アップコン善し悪し

2K以下のアニメを、4Kや8Kにアップコンする技術の話題は、最近定期的に目にします。

 

アニメをAIで高解像度化、4K・8Kに変換 AIベンチャーが技術開発

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2002/19/news116.html

 

2K時代のアニメ作品の遺産を、4K8K時代に蘇らせる‥‥と言う意図で考えれば、有意義な技術だと思います。

 

では、現在アニメ業界で飯を食っている人々はどうか。

 

「これはいい。今までの2K以下の作り方で、今後も作っていける!」

 

‥‥と思う人もそれなりに多いように思います。

 

よく考えてみましょう。

 

今までと同じ作り方なら、今までと同じ制作費のままでいいじゃん。

 

‥‥という話に簡単になりますよネ。特に、お金を出す側は、そう思うはずです。

 

業界の現場の人々よ。‥‥それでいい?

 

 

 

4Kへの移行タイミングは、アニメ業界のお金の問題を根本的に解決できる、技術と労働の転換期になる好機です。

 

それなのに、安易に「今までのままでイケるんだ」とその場にとどまって、本当に良いのでしょうかね?

 

たしかに、4Kでアニメを作るのはチャレンジの連続ですが、そのチャレンジから逃げてその場を凌ぐのと引き換えに、「変わることができるチャンス」「生まれ変われる未来」を逃すのですか?

 

 

 

2Kを4Kにアップコンした作品は、4K作品としては販売できません。2Kの4Kリマスターと宣伝するのがせいぜいです。すなわち、現場には4Kのお金はでません。中間素材が1.5Kなら、制作費も1.5K時代のままです。

 

「いや、だから、労働の改革を絡めてだな」

 

‥‥と言う人もいましょうが、まさか「AIで4Kにアップコンできるようになったのだから、自分らのお金もアップして」なんて交渉するんでしょうか。どんな屁理屈なのか。むしろ、AIに華をもたせる結果(=AI関連にコストがかかるようになったのだから、制作費の増分はそっちに回す、的な)にすらなるんじゃないですか?

 

 

 

最低でも、4手先は考えておきましょう。

 

タダほど高いものはない‥‥と、昔から言いますよネ。

 

自分たちは何もしなくても、AIのパワーで4K作品になる! 自分たちは何も変えなくて何も支払わずとも4Kが作れる! ‥‥というのなら、まさにタダほど怖いものはなく、結果的に自分らの首を絞め、未来を売り渡す結果となりましょう。

 

もう隠居する予定の人なら、未来など関係ないでしょうが、散々、業界の悪癖・悪習を見ないフリして、最後は逃げ切ってドロンパ‥‥なんて、酷い人生だと思うんスよ。

 

私は、本当にアニメーション制作の産業としての生き残りと未来をかけるなら、アップコンなんかに頼っていては自滅は必至、自分たちの体質を改革してでも4Kなどの最新の映像技術とともに歩むべきと思います。

 

移行期の危うきを助ける役目なら、綺麗なアップコン技術は力強い味方となりましょう。

 

しかし依存しまくって現場の体質を変えようとしないのなら、アップコン技術は、まさに鎮痛薬依存となる引き金となるでしょう。クスリ漬けの業界‥‥にネ。

 

未来を考えれば、今、何をすべきかは、見えるはずです。

 

 

 


余白。

ツイッターの記事でみた、大判作画の余白の扱い。

 

記事にある通り、レイアウトのタップ穴に合わせるのではなく、作画領域に合わせるのが、現場のリアルとして好ましいです。むやみに大判にしても作業の足かせになります。

 

ただ、レイアウトのタップ穴に合わせずに、描画部分の範囲だけペグ(タップ)を設定する方法は、特にセル&フィルム時代の記憶が強い人は、禁忌の感情が無意識に作用するように思います。フレームの中にペグを設置するのって、昔は大NGでしたもんネ。

 

でも今は全然OK。ちゃんとコンポジットできるようにレイアウト&作画時点で設計してあれば(=コレ、重要です)、無意味な余白は削ったほうが良いです。

 

 

 

一方で、デジタル作画の人は大判のまま作画しがち‥‥というのもツイッターで見かけたんですが、それはまだ1.5Kくらいで作画しているからでしょうね。

 

4Kになったら、ピクセル寸法は、節約節約、さらに節約です。じゃないと、すぐにメモリーがオーバーフローします。

 

*注)ウィンドウの警告文に「20880」pxとありますが、実際は1万ピクセル前後です。エフェクトの内容によっては、計算上のバッファを広く取るものがあるようで、このような警告文となります。

 

 

After Effectsでは、1万ピクセルを超えたあたりから、挙動がおかしくなってきます。AfterEffectsだけでなく、QTなどの仕様も関係するのでしょうけど。

 

なので、何も描いてない部分をほったらかしにして、余白たっぷりに作画する‥‥なんていうのは、4Kなどのすぐ先の映像フォーマットにおいては、深刻にNGなのです。

 

‥‥何度も書きますが、たかが横に2フレームのPANの大判で、8千ピクセルになるのです。余白は可逆圧縮が効くとはいえ、作画時のレイヤー展開時の負担は相当なものです。

 

時には、ペグを5箇所くらい設けて、「描いてある部分だけのピクセル寸法」に抑える工夫が必要です。

 

 

 

4Kフォーマットの作品をやるようになれば、いやでも、

 

ピクセル寸法の節約

 

レイヤー数の節約

 

‥‥を実践するようになります。形骸化した約束事じゃなくて、今そこにある危機として、日々実感します。

 

どんなに作画で頑張っても、コンポジット時に「不可能」だったらしょうがないもんネ。コンポジットできなきゃ、納品できんし。

 

不用意に大判作画をするのは、無知の証のようになります。コンポジット時にメモリーオーバーフローする作画をする時点で、映像制作全体が見えていないからです。

 

レイアウトチェック時に、演出や作画監督が「この方法だとコンポジット時に破綻するだろう。もっと、ピクセル寸法を節約する作画方法を考えなければ」と危険予測ができなければダメです。フィルム撮影台時代にも同じような危険予測を有した演出さんや作監さんは多くいました。そうした経験則が今度は、大ピクセル寸法時代に姿を変えて必要になるのです。

 

そんな未来はもうすぐそこです。

 

 

 

でもなあ‥‥。タップ穴のスラビライズで盛り上がっている時点で、まだ夜明けは遠いようにも思えます。

 

紙問題。

 

某国に向けたアウトソーシングでは、プレイグインク的なアレで、紙が運べず足止めをくらっている‥‥とも聞きますし。

 

紙作品は、作品終了後にアーカイブ面で大きな負担もかかってきます。壁のように積まれて並んだ段ボールの山を見ると、タップ穴の位置合わせよりも「紙の現実」を思い知ります。多くの人は、作業が終われば紙は目の前から消えますけど(回収されるので)、作品終了後、紙がどこにいくか‥‥に思いを馳せてみても良いと思いますヨ。

 

紙からペンタブへの転換期は本当に来るのか。‥‥でも、来なかったら、相当ヤバくもあります。20年後に相変わらず紙で作画しているとは、私には思えないんですけどネ。

 

2020年代に、どんなことが起こるのか。

 

備えあれば憂いなし。

 

でも、備えるためには、中々金がかかるのも、現実‥‥ですネ。

 

 


コロナの影響

アニメ業界の色んな方面から、コロナウィルスの影響が聞こえてきますネ。

 

考えてみれば、ものすご〜く、中国に頼ってるんだもん。そりゃあ、大きな影響も出ますよネ。

 

 


激動の日々

レコーダーのおまかせ録画で「旧東ドイツ 激動の日々」というドキュメンタリーが録画されていたので、作業しながら見ていたのですが(自宅で)、傍で番組を観る(聴く)につけ、アニメ業界の未来を暗示しているようで、途中から見入ってしまいました。

 

東ドイツと西ドイツ。分断の歴史、統一、そして統一のその後。

 

東ドイツは西ドイツ側から見れば、恐ろしく古い設備で産業を支えていたそうな。

 

 

 

ふと、アニメ業界の状況が頭をよぎります。

 

東ドイツは紙をメインとした旧技術のアニメ制作現場とそのスタッフたち。西ドイツはペーパーレスかつ新技術を意欲的に導入している現場とそのスタッフたち。

 

雇用や単価、技術、運用、労働に対する、あまりにも大きな感覚の差。

 

壁の中に覆われて、旧態依然とした状況を繰り返していた旧来(従来)アニメ業界は、まるで壁崩壊前の東ドイツのごとくです。

 

もし「壁」が崩壊したら。

 

壁が崩壊したことは、アニメ業界の呪縛とも言える過去の作業慣習(特に金の問題)から解放される歓喜ともなりましょうが、一方で「それまで積み上げてきたものが、突然無くなってしまう」ことでもありましょう。東ドイツの女性従業員のインタビューは、紙でキャリアを積み続けたアニメーターの境遇と重なります。

 

OSSI(東出身者〜オッシー)とWESSI(西出身者〜ヴェッシー)という言葉は、特に印象的でした。やがてOSSIがWESSIに対して劣等感を抱く‥‥という経緯についても。

 

東の友人(Ossi)はすっかりあきらめの境地にいた。何をするのも馬鹿らしい、何もしたくない、どうでも良い‥‥といった感じ。(インタビューより)

 

西の人(Wessi)は、雰囲気や身のこなしが、とても自信がある感じ。(インタビューより)

 

両者の間には、新しい見えない壁が存在していました。(ナレーションより)

 

 

辛辣ですね‥‥。

 

アニメ現場に例えるなら、アッシーとディッシーでしょうかね。「AとD」、アナログ出身者とデジタル出身者。俗っぽい言葉ですけど。

 

今までのアニメ業界のカタチでは未来に対応できなくて崩壊して、4KHDRなどの新基準の中で、旧時代のスタッフが新時代の流儀に抗いようもなく呑み込まれていく、時代の移り変わり。

 

4KHDRで何をどうしたら良いかもわからず、ただ戸惑うだけ。特に紙だけを使っていた世代は深刻で、4Kのフレーム寸法のなんたるかを理解できない。

 

紙時代の流儀にいつまでもこだわって非効率で無駄な段取りや作業ばかりを繰り返す人々をアッシーと呼び、一方、技術もお金も生き方も新時代の感覚をもち柔軟に対応できる人々をディッシーと呼ぶ。

 

ことあるごとに「これだからアッシは面倒い」と見下されるような空気が恒常化する。

 

アッシーは、「どうせ自分は時代遅れの役立たずだ」みたいな無力感に苛まれる。そして、アッシーは相変わらず「昔の単価のまま」の業態で使われ続ける。もはやチャレンジする気力など喪失し、自信も誇りも失う。

 

そんな時、「昔のアニメは面白かった。楽しかった。作っていて充実していた。あの時代を取り戻そう!」という気持ちが、「懐かしのアニメ復刻」のイベントで盛り上がる。アッシーたちは自分たちの「失った居場所」を模索し始める。

 

‥‥ドキュメンタリーの内容をアニメ業界の未来風にアレンジしてみましたが、笑ってられないですネ。

 

実は、2020年代終わり〜2030年代に、「昔ながらの技術でアニメを作ろう!」というムーブメントが起きるのではないか‥‥と、私は予測しています。突拍子もない夢想ではなく、過去の色々な実例から鑑みて、です。

 

 

 

歴史から学べることはたくさんあります。

 

2010年代の深夜テレビ枠の乱造の時代、あんなに殺人的なスケジュールでも乗り切れたんだ!‥‥という経験が、今のアニメ業界にことごとく裏目に出ているは、デミャンスク包囲戦突破で自信を得たドイツが、ベルリン包囲戦まで追い詰められた結果と、酷似してませんかね?

 

実際、2010年代の濫作と乱造に自信を持ってしまって、今後もそれでいけると思っている人は多いでしょ。

 

ただ、お金の問題はどうだろうネ。皆が2020年代にも同じ金額で大人しく作業するかね? そして、アニメブーム世代の人間は、確実に時間あたりの作業量は落ちますよ。2010年代と2020年代の状況は、全く同じじゃないです。

 

AssiとDissi。AとDだなんて、俗っぽい分け方ですが、OstとWest、OssiとWessi、東西ドイツのドキュメンタリーを見ていると、アニメ業界の明日を予感せずにはいられません。

 

 

 

 


自滅

ツイッターで見かけたんですが、アニメ制作現場での「止め」セルの記入の際に、「1」とだけ記入するか、「1止め」と記入するか、どちらが良いか?‥‥という話題がありました。

 

1止め または 1end

 

‥‥が良いです。明確な理由があります。

 

冷静に物事を考えましょう。

 

なぜ「止め」と記入するか

 

を。

 

どっちが正しいか、どっちが約束事か、なんて暗記物なんかにせずに、あくまで合理的に、構造的に。

 

1‥‥とだけ書かれていると、どう思いますか?

 

次に2が来るかも知れない可能性を考えるでしょ?

 

一方、1止め‥‥と書いてあれば、そのセルが1枚しかない止めセルだとすぐにわかります。

 

そして、無駄な「次の2を探す検索行為」をしなくて済みます。

 

シートは演出や原画や動画のためだけにあるのではなく、彩色や撮影や編集や制作のためにもあるのです。

 

そうした制作運用上の機微を考慮し、作業想定を合理的に考えれば、「止め」と付記したほうがストレスが軽減されるでしょ。

 

よく考えようよ。暗記するんじゃなくて。

 

 

 

先輩がそれで正しいって言ってたとしても、その先輩は撮影なんてしたことないでしょ? 正しいかどうかなんて、その動画の先輩の経験値じゃジャッジできないよ。

 

動画の先輩の面目を潰して悪いんだけど、コンポジット作業のシート打ちをする際に、「1」としか書かれてなければ、わざわざシートの最後まで目で追って「2」を探すんだよ。もし2がなければ、連番ファイルを確認したり、シートを何度も見返して見落としがないか確認するんだよ。迷惑なんだよ、無駄な時間を取らされて。「正しくもなんともない」のだよ。

 

「止め」は1枚しかないこと=1のみで番号が終わることを伝達し、「END」は連番の番号が終わることを伝達します。ゆえに、「1止め」だけでなく「1END」という書式も根付いています。

 

番号がこれで終わります。‥‥という伝票上の記載事項なんですよ。現場の雰囲気とか教わったとかじゃなくて、伝達事項です。

 

 

 

あのさあ。

 

作画の人間もコンポジット(撮影)の基礎だけでも学んで、50カットくらい、コンポジットしてレンダリングしてみれば?

 

そうすれば、仕組みが、すご〜〜〜〜く良くわかるよ。

 

 

 

アニメ業界自体がガラパゴスだけど、そのアニメ業界の中で、

 

作画はガラパゴスの中のさらにガラパゴス

 

‥‥なんだよね。

 

2020年代に致命的に「業界の近代化」の足をひっぱるのは、確実に作画工程です。それをいやというほど、2020年代に味わうことになります。

 

4Kが特別だと思っている時点であまりにも時代から遅れ過ぎています。A4用紙を144dpiでスキャンなんかしてて、未来に生き残れるはずないじゃん。凄い低解像度でいつまで作り続けるつもりか。

 

まあ、ガラパゴスの珍獣として生きることは可能でしょうが、それはほんのひと握りで、多くは淘汰されます。

 

珍獣として生き残る覚悟があるのなら良いですが、単に業界に依存して生き続けようと思うのなら、業界の自滅の道を共に歩むことになりましょう。旧来の制作現場はものすごい勢いで型崩れが進行しており、ツイッターで呟かれる様々な現場でのテクニカルエラーが、まさに崩壊と自滅を体現して象徴しています。

 

自滅の成り行きに気がついた人々が、徐々に業界とは別路線を歩み始め、さて、2020年代、そして2030年代はどうなりましょうか。

 

別路線では旧来の作画のしきたりなど通用しません。全世界で進行する技術の進化に足並みを揃えられる人々が、新技術をアニメ制作に応用し、独自のサバイバル能力を獲得するのです。

 

 

 

人生は長いです。40歳なら50年近くも時間があります。

 

なのに、どんどん道幅が細くなって、道沿いのお店も街灯も減り、真っ暗な道を歩み続けますか。

 

分岐して新しい路線を模索しましょう。

 

岬の崖までたどり着いて、もう引き返せない、もはや海に飛び込むしかない‥‥と自殺するまえに。

 

 


64GB標準、128GBは仕事標準

家のiMac 5Kは、新発売当時に飛びついて買ったので、初期型も初期型です。なので、サイドカー(iPadの液タブ化)にも乗れず、メモリの上限は32GBです。

 

メモリ。ストレージではなく、メモリ=RAM。

 

32GBは、既に日頃使いでも、少なく感じます。

 

アニメ制作会社のマシンでは、32GBのメモリは「結構積んでます」的な認識かも知れませんが、もはや32GBは少ないほうです。64GBくらいを標準にしたい、「2020年の今」です。

 

MacもWindowsも、4Kのやや重めの内容のコンポジット作業では、32GBはギリギリです。

 

iMac 5K、次の更新で128GB実装可能にしてくれないかな‥‥。今は高くて買えない大容量メモリも、毎度のことで、やがて値段は小慣れます。16GBモジュール4つではなく、32GBモジュール4つが搭載可能になれば、将来的に増量することも可能です。

 

 

 

新型MacProは、お値段が凄くて金の話題ばかりで盛り上がりがちですが、仕様・スペックは「未来の映像制作なら、然もありなん」という内容です。

 

4KHDRの作業をしてみて、すぐ先の未来に、どんな制作環境が必要か、しみじみ実感しました。

 

64GBはそこそこ多い容量だと思ってましたが、4Kでカットアウトの仕事だと結構不安があります。2Dのアニメでも、64GBメモリも10コア20スレッドのCPUも常にフル稼動しています。

 

64GBが標準、128GBは仕事なら普通。

 

そんな時代はもう目の前ですネ。

 

4Kになってピクセル寸法が大きくなったぶん、メインメモリだけでなく、ビデオメモリも積み気味にしておくのが良いです。

 

 

 

一方、64bit化の段階で、既につまずいているアニメ業界の機材調達事情。

 

今までずっと、機材費にお金を回さず、Adobe製品もCS6のままだった集団は、次の大更新時期にとんでもない出費になると思います。

 

マシンもソフトウェアも周辺機器もインフラも仕切り直し。

 

10Gbpsのネットワーク、外部ディスクは40Gbpsの規格は普通に必要になりますのでThunderbolt3かUSB4は必須です。つまり、マシンとソフトを買い換えるだけでは、「近代化」は達成できません。ネットワーク機器やケーブル、周辺機器など、「総取っ替え」になります。一度に入れ替えなどしたら、1000万単位になるでしょう。

 

例えば、ムービーを再生するだけでも、4Kの映像をフレーム落ちせずに、猛烈な速度でデータを転送して再生できる必要があります。2K環境のままではあまりにも鈍速で、4K24pの安定したラッシュチェックなど不可能です。

 

圧縮しているHEVC/H.265は、実はデコードにマシンパワーを必要とします。圧縮画質でも良いから一時的にチェック‥‥と言っても、HEVCの再生自体が旧マシンだと難しい場合があります。ムービーの簡易再生だけでもつまずく要素が転がっています。

 

4Kのラッシュチェックを2KのH.264か高圧縮のH.265でおこなうわけにはいきませんから、ProRes4444やDNxHRの再生環境が必要になります。4Kの高品位ムービーを再生するということは、高速で大容量のディスクが必要になります。「じゃあ、SSDのRAIDだ」と思うわけですが、それだけではツメが甘いです。送り出し側と受け取り側が高速でも、通る道が狭かったら速度は出ません。ケーブルも新しく買うことになりますが、ケーブルの購入費用は思いもよらずジャブのように出費のダメージが積算されます。速いケーブルはお金も高いです。SSDにしても、SATAかM.2かで随分変わってきます。

 

ちなみに、作画関連は、4Kサイズでも、iPad Pro(まあ、iPadは4Kじゃないし)のクリスタで再生チェックできました。恐ろしくなるのは、コンポジット工程以降です。

 

 

 

2020年代は、

 

WW1の複葉機でもなく、

 

 

WW2の単葉引き込み脚のレシプロ機でもなく、

 

 

亜音速ジェットの時代になりましょう。

 

 

 

ジェット機なんて無粋だ‥‥なんて言わないで、複葉機、単葉レシプロ機、ジェット機、3機の共通点=「人間が操縦する」点に胸を躍らせましょうヨ。

 

人馬一体、マンマシン一体。道具は体の一部。

 

128GB時代に果敢に挑戦しましょう。

 

 

 

10年くらい前にも同じようなことを書いた覚えがあります。メモリ128GBとは書きませんでしたが、比喩として、ジェットの時代が来る‥‥と書きました。

 

その時は、まさか日本のアニメ業界の技術発達がここまで鈍化するとは思っていませんでした。まさかの大失速。

 

しかし、2010年代は技術が停滞した「おかげ」でむしろ技術内容が安定して、深夜アニメを量産できた‥‥とも言えます。夥しい作品数の量産体制を支えた姿は、まるで戦中の軍需産業に似ています。零戦が陳腐化しても終戦の年(1945年)の8月まで作り続けましたよネ。零戦は1万機以上も作ったそうですヨ。

 

とは言え、技術停滞の影響で、日本のアニメ業界の技術は総合的にどんどん陳腐化してしまい、4KやHDRなどの新時代の映像品質に対応できない現場だらけになりました。

 

加えて、量産を支えたことが影響して、もはや量産を基準としたお金や時間の感覚で満たされています。テレビアニメを作る以上、膨大な「それで作っちゃった」前例があるので、現場や環境の改善など見込めないですよね。CS6で作り続けていることが、判りやすく物語っています。CS6で作ってきたんだから、買い替えなどせずに、これからもそれで作ってよ。‥‥って言われておしまいです。

 

じゃあ、これからの未来は変えられないのか。‥‥そんなことはないですよネ。陳腐化した部分を挽回すれば良いだけです。「外的なきっかけ」は2020年代にいくらでもありますヨ。

 

まずは、機材の陳腐化をどのように、新しい映像フォーマットに適合するよう更新するか。

 

とにかく、8GBや16GBのマシンから、32〜64GBのマシンへと買い替えて、4〜6Kの絵を描いて動かしてみることです。

 

そうすれば、色々な運用上や作業環境上の問題点を実感できて、改善のアイデアやノウハウも蓄積できます。

 

 

 


2020年の認識

自動中割り&無人動画。フレーム補完。カットアウト。

 

この差を明確に理解できる知識は、2020年代のアニメ制作関係者の常識として必要です。

 

しかし、どれも曖昧に混同されがちです。

 

原画を描いたら、その後にコンピュータで処理して、あたかも人間が動画作業をしたかのような結果を得る‥‥のを、「無人動画」なり「自動中割り」と呼ぶようにする。

 

一方、完成した映像のフレームレートをアップするためのフレーム間の画像補完を「フレーム補完」と呼ぶ。

 

‥‥のように決めたほうが、誤解を抑えられて良いんじゃないかと、最近は思います。

 

 

原画だけの状態から、動画相当の絵をコンピュータで作り出して成功するには、ものすご〜く条件が限られます。

 

一方、完成した映像のフレームレートを増す処理は、それこそ2017年製の市販品4KHDRテレビでも結構上手くいってます。

 

「無人動画」と「フレーム補完」の2つを混同していては、アニメ映像制作のプロの肩書きが泣きます。

 

もう2020年ですから、そろそろ肌身で実感しても良いころです。

 

 

 

もうひとつ。

 

無人動画とカットアウトを混同しないようにしましょう。

 

カットアウトで絵を動かせるのは、カットアウト専門の描き方をしているからです。アニメ業界の原画の描き方でいくら描いても、カットアウトにはなりません。

 

カットアウトは、そもそも原画の次に動画‥‥というプロセスでは作業しません。動かす元の絵を描き、動かせるように組み、実際に動かす‥‥という段取りで、従来の原動画とは大きく異なる概念と構造で作業します。リギングやアニメーションなどの言葉が用いられることからも、仕組みが違うことが伺い知れます。

 

カットアウトは、原画を描いたら、動画作業部分をコンピュータが処理するわけではないです。そんな都合の良い魔法のような内容ではないです。

 

元の絵(原画と慣習的に呼ぶこともありますが)を描いた後に、ペイント作業をして、その後にアニメーション(動かす工程〜無理やりこじつければ動画とも呼べなくもないですが)の作業となります。現場風の言葉を使うなら、「原動仕」ではなく「原仕動」の順番です。

 

 

 

 

自動中割りは限定的には実用化され、実際に作品の中に成果が盛り込まれています。無人ではないですが、自動中割りで可能な作業は実用している現場もありましょう。

 

私が参加した2013年公開の劇場アニメで、少しだけ使ったことはあります。もう7年前ということになります。自動中割りでダメな部分(=絵が溶けている部分)は、リカバーして修正しました。

 

AIの言葉に踊らされている一部のアニメ業界人が望むものは、すなわち「原画さえ描けば、コンピュータが動画作業をおこなう、無人動画」でしょうが、そんな都合の良いプロセスは実用化にはほど遠いことは、ちょっと調べれば判ります。

 

既に人間が動画作業で動かした後に、さらにその間(動画と動画の間)にピクセルモーションで絵を詰め込んでいく処理は、進化を続けています。しかし、原画の意味を理解し、絵の各所別々でツメのタイミングを推し量って動きを描くことは、コンピュータには難しく、技術と達成レベルの難易度に雲泥の差があります。

 

例えば、「布に水がゆっくり染み込んでいくシミ」の動画は、自動中割り・無人動画でも可能でしょう。

 

しかし、「ぐーちょきぱーの手の動き」や、「どんぶりをひっくり返して中身をブチまける動き」が、果たして自動中割り・無人動画で可能なのか、理屈で考えてみればわかると思います。

 

何もないところに、何かが現れる‥‥ということを想像して描く動きは、コンピュータは苦手です。どの自動中割りのデモを見ても絵が溶けていることで判別できます。現場風に言えば、「割り先が明確な動きが得意」「デッサン割りが苦手」「創意工夫して創作する動きは困難」なのが、コンピュータの特徴です。

 

もし「そんなことはないはずだ」と思うのなら、自動中割り・無人動画を宣伝しているソフトウェア開発会社や研究チームに、手加減せずにいつも通りの描き方で描いた原画を持参して、目の前で実演処理してもらえば良いです。それで本当に「納品できるレベル」に仕上がるかどうかを確認してみてください。あらかじめ用意してあるデモで上手くいくだけでは「無人動画」とは呼べません。

 

 

 

一方、カットアウト的な技術については、自動中割りともフレーム補完とも明確に認識を分けたほうが良いです。

 

線や塗り領域をオブジェクトとして個別に管理し、キーフレームで動かす技法に対しては、自動中割りと呼ぶのを避けたほうが、誤解されずに済みます。

 

「自動中割り」と聞くと、今でもそれなりに多くの人が、「動画作業と同じことをコンピュータがおこなっている」=「今まで通りの原画を描けば、動画はコンピュータがやる」と思い込んでしまいます。なぜかって、「中割り」という言葉が、そのように現場の人間の思考を誘導してしまうからです。

 

2点間のキーフレームの「中間値」を「中割り」ということにしたら、映像制作作業は「自動中割りだらけ」になってしまいます。

 

そろそろ、「わかりやすさのためだけに、自動中割りという言葉を使うのはやめる時期」だと思います。今は、2020年ですもんネ。

 

 

上図の髪の毛の動きを見て、「コンピュータで自動で中割りできるようになったんですね」‥‥と言われると、返答に困ってしまいます。

 

おそらく、「自動で中割り」という言葉には、カットアウト的な意味は含まれていないであろうことが、単語のチョイスで判るからです。カットアウトを知っていれば、自動中割りという言葉は使いませんもん。カットアウトのモーションを自動中割りということにしてしまうと、アニメ撮影のセル引き(セルのスライド)のモーションも自動中割りということになってしまいます。

 

では、「自動で中割りしていないのなら、どうやって動かしてるのか」と聞かれると、どんどん認識の相違が泥沼にハマります。「人が描いた絵をコンピュータのソフトウェア上で動かして」と言っても、「だからそれが自動中割りなんじゃないの?」という風に解釈されます。

 

 

 

要は、

 

耳だけでなく、自分の手でやってみれば、解る

 

‥‥です。

 

日本のアニメ業界の「演出」「作画」担当の未だ多くは、耳で聞いただけで「デジタル」を知った気になっているだけで、実際にコンピュータやタブレットPCで仕事をしている人の割合は少ないです。ゆえに、いつ迄経っても理解は進まず、懇親会もどきのシンポジウムを開催しては、お互いの初歩レベルを確認し合って「まだ自分はそんなに遅れていない」と安心し合います。日本人の典型とも言える「イノベーションにほとほと弱い」性格が、アニメ業界にも見て取れます。

 

自分でやってみりゃ、解るんよ。人から聞いてばかりいるから、要領を得ないんだよ。

 

2020年代は、技術の変化だけでなく、人々の思考がどう変化していくのか(=いかないのか)を目の当たりにする10年間となるでしょう。技術が滞りなく進化して世の中が変わってしまうので、アニメ業界にとっては2010年代と同じ10年にはなりません。閉ざされた竜宮城に、外界の影響が及びます。

 

ツービート(たけしさん)の「赤信号、みんなで渡れば、怖くない」みたいに、

 

竜宮城、みんなで住めば、気にならない

 

‥‥と言ってられるのは、世界のごく僅かなフィールドたるアニメ業界の閉鎖空間だったからです。

 

「海の下にも都はございましょう」‥‥だなんて、壇ノ浦みたいです。

 

 

 

久々に、外界に出てみれば、自分たちのやっていたことは昔の夢だった‥‥なんてことのないように、全世界規模の映像技術進化に気を向けましょう。

 

Eaglesの味わい深い一曲「Desperado」は、Before it's too late‥‥と歌って閉じますが、考えてみれば、アニメ業界は産業界の「ならずもの」、ブラックブラック言われて、一方で、自分たちの技術に自信を持ちすぎて、外界へと視野を広げようとしなかった性格は、何だかまるで歌詞の内容みたいです。

 

ホントに、手遅れになる前に‥‥ですよネ。

 

 

 


PSD、Clip、連番ファイル

私は、4年以上、Procreateで原画を描いていますが、Procreateでやりとりできるなどとは思っておりません。ごく内部の同じフロアのチームならOKですが、一般的なファイル形式であるわけがないです。

 

なので、ProcreateからPSD形式で書き出して、互換性をまず確保することになります。

 

ただ、PSDはそれはもう、みなが好き勝手にレイヤー構成している状況。無法地帯です。

 

だからと言って、細かい仕様を決め込みすぎると、それはそれでガッチガチになって運用が難しくなります。そもそも、原画って、時にはAセルのみ、時にはABセルを1枚に書き込み、時には注釈もつけたりで、紙の時代から綺麗にセルごとに分割されているわけではないです。

 

レイヤーフォルダ(正式名はLayerSetオブジェクト)にAセルを入れようと思っても、たまにABCセル書き込みになった場合、果たしてそれはAセルと言う名のレイヤーフォルダに入れるべきなんでしょうかね? Bセルのレイヤーフォルダの中がスカスカに番号抜けしてたら、逆に混乱すると思いますし。

 

紙の原画の作法を踏襲している「デジタル原画」なら、紙に倣えば良いと前々から感じてます。タイムシートに原画を挟む時に、AセルBセルごとにクリップやホチキスで留めたりしませんよネ。

 

ですから、レイヤーフォルダでセルごとにまとめるよりも、PhotoshopでPSDファイルを開いた時のレイヤー並び順が、まるで紙に挟んでいるが如くに整然と並んでいれば良いと思います。レイヤーフォルダの使い道は、1枚の絵が複数レイヤーに分割された時に、1つの絵としてまとめる時で良いんじゃないかな‥‥と最近は思うようになりました。

 

で、そのようにPhotoshopのスクリプトも作ってあります。レイヤーフォルダの第何階層まで掘るか‥‥という深度を決めています。

 

 

 

と言うのは、限定的な話題です。

 

もっと大きな話題。

 

結局、「デジタル作画のやりとり」には、何の形式が共用(公用)に向いているか。

 

‥‥が一番大きくて深刻で厄介な問題です。

 

私は、

 

「デジタル作画」ならclip形式でいいんじゃない?

 

‥‥と思いますけどネ。Clip Studioだったら、導入のハードルは地べたを這うが如く低いでしょ。

 

「デジタル作画」=紙作画のスタイルを移植した作業内容なら、Clip Studioが最適だと思いますけどネ。導入&維持コスト、性能ともに。

 

でも、皆がClip Studioを所有しているわけではないので、clip形式は環境によっては全く開けないファイルなのです。

 

Clip Studioは2020年代、アニメーター必須のソフトウェアとなるか、こればかりは誰も決められません。予測もできないです。

 

 

 

一方、新時代の作画技術を導入して、4KHDRや60pにも対応して、未来のデファクトスタンダードを獲得する目的なら、今のところ、Toon Boom Harmonyが最適とは思います。

 

Harmonyは、階調トレス、カラーアートやオーバーレイなどの複合レイヤー、デフォーマー、マスターコントローラ、ノードスタイルのUI、XYZの立体的なカメラがデフォルト‥‥と、日本のアニメが手を出せずにきた要素をふんだんに装備していますから、新しい技術スタイルでこそ真価を猛烈に発揮します。新しい脳みそ=作画に対する新しい思考形態が使う側に必要です。

 

 

 

とはいうものの、アニメ業界の暗黙の総意としては、しばらくはまだ、紙スタイル・フィルム撮影台スタイルの映像制作を続けようとしているわけですよネ。

 

だったら、例えば原画作業なら、

 

  • PSDで一つにまとまった原画ファイル
  • 全ての原画枚数がフラットに見渡せる連番ファイル(最高画質のJPEGかTIFF。TGAは解像度情報がないのでNG)
  • タイムシートをファイル内部にもち、すぐにパラパラと動きが見渡せるclip形式
  • プレビューのムービーファイル(m4v、mp4が良いと思います。容量は軽いし互換性が高い)

 

あたりを整備しておけば良いと思います。

 

うわ〜‥‥テンコ盛りだな‥‥と思うでしょうが、私もそう思います。過渡期ゆえの、内容が重複した無駄リソースです。

 

しかし、現状の「デジタル作画」は1つの形式に決めきれないんだから、様々なケースに対応すべく、書き出しの自動化なども活用して対応するしかないです。

 

スクリプトを作って自動処理すれば、例えばクイックアクションなら、Automator => AppleScript => Finder => Photoshopの流れで、手作業だと異様に面倒な原画上がり画像セット書き出しも、PSDから自動生成できます。

 

 

過渡期は、自動処理や運用法など色々工夫して対処しないと、煩雑な作業に心身を喰われます。

 

 

 

ちなみに、去年は原画>演出>作監>動画>動画チェックと作画絡みをClip Studioでフローしたスタイルも実践しました。とてもスムーズでやりやすかったですよ。

 

それでも、動画作業で使う色鉛筆の16進数の値は何がOK?とか、ペイントマンとの互換性を検証したり(何色まで認識できるのか)とか、一筋縄ではいきませんでした。

 

ソフトウェアや環境がバラバラなら、もっと一筋縄ではいきません。なので、少なくとも今は、いろんな受け渡し方法に対応する必要があります。

 

 

 

TVPaintは、去年アプローチした際にちょうど代理店が日本からなくなった時期で、レスポンスが非常に悪かったのが災いして、全く使っていません。一時は試しに導入してみて、4Kでどうなるか、テストしてみようと機運が高まっていたんですけどね‥‥。

 

加えて、やはり去年の同じ頃、TVPaintを導入している会社に外注のアプローチをした時に「4Kのタブレットをそちらで用意して供給してくれないと、作業は難しい」と言われて、さらに遠ざかることになりました。私はiPadで全ての4Kの原画・作監の作業をしたので、2.8Kでも4Kの作業はできるんだけどね‥‥。Clipで動画を引き受けてくれた外注さんは、おそらく2〜2.5Kで作業したはずですし。1〜2カットのために、4Kタブレットを用意して貸し出せ‥‥というのは、さすがに呑めませんでした。

 

たまたま、その会社の担当者の対応の「めぐりあわせ」かも知れませんが、そうこうしているうちにClip Studioで4Kが作業できることが検証できて、TVPaintを4Kで使う話は消滅しました。‥‥ちなみに、スタイロスで4Kは困難の連続で実質NGでした。

 

わたし的には、Aura時代から馴染んで、旧知の知り合いもAura時代からの凄腕の使い手だったりして、決してTVPaintそのものは難ありとは思ってないんですが、悪い要素が重なっちゃったよなあ‥‥。2020年の今となっては、どうせお金を出すのなら、もう少し出して、カットアウトに完全対応しているHarmonyのほうが魅力がありますし。

 

TVPaint社は2020年の現在も日本の拠点はないのだろうか。中国に拠点があっても、なあ‥‥。セルシスもToonBoomも、拠点は日本国内にしっかり存在してますよネ。アマチュアがフリーウェアを使うわけではないので、その辺は重要なポイントです。

 

 

 

2020年代、「デジタル原画動画」を取り巻く状況はどんどん変化していくでしょう。

 

その変化に追随していくには、かなりの柔軟性が必要です。

 

しかし、柔軟に対応するがあまり疲弊してしまうことは、容易に想像できます。ユラユラ揺れる船の上で船酔いするかのごとく。

 

ならば、多少揺れても、水平を保つスタビライザー的な仕組みを考えないと、体がもちませんよネ。

 

幸い、使う道具はコンピュータなので、スクリプトなどの自動処理で揺れを吸収することはできましょう。

 

コンピュータゆえに揺れるのなら、コンピュータで揺れを吸収するのも、手の1つですネ。

 

 


フレーム補完と自動中割りの共通限界点

Dain-Appという興味深い技術が紹介されていますネ。

 

AIを駆使してアニメや映画をヌルヌル動かしてくれるフレーム補間ソフト「Dain-App」

https://gigazine.net/news/20200121-dain-app/

 

自動中割りというよりは、フレーム補完技術の流れですが、テレビの60fps補完機能と違うのは、もともと3コマ打ち=「8fps on 24fps」の映像まで60fpsに補完している点です。

 

従来のアリゴリズムですと、24fps映像の中に部分的に8fpsが含まれていると、カメラワークだけが60fps化されるなど、画面の中で8fpsと60fpsが混在する補完になっていましたが、Dain-Appのデモを見ると、3コマ打ちシートのキャラの動きも60fpsで動いていますよネ。正直、ソレができるとは思ってませんでした。AIのなせる技?‥‥なんですかね。どんどん技術は進歩しますネ。

 

映像内容を細かく観察して、

 

背景のスライドは24fps

 

だと認識し、一方、画像の特定部分=人物の部分とかは、

 

111222333444555666777888の3コマ打ち=8fps

 

‥‥と、同じ絵を3回使いまわしている動きであることは、少なくとも人間の知能なら分析できます。

 

同じ分析をDain-AppのAIでおこなっているかは、アウトサイダーなので不明ですが、映像を見る限りは達成しているように見えます。

 

この点は純粋に評価すべき点と思いますヨ。

 

 

 

‥‥で、制作現場で現役のアニメーターなら、すぐに目につきますよネ。

 

均等割りになってしまっていること

 

割り間違いが随所に散見されること

 

‥‥を、です。

 

実は、これは自動中割りでも同じ障害がありまして、ゆえに、私は自動中割り(ピクセルモーションによる画像補完)を現段階では極めて限定的にしか使わないのです。‥‥ちなみにカットアウトは自動中割りとは別の技術ですよ。

 

自動中割りと、Dain-Appが、同じ限界でつまずいていることは、注目すべきことです。

 

自動中割りのデモでたまに見るのが、炎の動きが下に送られて、上下上下を繰り返す動きになっているテクニカルエラーです。千切れた炎は下には戻らんですが、形が似ているから、間違うんですよネ。

 

 

 

‥‥で。

 

人間も同じミスをすることがあります。

 

人間でも、初心者や、やっつけ仕事のタップ割り・均等割りだと、同じ結果になるのです。

 

上述の炎の中割りも、新人が理屈も考えずに、周辺の似た形に中割りしてしまい、動画チーフに「普通に燃えてる炎って、下や真横に向かって動くかい?」と指導されます。昔からエフェクト作画で新人がやらかす「あるある」ネタです。

 

下図は極端ですけど、割りミス・割り間違いの典型です。

正しい動きは下図。

 

 

同じミスをするのに、人間もコンピュータも隔てなし。

 

興味深いですネ。

 

人間だと、こんな中割りはしない!‥‥とか言いがちですが、人間でも知識と経験が及ばないと、自動中割りやDain-Appと同じ結果物を作ってしまうのです。

 

例えば、キャラの各パーツそれぞれ異なる動きの流れ(それぞれのツメ)を見極めることって、動画作業者の中堅以上のキャリアでないと難しいです。

 

ゆえに、自動中割りもDain-Appも、そして初心段階の人間の動画作業者も、中割りは均等で綺麗なんだけど、動きがチグハグになるのです。

 

 

 

実は、初心者から中堅以上のレベルに上がるためには、「自分の中の、技術的特異点を通過する」必要があります。

 

あ‥‥なんか、解ったかも。

 

‥‥と、突き抜けて、向こう側へと繋がった感覚‥‥とでもいいましょうか。

 

オカルトみたいな表現ではなく、もう少し現実的な表現で言うと、動き=運動には、近似性があって、重量やスケールの大小こそあれど、皆、似た形や運動をしていることに「まるで一線を越えたように、すっと理解できる瞬間」があって、その近似性を応用できることにも気づく‥‥といいましょうか。

 

もっと言えば、別のジャンルに思える、絵のレイアウト、絵の色彩、映像の抑揚、音楽の旋律やリズムは、みな近似しているのです。‥‥あれ、もっとわからなくなっちゃいましたかね‥‥。

 

After Effectsのキーフレームのカーブを設定する時、初心者の人はめちゃくちゃなカーブを設定しがちですが、見ていて心地よい映像は、キーフレームのカーブだって、まるで猫の背中のカーブを描くようにゆったりと滑らかなんですヨ。

 

 

*キーフレームのカーブは、絵を描くのと同じです。激しい変化を求めていないのに、ちぐはぐでガタガタなカーブになれば、映像だってガタガタで不自然になります。猫の滑らかなボディカーブが描けるのなら、その描き方を頭の奥でイメージして応用すれば良いのです。

 

 

「間(空白)を表現する」「様々な動きの中に、自然界法則の暗喩を見る」ということを、AIにも学んでもらわないと、その先の「人間だけが表現していた領域」には踏み込めません。

 

やっつけ仕事の粗い内容はAIにもできるでしょうが、監督・演出の人に「そうそう!この雰囲気が欲しかったんだよ!」と言ってもらえる完成物には、ほど遠いものになります。

 

 

 

AIではないですが、「フレーム補完」「自動中割り」について、ずいぶん前に、こんな映像をテストしたことがあります。

 

技術的なハードルは高くて、原画から動画へと映像を作れるか‥‥というお題です。

 

原画の絵のタイムラインはこうです。

 

 

 

期待する結果はこうですよネ。24fpsフルモーションの場合。‥‥カットアウトで動かしているので、普通に動きます。

 

 

8fps(3コマ打ちの場合)では、以下のようにパタパタとした可愛い感じに動きます。これもカットアウトです。

 

 

 

でも実際に「自動中割り」「フレーム補完」で処理してみると、以下のようになりました。原画のコマの絵から、ピクセルモーションで「自動中割り」した結果です。原画枚数だと絵(フレーム)が少ないので、「中割りの絵に大問題」が発生していますネ。

 

 

まあ、面白いっちゃあ面白いんですけど、リテークですネ。

 

でも、この結果を笑ってもいられないですよ。80年代のアニメで、ハンドルを切る手の動き(手を交差させて回転させる動き)で、腕が3本になった動画(当然、人間が描いた)が放送されたことがあるらしいです。昔話じゃなくて現在でも、キツめな「作画崩壊」は似たような状況ですよネ。

 

動画を自動化する「無人動画」‥‥なんて期待している人もいるかも知れませんが、原画枚数を描きまくって、処理アルゴリズムが正常に処理できるようにしないと、無残な結果に終わります。動画工程は、清書する時にも、絵を動かす時にも、極めて「人間の処理能力」を要するのです。

 

ちなみに、既に8fps=3コマ均等に動かしたのちに、ピクセルモーションで24fpsに補完すると、キビしい部分はまだあるものの、相当マシになります。Dain-Appはこのジャンル(低いフレームレートを補完する目的。アニメ作画の自動中割り目的ではない。)の進化系と言えそうです。

 

 

ゆっくり動いている部分は、ミスなく「中割り」してますネ。‥‥あ、空との輪郭部分は、ちょっとブルブル震えて危ういですネ‥‥。

 

 

 

‥‥なので、60pを目指すのなら、最初からクリエイティブの人間が、60pを意識して作品を作るのが良いでしょう。

 

60pはものすごく難しいですよ。3コマうちでパタパタ動かしておいたほうが、ぶっちゃけ「様になり」ます。

 

60pでアニメの絵を動かすのは、アニメーターにとって前人未到の領域と言っても、大袈裟ではありません。

 

フルアニメーションを作りたいなら、最初から24fpsや60pの動きをアニメーターが作り出さないと、単に中枚数だけが増えた「チカラのない映像」になります。

 

3コマの動きが描けたからって、フルアニメーションで上手く描けるとは限りませんよネ。

 

ぐりんぐりんカメラが回り込んで背動で‥‥みたいな派手なカットは24コマのフルも映えますが、日常芝居で24コマや60pを自然に見せるには、相当の経験と知識が必要です。

 

でも、できないことはないと思っています。経験と知識が必要なら、積めば良いのです。‥‥今までだって、そうやって克服して自分たちのパワーにしてきたんだもん。できないことはないはずです。‥‥が、4KHDR60pでは、さすがに紙で一枚ずつ描くのは、もう無理ですけどネ。

 

 

 

私はDain-Appをむやみに否定しようとは思いません。使い所だと思います。

 

とはいえ、深夜枠のアニメを60pに変換する用途なら、Dain-Appはなんと悲劇的な宿命を負わされていることか。スマートアップスケーリングと中間フレーム画像補完に頼るアニメ業界になるのなら、もう自滅を待つばかりとも思います。

 

現場の作り手側も、Daim-Appの映像を見て、単に拒否反応しか沸かないのなら、既に発想力の老化が始まっているとも思います。確かに「ソープオペラ」は不快かも知れませんが、60pの動きの中に新たな可能性を全く見出せないのなら、過去の思い出と余生を過ごす御隠居様と同然です。

 

人間だって、能力の活かしかた次第じゃないですか。

 

マシンや技術も同じです。

 

バブル世代もロスジェネ世代も、ゆとりもさとりも、無名だろうがベテランだろうが、出自も経歴も関係なく、結局は「今、何ができるか」そして「未来、何ができそうか」が重要です。

 

アニメはこうあるべきものだ。‥‥と発想が固まったら、それは硬直が始まった死体と同じです。

 

生き続けるために、未来の空気を吸いましょう。

 

 

 

Dain-Appと自動中割りの共通した限界は、この先、突破できるのか。

 

コンピュータが自力で俳句を詠める(先人の詠んだフレーズの組み合わせでなく、オリジナルのフレーズで)ようになれば、アニメの絵が「なぜ、そのように省略され誇張されているか」を理解でき、絵も描けるようになると思いますが、そうはなりませんよネ。

 

そもそも「絵を描ける」ようにならないと、動画の中堅以上の技術を要する作業は無理ですよネ。

 

多分ね‥‥。AIがそこまでできるようになったら、AIは自我に目覚め、自我に悩み、恋もするだろうし、時には自分で死を選ぶこともありましょう。観念めいたことを言うようですが、人間が人間の心を揺り動かす絵を描けるのは、自我があるからです。そして、その自我は動画作業にも必要です。

 

アニメ絵は単純化されているから、コンピュータでも絵を作れるだろ‥‥というのは、絵を知らない素人の考えです。

 

実際に描いてみなよ、自分で。‥‥服のシワひとつ、初心者じゃカッコよく描けないからさ。

 

私の予測では、コンピュータ(AI含む)は、人間の表現力を期待する内容は無理で、単純な均等割りやタップ割りで済む範囲に限定されると思います。つまり、有力な作業力にはなるが、人間の能力と同等を期待しない、コンピュータ・AI向きの作業を「手分けして作業する」のが善き使いかただと感じます。

 

実際の話。‥‥After Effectsで、撮影も現像もやってるでしょ。撮影台にフィルムを装填したり台をハンドルで動かしたり、現像液で現像したりという手間は、コンピュータに任せたでしょ。その拡大版だと思えば良いのです。

 

表現の中核は人間が担う。

 

単純な作業はコンピュータがアシストして稼ぐ。

 

 

 

問題は、「単純な作業」と言われる中にも、人間の技術力の育成に必要な要素が多く含まれていることです。

 

それをコンピュータに任せると、基礎が形成できない人間ばかりが溢れる‥‥という事態も懸念されますよネ。

 

つまり、技術のスケーリングにおいて、ミッシングリンク部分が生じます。

 

かと言って、例えば今、撮影のスタッフを育成するのに、フィルム撮影台から現像まで実習させないですよネ。

 

ベテランや中堅が、2020年代以降の新しい育成法を考えないと、根性論だけに終始するアホな現場になります。

 

40〜50代の人間は、昔の殻に閉じ籠るのではなく、積極的に新しい技術を「肯定」して、自らの経験値と合体させて、後進の指導と育成にあたるべきだと思いますが、いかがでしょう。

 

新しい技術が出てきたら、無下に否定するのではなく、自分の思考における新しい論点にするくらいの気概が必要だと、私は思います。

 

 

 

でもまずは‥‥。

 

自動中割りとカットアウトの差ぐらいは知っておくところから始めた方が良いです。

 

カットアウトはそれこそAfter EffectsCS6でもできるんだから、「機材がないからできないし知らない」なんてウソです。

 

私はミラードライブドアのMacG4の頃から自宅でカットアウトの自己研究を開始してましたし。

 

じゃないと、都市伝説まがいの「自動中割りもうすぐ実用化説」に惑わされますよ。

 

 

 

 

 


じゃあ、プロは。

はっきり申しまして、個人や学校の機材のほうが、アニメ制作会社よりもゴージャスで最新です。資金がなく、今でも旧型のPCとCS6を使っている会社はごまんと存在します。

 

まず、2020年代は、2020年代の映像技術にふさわしい機材へと、アニメ制作会社の装備がリプレースされることが必要です。それができない会社は、徐々に足場が削りとられていきます。いくら何でも、CS5.5やCS6を2020〜2030年代まで使うなんて、その時点で会社として「かなりヤバい」と自覚すべきです。

 

 

 

プロは何をすべきでしょう。

 

前回のブログでも書いたように、4Kの解像度の「4K作品」は、技術さえ更新されれば、個人レベルでも制作可能です。

 

しかし、「4K作品」ではなく「4KHDR作品」は、個人では無理です。機材が買えませんし、それゆえにノウハウを蓄積することもできません。もし個人で無理して業務用のHDR機材を購入しても、メンテできないですよネ。

 

現在10万円前後で買えるコンシューマ向けHDR機材=「Display P3」では、DCI-P3でPQで1000nitsの映像制作は実質不可能です。なので、私は自宅にはHDRのモニタは導入していません。中途半端なのを10万円出して買っても意味ないかな‥‥と思います。「なんちゃってP3」なら、iMacやiPad Proで十分。

 

DCI-P3でPQで1000nitsターゲットの映像なんて、個人の機材レベルではまだまだ数年は「自分で作った絵を、あるべき状態で見ることすら不可能」なままでしょう。

 

単純に金の問題です。金がなければ機材は買えず、ゆえに技術も知識も更新できません。iPadやiMacを買っても、それだけでは全然無理です。1000nitsでDCI-P3でPQの正確な色が映し出せるモニタって、まだ300万円(CG3145とか)はします。ラボでHDRのグレーディングなんて、個人規模でできるわけもなし。

 

ですから、まず映像品質面で言えば、プロの面目躍如は「4KHDR24p」と言うことになります。Dolby VisionのPQに対応して、映像コンテンツを公開する‥‥なんて、アマチュアや個人では現時点では不可能と言っても言い過ぎではないです。DaVinciを使うにも、別途でDolbyのライセンスが必要ですしネ。HDRの絵作りをネイティブにおこなう過程で、カラーサイエンティストの助言も必要になりましょう。

 

プロは、4KHDR24pでDolby Visionにも対応。

 

アマは、4KSDR24pで旧来のRec.709のまま。

 

‥‥わかりやすい棲み分けです。

 

 

 

アニメ特有の技術で言えば、各工程の基礎技術の高さは、プロならではです。実は基礎技術こそ、プロがプロである大きなアドバンテージなのです。

 

前回の女の子のムービーは、線画をiPad Proで描きました。そして塗りも自分で作業しましたが、ぶっちゃけ、塗りのミスがあります。私は彩色のプロではないので、彩色作業に関する技術レベルが低いのです。ペイント作業が遅く、ミスも多いのです。

 

ですから、「自宅で作ろう」というテーマではなく、商業ベースのアニメ制作なら、ペイント方式が新時代に合わせて進化しても、作業は彩色のプロに100%依頼するでしょう。

 

背景美術だって、実写を加工して作るには限界がアリアリです。商業ベースならば、専門の美術スタッフの力量が不可欠です。頼りになる美術監督は得難い財産でしょう。

 

「撮影」、いわゆるコンポジットも同じです。私は今まで劇場作品のVFXや撮影監督をしてきたので、コンポジットに関してはクオリティコントロールに目を光らせる習慣が染みついています。ゆえに、前回の女の子のムービーも、「もっと顔が見えるように照明をコントロールしたほうが良いかな」とか色々改善案が実際の作業段取りで想定できます。

 

4KHDRか、4KSDRか‥‥の他に、アニメ制作を生業として生きてきた現場の人間は、基礎技術、さらには応用技術のアドバンテージがあり、そこはアマチュアには手が届きにくい「プロならではの特別なエリア」でもあります。

 

 

 

カットアウトを取り入れる‥‥と言っても、動きの技術がなければ、それはもう、動きの醜い素人芸になります。

 

現場の作品作業の数々を経験したからこそ、作画で喰ってきたプロのアニメーターであればこそ、カットアウトにチャレンジしたスタート時点で、「動きの知識と経験」の「量と質」が違うのです。

 

‥‥そのアドバンテージを活かさずして、プロが何を活かすのか。

 

 

 

プロの作業者のアドバンテージは、「どこどこの何社は、どんな制作体制で、どんなソフトを使っている」ことを薄く中途半端に知っていることではないです。そんな上辺の情報ばかりに気を取られていては、時にはノイズになって、判断を迷走させる原因にもなりましょう。「アニメ業界のインサイダー気取り」なんて、正直不要ですわ。

 

技術に対して、それこそ愚直なくらい、実直であること。‥‥それさえあれば、2020年代の技術を導入して応用して、新しいパワーにもなります。

 

厳しい現場で研鑽を積んできたプロのスタッフ(アニメーターに限らず全工程)に、新時代の技術革新が加わった時、良い意味でとんでもない化学反応が起こって、信じがたいほどのパワーが発生することだって、あり得ます。

 

個人やアマチュアに有利なことは、実はプロに対しても有利なことでもあるのです。

 

プロが保身や既得権益に走って、昔の殻の中に閉じこもるのなら、どんどん状況は劣勢になります。

 

アマチュアが好機と感じる要素を、プロはもっとエゲつなく骨の髄まで活用すべきと思いますよ。

 

 

 



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