雑感

作業の手間を効率化するために、急場でAfter Effectsのスクリプトを作りました。特定のエフェクトのプロパティのキーフレーム群をイーズインアウトに変更しエクスプレッションでループ化する‥‥というものです。山ほどプロパティとキーフレームを設定しなければならない場合、手作業でいちいちキーフレームを操作していると、時間も手間もじくじくと消費します。After Effectsのスクリプトフォルダに自作のスクリプトを入れておいて、簡単に実行できるようにすると、積もり積もって結構な作業力の節約になります。

 

山ほどのキーフレームの操作‥‥なんて、今までのアニメの撮影では珍しいですが、コンピュータで描いた絵を動かすとなると、100〜200のプロパティそれぞれに、5、10、20のキーフレームがある状態では、あっという間に500〜2000個のキーフレーム数になります。膨大なキーフレームの操作に対し、手作業の作業形態を放置したままだと、能率が一定以上で頭打ちになります。「できるのに諦める」「可能を不可能にする」状況に甘んじてしまうのです。

 

スクリプト1つで、ぐんと能率が上がることも珍しくはありません。

 

 

キーフレームの操作に直接関わるスクリプトを作ってて思ったのは、旧来のタイムシートで標準化されている指定や記述は、かなりの部分をスクリプトで自動化できる‥‥ということです。‥‥あれ? これって、ブログで昔にも似たようなことを書いたような気がするな。

 

パーティクルやテクスチャハリコミは、そもそもタイムシートでは正式にはサポートしていない標準から外れた、最近のエスカレートした撮影要求(=そもそも撮影の仕事ではなく、作画管轄の技術です)なので、自動化は無理です。しかし、通常のタイムシート標準仕様であれば、「タイムシートを真の意味でデジタルデータ化できれば」かなりの自動化は可能です。

 

セルのタイミング(コマ打ち)、BGやBOOKやセルの重ね順、PANやZOOMなどのカメラワーク、カメラワークの加速減速(イーズ)、透過光の処理、ディフュージョンなどの定型の光学フィルタ(のシミュレーション)は、タイムシートの記述法をデジタルデータで規約して定義できれば、タイムシートを記述する行為が撮出しとタイミング撮を兼ねることも可能になります。

 

まあ、撮出しは「現物を見て、フレーミングを再考する」工程でもあるので、現物を見ないままで完全な「撮出し」なんてできませんが、「レイアウト通り・シート通りに素材が上がって入れば」という仮定の上で、セルワークとカメラワークをタイムシートでかなりガッチリとコントロールすることは可能でしょう。あくまで、真の意味で、タイムシートがデジタルデータ化できたなら‥‥です。

 

しかし、この15年くらいで、すっかりと撮出しは「なかったもの」になり、言うなれば「後撮出し」、つまり、「ラッシュチェックで初めて素材が組み合わさったのを見て、リテーク出しというかたちで撮出しをする」手順に業界全体が染まった感があります。ここ10年くらいの間に業界入りした人の多くは、撮出しの意味すら解らない人も多いでしょうし、実質「ムダ撮」で本撮を撮り切って、リテーク出しからが本番だ‥‥なんていう現場も多いでしょうしネ。

 

‥‥なので、作業を完了することに必死すぎて、先回りしてルーチンワークの自動化だの管理の自動記録だのなんて、タイムシートのデータ化、ひいては作業の自動化がどれほどの人の心を動かすのかは、何とも先が読めません。

 

エフェクトの必要ない、ほんわかした作風のアニメなら、タイムシートのデジタルデータ運用規約が出来上がってしまえば、一人で撮影することも可能でしょう。人間が関与するのは、ルーチンワークでは対応できないカットのみに絞って、通常の芝居のシーンなどは自動化でかなりのところまで完了できます。‥‥「デジタルタイムシート」のソリューションが「記入ソフト」のレベルを凌駕し、素材の管理や撮影コントロールの領域まで発達すれば‥‥ですけどネ。

 

いや〜、でも、それは現実的には無理っぽいですね、今までの現場の動向から考えても。「誰が開発するんだ?」のところでスタート直後で躓きますもんネ。

 

各方面の「識者」「経験豊富な技術者」を招集したところで、無様なほどにコケていくプロジェクトは、それはもう、いくらでも‥‥ありましたよネ。

 

 

 

「デジタル作画」を推進しても、作業に関わる様々な事柄の制定とデジタルデータ上の規約が揃っていなければ、ネットワークとデータに囲まれていても、「デジタルの孤島」で活動する作業グループになってしまいます。

 

自分たちの新しい「デジタルベース」の現場における、様々なインフラや規格や体系は、自分たちで形作っていくしか、実質的な道は開けません。規模の拡大を目指すのなら、現場作りに相応の手応えを得た後で、徐々に周囲を取り込んでいく‥‥というのが、現実的な道筋でしょう。

 

私自身、残りの半生を旧来技術のお世話に消費するよりも、まだまだ幼い新技術の育成に力を注ぎたいので、旧来制作システムは適当に付き合いつつも、本命は新しい制作システムと技術体系です。

 

タイムシートをはじめとした、様々な要素の「新定義」は、新しい作画技術やコンポジット技術と同時に推し進めていくべき、重要な課題です。

 

 


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