビ小説「ひよっこ」の小道具・大道具を見ていて、どこか「昭和40年ぽさが足りん」と思っていましたが、当時の印刷物は今のようにフォントのベースラインがぴったり整然と揃っていることはなく、上図のようにかなり大きく揺れていたんですね。活字がゆらゆら並ぶさまは、まるでダイモみたいですもんね。

 

こんなまえがきさ‥‥、今どきの本に、堂々と、書けます?

 

技術もないわりにショートカットだけ覚えるような現代社会の気風の中、こんな正直で根本的なことを、しっかりと文章に表している本て、あまり見かけないよな‥‥。そもそも、子供向けの技術書が激減しましたからね。

 

内容も、子供向けだからと言って「子供騙し」では全くなく、むしろ、「レイアウトを第2原画の下書きだと思っている」イイ歳した大人のアニメーターに読ませたくなるような項もあります。

 

 

 

構図がいかに重要か、レイアウトが作品の品質をいかに大きく上下させてしまうかは、今も昔も初心者は中々気がつかないものですが、現在は「1原2原」のシステムが悪い方向で定着してしまって、レイアウトの技術をアニメ制作現場で学ぶ機会は非常に少なくなっていると思います。

 

でもまあ、それは「教わる側」だけの問題ではなくて、「教える側」にもかなりの問題がありますから、未来の人材育成の可否が各現場で問われるところです。

 

 

‥‥と、話を戻して。

 

この頃は「アニメ」という言葉は定着しておらず、あくまで「マンガ映画」「テレビマンガ」です。

 

 

 

このページを見るに、本の内容は版を重ねるたびに「アップデート」していたことがわかります。初版の昭和37年には、グレンダイザーは存在していないですもんネ。

 

興味深いのは「CM」に関するページの記述です。

 

 

 

 

「スポンサーの注文にしたがって作るのですから、いちがいにたのしい仕事とはいえませんが」。

 

‥‥うけけ。

 

なるほど、時代は変わっても、皆、感じるところは‥‥ですね。

 

でもまあ、「指南書でこの一文を書くか」と、今の感覚だとドキッとします。

 

 

最後のページには、こんなことが書いてあります。

 

 

 

 

「マンガのかきかた」の最後のページとして、編集者さんがこの文でまとめあげた想いが、今になるとよく伝わってきます。

 

マンガに限らず、モノを作り出す人間がいつでも胸に留めておきたい、とても重要な心構え‥‥ですネ。

 

 

ちなみに、この「マンガのかきかた」は、他の本と同様に、「学級文庫」に供出したらしく、なんとも下手くそな字で、持ち主の名前が記してありました。

 


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