雑感

アニメーターの「終身雇用」「エスカレーター式昇進」って、具体的にどういうモデルなんだろう‥‥と、常々考えます。社会の一般論がそうだから‥‥という理由で、とくに深く考えない人は多いでしょうが、アニメのクリエイティブ=実作業に関わる人間が、終身雇用かつエスカレーター式に昇進していく会社組織のモデルを具体的に話せる人って、どれだけ存在するんでしょうネ。

 

アニメーターが昇進する、コンポジターが昇進するって、結局どういうこと?

 

年齢を経るとアニメーターは全員作監になる‥‥とか、すべてのアニメの撮影さんは30代には撮影監督になる‥‥というモデル?

 

破綻してないか、ソレ。

 

アニメ産業限らず、他の業種はどうだろうか。

 

すごく大雑把な計算をしますが、新卒で20人、2015〜2020年の5年間に100人の若手社員が、30年後には皆100人部長になっている‥‥って、全く想像できませんし、前例としても聞いたことないんですよネ。部長を100人割り当てるって、そもそも「部」が足りる?‥‥しかもたったの5年間の100人の対して。

 

途中で退社して違う会社へと移ったり転職したりと、ドロップアウトする人がいて、5年間100人の社員は10年後に何人残っているか、20年後、30年後は何人残っているか‥‥と実質は100人全員が残っていることは極めて稀でしょう。なので、大雑把でありえない計算だとわかって書いていますが、では現実をどのように捉えた上で「終身雇用」「エスカレーター式昇進」を皆は語っているんでしょうね?

 

子供の頃から、その辺が不思議でしょうがなくて、ずっと疑問のままです。

 

人はどこから現れて、どこへ去っていくのか

 

アニメやマンガや映画のように、都合よく本編に登場して出番が終われば姿を消す‥‥みたいには、人ひとりの人生はいきません。登場する前にも人生があり、表舞台から消えた後も人生があります。

 

「終身雇用やエスカレーター式昇進の仕組みなんて、会社がうまくやってくれる」とばかりに、思考丸投げ、思考停止でしょうか。

 

つまり、終身雇用とエスカレーター式昇進って、言ってみれば、

 

会社の中でメインキャラになる

 

‥‥ってことですよネ。

 

そうやって考えてみれば、主人公級のキャラがどんどん増えていく作品って、相当珍しいです。

 

会社組織における終身雇用、エスカレーター式昇進を、何クール何年も続く長編大作として考えてみれば、全員がメインキャラとして本編で活躍することは‥‥‥‥、まあ、無理ですよネ。

 

1つの舞台の上で、出演者全員がメインキャラになる‥‥なんて無理。

 

私は子供の頃からそうした終身雇用とエスカレーター式の嘘がなんとなく判っていて、特にアニメを本職として志すようになると、一般の会社や国家公務員的なモデルが、どうにも自分の未来とは当てはまらない齟齬を感じるようになりました。

 

一方で、変な言い方ですが、

 

自分は、自分を終身雇用する

自分は、自分を段階的に昇進させる

 

‥‥という自分を1つの会社に見立てて、「ひとり会社組織」的な思考は高校時代くらいには既に芽生えていました。私は高校時代からアニメのスタジオに出入りしていたので、アニメ業界の業態からもフィードバックしていたのです。幸か不幸か。

 

自分の目標は、「とても長い何十年も続く大河ドラマのメインキャラ」=終身雇用とエスカレーター式昇進の会社員を目指すのではなく、色々なドラマに出演して年齢ごとに適役を変えていく演者であるべきと考えました。会社組織に終身雇用を高依存するのではなく、自分とプロダクションとの関係の性質をどうプロデュースしていくのか、私の中では思考として根付いており、未来も同様に行動していくことでしょう。

 

でもそれは、あくまで私の経験や実感、個人的な思考や思想です。

 

一般としては当てはまりにくいことも多分にあるでしょう。

 

私は私の生きた時代性から強い影響を受けて、思考が固まりましたし、方法論も見つけることができました。

 

現在、10〜30代の人には、それぞれの時代性がありましょう。昭和40年代生まれの思考がそのまま通用するわけがないです。

 

なので、最初に戻って、

 

現代、そして未来の、アニメ制作における「働き方の人生設計」に、どのようなモデルが有効か

 

‥‥という、終身雇用とエスカレーター式昇進の可否・是非を時折考えるのです。

 

自分がそうだったからお前らも‥‥ではなく、自分はそうだったけど、君らはどうするか‥‥を、トッブとボトムのアップダウンで考えるのです。

 

 

 

今の世の中、社会慣習だけで子供を産んで育てる雰囲気ではないですよネ。都市部の家賃だけ見ても、親2人子供2人の核家族が暮らす間取り、車の駐車場料金も混みで、15万を切ることは難しいでしょう。都市部の借家住まいは、もし子供のいる家庭を持とうとするなら、自分の人生をどんどん切り崩して破滅に向かうようなものです。

 

私の両親は国家公務員でしたが、公務員宿舎の借家住まいで、当時の家賃は数千円でした。‥‥あのさあ、もし今の価値で3〜5万だとしても、もし家賃がそんな低額で済むのなら、生活の見通しも立って、子供だって作ろうって気にもなる人も増えるでしょうけど、現実は甚だしく厳しいですよネ。

 

そうした現実を前にして、やはり昭和式思考は通用しまい。

 

どこかのおじいちゃん議員が「子供を作らないなんてけしからん」とか言うけど、すべての状況を認識した上での発言とは思えません。戦争でメタクソに破壊された社会がまずあって、復興する好景気を背景にした昭和の感覚のままで、令和の今をどうして語れましょう。

 

なので、ことアニメ制作に関して言えば、40〜60代の世代がアニメをこれから先の未来も作り続けようと思うのなら、一緒に働く20〜30代の世代特有の背景を考慮することがまず必要です。

 

私は自分自身の今までの経験を活かそうとは思いますが、「ひとり会社」の考え方を雇用にまで広げて適用するのは甚だしく愚かとも思います。

 

かと言って、馬鹿みたいに大きな気分になって、できもしない大風呂敷を広げても、結局実現できないのではかえって不信のもとです。

 

終身雇用、エスカレーター式昇進を、肯定も否定もせずニュートラルに捉えて、どのようにして個人も組織も令和での「生き残り」をかけるのか、世代を超えた模索が求められましょう。

 

 

 

 

40〜50代の人間が「俺(わたし)には会社から与えられた終身雇用もエスカレーター式昇進もなかったし、これからもないだろう」‥‥なんて恨み節を続けるよりは、今からでも会社共依存の思考を抜け出して、どうやって「状況の渦の回転を上昇方向に向かわせるか」を、知恵を絞りに絞って思考することが、40〜50代世代層の令和のスタート地点です。

 

もし、今まで受けた酷い仕打ちに対して、まず賠償をしてくれないと、自分たちは動かない‥‥と言うのなら、話はそこで頓挫。

 

40〜50代は、今までの怨念を封じ込めてでも、状況の好転を模索すべし。‥‥そして、今度こそは、好転の恩恵を受けられるように、仕組みも含めて考えるのです。

 

やられっぱなしだった‥‥というのなら、その「ぱなし」から抜け出ることを探し求めましょう。日々不平を吐いて待つだけで、日本の政治に期待しても無駄だと思いますヨ。自分たちの状況は自分たちだからこそ変えていける‥‥と、私は経験上で痛感します。

 

自分の身の回りの状況は結局、エコシステムの一部です。だったら、そのエコシステムの汚染は取り除いていかないと‥‥です。もちろん、コスモクリーナーなんてアテにせずに、自分らの知恵とチカラで、です。

 

 


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