高画質時代への備え

スタイロス(最新バージョン)の「モーションチェック」において、大きなサイズ(4Kとか)でQuickTime出力すると内容が真黒になる障害があります。サイズを50%にして2Kに抑えると、正常に書き出すことが可能となります。

 

最初、何がマズいのかわからなくて、シートやアルファチャンネルを確認したのですが、ソフトウェア上の問題(内部的に上限を設定してるのか?)だと判明して、作業フローで対応しました。

 

あくまで「モーションチェック」での不具合なので、連番の書き出しでは正常に4K等の大サイズで書き出すことができます。ただし、単一のムービーファイルは「書き出し」管轄だとFlashしか書き出せないので、これまた悩ましいです。

 

まあ、ソフトウェアも色々と「曲がり角」ですネ。

 

 

 

ちなみに、スタイロスから出力するオフライン用途の線画ムービー(=前述のモーションチェックからの出力)は、QuickTimeのProRes422LTで出力しています。そこそこ綺麗なわりに低容量なので、ProResを使える環境でオフライン用途だったらオススメです。

 

ProResは現在の私らの標準ムービーフォーマットで、ProRes4444を常用するようになって既に結構な年数が経過しました。品質も含めた信頼性は抜群です。同じ10bitのDPX連番と重ねてON/OFFして比較しても、全く同一と言って良いほどの画質を誇りますが、容量は遥かに低容量なので、コンポジット出力最上位のムービーファイルとしてProRes4444は最適です。

 

ProRes4444はさらに4K時代に適した「XQ」も用意されているので、当分はProResでイケそうです。

*ただし、After EffectsからXQはいまのところ書き出せないんですよネ‥‥。XQはAppleがAdobeに提供するのを渋っているのでしょうかね?

 

昔、HDCAM(SRではない無印)で運用していた頃と同等の画質は、ProRes422(無印)です。ビットレートもほぼ同じですし、絵の荒れ方も大体同じです。HDCAMや422のトーンジャンプに悩まされないためには、やはりProRes4444以上を使うのが良いですネ。422のHQでもちょっと危なっかしいです。

 

QuickTimeのWindowsサポートが終了して「脱QT」が盛り上がったのは数年前。‥‥とは言っても、他のフォーマットやコーデックに移行して画質が劣化するのでは残念な限りなので、ProResコーデックはまだしばらくは手放せません。

 

以前AvidのDNxHRをテストしたことがありますが、絵は目に見えて荒れることなく綺麗でした。ただし、容量はProRes4444よりさらにデカいので、その辺は覚悟して、制作現場のインフラの拡充は必要になりましょう。容量がデカくなるということはサーバの容量だけでなく、通信速度も10Gbpsなど、相応に大きく速くすることが求められます。デカいトラックを高速に走らせるためには、道幅も広げないとダメ‥‥ということです。狭い道路のままだと渋滞しちゃいますもんネ。

*DNxHRは、素でディザ処理をするようなので、圧縮効率はProRes4444よりもかなり低めなんでしょうネ。

*最近のアニメーションロスレス圧縮(昔からあるヤツ)も、ディザ処理が入っているのでトーンジャンプが出ないのですが、容量は8bitのわりに極めて大きく、とても未来のコーデックには適しません。昔はディザなんて処理してなかったのに、After Effectsから出力する場合に限って‥‥なのかな?

 

 

 

未来はこうして、今までのソフトウェアが新時代の基準から脱落したり、インフラの拡充が必要だったり、「金、金、金、金、金」の連続です。2010年代の10年間を「のほほん」と今までの環境のまま過ごしちゃった人や集団は、2020年代には結構大きなツケが回ってきます。

 

なので、ちょっとちょっとの地道な環境更新を実施して、巨大過ぎる環境入れ替えが一度に来襲するのを防いだほうが良いです。

 

「高品質なんて必要ない」といくら強がっても、例えばスマホを毎日使っている人はそもそも「通信手段の高品質」を享受しているわけで、いざ自分の職業だけ別待遇で「高品質拒否」をしようとしても、まあ、そう都合よくはいきませんよネ。時代の技術進化は、すべて相関関係にあることを、自分の職業のリアルな毎日にも当てはめて考えることが求められましょう。

 

高画質時代への備えは、一度には無理でも、ロードマップを描いて、徐々に実践していくことで現実味が生まれます。未来を一括払いで手に入れるのは難しいですが、分割してパーツごとに揃えていくことは可能です。

 

 


なびきと目パチ

相変わらず、従来技術のアニメ制作現場では、「多重組み」「複合組み」のトラブルが頻発しているようですが、キャラクターデザインから考え方を改めなければ、「多重組み」のトラブルは絶対になくなりません。

 

「多重組み」を引き起こした本人が修正して責任を持つべき‥‥というのなら、「本人」とはすなわち、「多重組み」が絶対に発生するデザインをしたデザイナーでしょう。

 

髪の毛に目が透けるデザイン(=髪の中に目を書き込み)だったら、顔Aセル、目パチBセル、髪の毛のなびきCセルで、100%「多重組み」は発生します。

 

原画マンが「目パチのタイミング」を髪の毛のなびきの一定区間に必ず限定して、セル番号もちゃんと事前に振っていれば、「意図した多重組み」によって絵の破綻は防止できます。

 

●目パチの区間だけリピートをバイパスする

*セル番号の模式図ですので、「1コマ打ち」というわけではないです。適宜、2コマや3コマに読みかえてください。

*当然ですが、目パチできるタイミングは、髪の毛のリピートの「C4,5,6」の区間に限定されます。

*同じく当然ですが、目パチの「コマ打ち」は髪の毛の「コマ打ち」に完全にシンクロする必要があります。

 

 

しかし、「目パチのタイミングは、ここじゃなくて、こっちにズラして」と演出さんがタイミングを変えたら、その時点で原画マンの「意図した多重組み」は総崩れとなり、「目は閉じているのに、髪の毛の中の目は開いている」という「テクニカルエラーとしての多重組み」となります。

 

それでも、エラーの当事者は原画マンなのでしょうか。「テクニカルエラーとしての多重組み」を問われるのは、原画マンなのでしょうか。

 

あまりにも理不尽過ぎますよ。

 

もうね‥‥、こんな話題でトラブっている時点で、従来の現場はダメなんよ。「多重組み」は本人が修正すべき‥‥と言いつつ、その本人とは誰なのかも曖昧。

 

原画マンは、キャラ表に描いてあれば、よほどのことがない限り、デザインを守らなければなりません。「よほどのこと」が、まさか、目パチ&髪の毛のなびき?

 

「テクニカルエラーとしての多重組み」を原画マンの作業範囲で100%回避できるというのなら、その方法をちゃんと明示しないと説得力がないです。

 

私の見解では、どんなに原画マンがタイミングに気を使って、セル番号をちゃんと振っても、後でタイミングの変更があったり、そもそもデザイン上で「多重組み確定」で、さらには髪の毛や目に作画修正が入って設計意図が崩れたら、もはや原画マンの「テクニカルエラーの修正の保証対象外」です。

 

 

ちなみに。

 

現在作業中の作品で「多重組み対策」として実践しているのは、「デジタル作画」と呼ばれるカテゴリのカットにおいては、

 

髪の毛の奥側の目は透けない=目の書き込みはない

肌や目に、髪の毛の影は落ちない

 

‥‥という処理です。かなり割り切ったデザイン上の処理にすることで、どんなに目パチのタイミングをズラそうが、変則タイミングだろうが、髪の毛のなびきに関する「テクニカルエラーとしての多重組み」は100%発生しません。

 

一方、新しい技術を用いるカットでは、

 

髪の毛の奥側の目はコンポジット処理で美しく滑らかに透ける=目のトレス線かきこみだけの処理とは大きく異なる

タイミングは自由自在

肌や目に髪の毛の影が落ちてもOK=髪の毛の影が肌や目に落ちる場合は、コンポジット処理

 

‥‥です。そもそも「組み」が存在しません。レイヤー重ね、もしくはマスクワークで、コンポジット技術上で実現します。

 

 

残念ながら、従来の現場では、

 

原作のキャラに縛られて、アニメのキャラデザインをセルワークに最適化できない現実

マスクワークに関する処理の指示は、旧来のタイムシート用語では確立できていない

レイヤーを全て分けられるほど、手間もかけられないし、お金もかけられない

 

‥‥という状態です。

 

クライアントの無茶なオーダーに、意に反してキャラデザインを合わせなければならないこともあるでしょう。マスクワークの指示方法は、「T光」くらいだけで、より高度なマスクワークはタイムシートでは伝達不可能です。キャラのカットだけ豪勢に贅沢にレイヤー分けできるほど、アニメの現場には余裕はないです。

 

ですので、現状のアニメ制作現場では解決しようがないです。アニメのキャラは美少女キャラ合わせでどんどん複雑になる一方で、新しいセルワークや処理が業界全体に標準化されるわけでもなく、ただひたすら「根性で作画」「根性で仕上げ」「根性で撮影」体質だけで支えているのですから。

 

ゆえに、状況がわからない人は延々と「原画マンがルーズだから」と思い続けて、現場の不信感は増す一方です。‥‥ダメになり始めると、とことん、ダメになっていくよねえ‥‥。

 

じゃあ、どうすれば良いのでしょう。

 

少なくとも、ツイッターで文字を書き込むだけじゃ、改善など不可能ですよネ。焦燥感、飢餓感だけが煽られるばかりで。

 

「テクニカルエラーとしての多重組み」を「意図した多重組み」へと改善するにも、何らかのアクションは必要でしょう。旧来の現場を大切に想う当事者、旧来の現場でこれからも飯を喰っていこうと思う当人が、重い腰を上げてこそです。

 

 


筆圧と肩こり・リプライズ

タブレットを導入したら肩こりが激しくなった‥‥みたいな文を読むと、何よりもまず確認せずにいられないのは、筆圧設定です。

 

タブレットは、敏感な設定にするのが、体を守る鉄則ですヨ。

 

 

 

「自分は筆圧が強い方だから」なんて言って、タブレットの筆圧まで鈍感にしたら、際限なく力を込めてしまって、あっという間に肩を痛めます。

 

過去の自分の筆圧とは決別する覚悟くらいじゃないと。

 

前にも同じことを書きましたが、こういうことです。下図は再掲。

 

 

ちなみに、Apple Pencilはワコムのペンと違って、全く沈み込みません。なので、力の入れ過ぎに気がつきやすいかも知れません。

 

「描き方が変わるのは嫌だ」というキモチも分からなくもないですが、そもそも、筆記具を変えたのなら、書き味も感触も変わって当然です。

 

鉛筆などは同じメーカーでも、9800とかuni starとかuniとかHi uniとか変わるだけで書き味も描線も変わるわけですから、ペンタブに変わったら、相当な覚悟で描き方を変えないとアカンす。

 

ペンタブに変えたら肩がこるようになったので、病院や整体に行った‥‥なんてことは、ひとりボケツッコミみたいなものです。

 

 

 

私は全く肩は凝りません。若い頃の鉛筆時代は、相当筆圧は強かったですが、ペンタブを使うようになって変わったのです。鉛筆を使っていた頃のほうが、指も痛むし、肩も凝りましたし、首も痛かったです。今はないです。

 

個人差もあるのだとは思いますが、ペンタブのほうが肩はこりませんヨ。いくらでも「筆圧に対する感度を調整できる」のですから。

 

リアルな鉛筆の場合、濃い線を描くには、濃い黒のカーボンの鉛筆銘柄と、紙の繊維に強くカーボンを擦りつける強い筆圧が必要ですが、ペンタブの場合はペンの設定で如何様にでも「軽く濃く」描くことが可能です。

 

例えば、エレキギターを上手く弾くには、運指の指に力を込めてはダメです。軽いタッチで、十分に音は出ます。力強い音を出すことと、抑える左指の力は、全く比例しません。ネックを強く握る必要など全くないです。

 

同じく、iPad Proでもペンタブでも、力強い絵を描きたいのならそのような内容の絵を描けば良いだけで、力強くペンを握ってペンタブを貫かんばかりにペン先を押し付ける必要はないです。

 

私はiPad Proを使い始めた時に、「これで画業の寿命がぐっと伸びた」と思いましたが、それは筆圧を敏感にして描けるがゆえに、体に優しいからです。

 

とにかく、筆圧だけは軽くしておきましょう。ペン設定も、筆圧に対する流量を増やして、僅かなペンの強弱でニュアンスが表現できる「自分の体に優しいプリセット」を作りましょう。

 

自分に合った環境設定とペンのプリセットは、最強の武器と言っても盛り過ぎではないのです。

 

 


新環境基準・2

実際問題として、最初から高スペックのマシンを買うのは、なかなか厳しいです。それは個人であっても会社組織であっても。

 

なので、段階的にスペックを高める工夫が必要です。幸い、現在はあまりCPUの性能向上が進まず停滞していますから、CPUとビデオ周りだけ「未来派志向」にして、後は段階的にスペックアップしていくことが可能です。

 

とは言え、iMacの場合、もはや「カスタム不能」と言えるまで「ユーザにあれこれ触らせない主義」でマシンが構成されているので、macOSユーザの場合は、最初からiMac 5Kの最上位CPUにカスタムしたものを買って、メモリだけアマゾンで買って交換する方法が良いです。

 

iMac 5Kの場合、すでにiMacにくっついている5Kのモニタで1つ分のビデオ処理能力を消費しています。残念ながら、iMac 5Kのモニタは未来の4K映像制作には不向きです。単に面積が広くて色が鮮やかなモニタだというだけで、どんなに500nitsを謳おうがPQ1000で表示できるわけではないので、将来は5K寸法の「サブモニタ」として使うことを前提にして今は使います。

 

2台の外部ディスプレイで3,840 x 2,160ピクセル解像度(4K UHD)、60Hz、十億色対応

 

‥‥とAppleの仕様説明のページには書いてあります。これは4K UHD(4Kには3840と4096がありますが、3840のほうをUHDと呼びます)で10bitで60Hzの接続を保証しているという意味です。10bitのRGBは「2の30乗」で、10億となります。アレクサさんに「2の30乗は?」と聞けば、末尾の1桁まで正確に答えてくれますヨ。

 

iMacの背面のThunderbolt3は、高速な40Gbpsの理論値をもち、4Kモニタはもちろん、高速なキャッシュディスク(SSD)を接続できます。ただ、1系統しかないので(1系統に2つの接続口)、あまり無茶はできません。この点は、新しいMac miniの方が優れています。限りあるThunderbolt3を高速のまま使うために、従来のUSB3.0を賢く用いて、速度の低下を散らす工夫が必要になりましょう。

 

実は、iMac 5Kで4KHDR環境は、去年に色彩設計さん用にセッティングしたので、実感があるのです。メモリは、空きスロットに16GBモジュールを足して48GBにしました。コンポジットなど連番やムービーに重い処理を加えるのなら、あらかじめ装着されていた8GBモジュールを外して16GB4枚=64GBに差し替えた方が良いですネ。モニタは本体の5Kと4Kをミラーリング(当然、4K合わせになりますが)、波形モニタとして2Kモニタを繋いでいます。

 

Windows環境に関しては、DELLなどの将来64GBにメモリを増設できる基本モデルをベースとし、順次スペックアップする計画で購入するのが宜しいかと思います。Windowsの未来環境の詳細は、他の方にお任せしますネ。

 

 

 

4Kの液タブも今は諦める。4KHDRのプロ用モニタ(俗っぽい言い方ですが)も今は様子を見る。

 

今ある環境で、何を進めておけるかを考え、来るべき時に備えるのが肝要です。液タブではなく、iPad Proを自腹で買って、4Kのキャンバスサイズでどんどん描き溜めておくのも有効な手です。良いのが描けたら、ツイッターに載せるのも「累積戦術」として有効ですよネ。

 

何度も書きますが、「作画工場」での仕事と、自分の一生の画業は、ちゃんと明確に切り分けて、然るべき戦略と戦術で生きていくのが、「絵描き」として一生を生き抜くことだと思います。アニメ業界のシステムにどっぷり浸かって、制作会社に自分の一生の運命を委ねるなんて、考えるほうが馬鹿なのです。

 

他人は、自分の生涯に対して、そんなに優しく思いやってくれないですヨ。生涯のパートナーでもない限り。

 

同じ事を一生懸命繰り返していれば、やがて努力が認められて、年功序列で出世できる。‥‥そんな甘い考えはさっさと捨ててしまって、たとえ個人レベルのプチ事業でも、どんどん意欲的に進めていくべきです。

 

団塊ジュニアにありがちな、「エスカレーター式の出世を享受できなかった」という恨みは、そもそもエスカレーターに乗ろうとしている時点で甘かったと思います。エスカレーターなんて使わずに、若いうちにとっとと階段で駆け上がっておけば良かったのです。

 

団塊ジュニアは世代人口が多いので、エスカレーターからあぶれた人間も多くて、一層「ロスト」感が強いとも思えます。でも中には、「空いてても、エスカレーターなんか使わない」と考える人もいて、とっとと自分の足で階段を昇る人もいたのです。ベビーブームの一番頂点に生まれた人でも、社会の序列をあてにせずに生きている人は「就職難とは言われてたけど、関係無かった」と言います。

 

ですから、現在20〜30代の人は、エスカレーターにのんびり乗っているよりも、手すりを飛び越えて、今からでも階段を駆け上がれば良いと思います。業界の仕組みとか、協会なんてアテにしないでさ。歳を喰ってから階段を駆け上がるのは、心臓がバクバクして体力がもちませんから、若いうちにどんどん行動して手応えと自信と足場を築くべきと思います。

 

私は、20歳の頃に、60万のローンを組んで、環境一式を買ったことがあります。そのことがずっと下地として活き続けて、今に繋がっているのを、ひしひしと感じます。まあ、当時は相当辛かったですけどネ‥‥。

 

*当時買った機材。8トラックの1/4インチのMTR。オープンリールというのが何とも。‥‥もう回転するかも怪しいですが、捨てられんのですヨ。

 

 

これは何も、無茶なローンを組め!‥‥ということではなく、結局、自分こそが屋城だということを自覚せよ‥‥ということです。

 

自分が屋城であるなら、自分の真田丸を築きましょうよ。堀も作ってネ。

 

 

 


環境新基準

1〜3ヶ月前、新しいPC/Macを作画&デザイナー作業さんに調達するので、意見を求められたのですが、以下のように答えておきました。今だけを凌ぐ最低限のマシンではなく、今後の作業に耐え得る仕様です。

 

将来的に4Kモニタを3台10bit以上で繋げるビデオ性能

メモリは64GB

記憶装置は1TBのSSD(M.2)か2TB以上のFusionDrive

CPUはi7で4GHz

 

実際に調達されたマシンは、ほぼこの通りとなり、当人の作画&デザイナーさんも「速くなって快適になった」と喜んでおられました。

 

 

4Kモニタ3台なんて、ギョッとするかもしれませんが、甘い甘い‥‥、すぐそんな時代が来ますし、もうそこまで来てます。液タブで1台分のビデオ処理能力を消費するのですから、sRGBとPQ1000のデュアルモニタ&液タブで4K時代になれば、それでもう4Kを3つ分です。

 

メモリは、これからは64GBもごく普通になりましょう。「メモリが増えた」なんていう話題は、もう20年前以上から話され続ける話題ですから、64GBだってすぐに見慣れます。。32GBだとちょっと少なく感じるようになり、8〜16GBはあきらかに少ない部類に入ります。できれば、128GBにしたいですが、まだまだ値段が高いので、64GBがしばらく標準でしょうかね。

 

記憶装置は、今や必ずしもHDD=ハードディスクドライブとは言えません。SSDでもSATAではなく高速なPCIe〜M.2のSSDがマシン内部の記憶装置にふさわしいです。素材を貯めておく低速で構わない記憶装置は、今までのUSB3.0でRAID10でも組めば良いです。また、キャッシュの置き場は、Thunderbolt3などの高速な接続手段でM.2外付け箱のSSDがふさわしいです。キャッシュの割り当てディスクが低速だと、キャッシュそのものが大容量化した時に、作業上の大きなストレスになりますヨ。

 

ちなみに、光学ディスクは本体内蔵でなくても、もう充分作業は成り立ちます。他のマシンとの使い回しのDVD/BDのUSB接続のドライブが1つだけあれば良いでしょう。光ディスクを記録メディアとして仕事で最後に使ったのは、もういつだったか、忘れてしまいました。

 

CPUは最近は性能向上があまり見られないので、数年前と似たようなi7の4GHz前後となりましょう。現在は、CPUの速度が云々よりも、もっと他の要素で速度を稼ぐ時代になっています。

 

なので、自宅に買うのなら、DELLなどの相応のマシン(だいたいモニタなしで15〜20万くらい)か、iMac 5Kです。メモリは自分で16GBモジュールを4つ買って交換しましょう。BTOだと不用意に高くなっちゃいますからネ。

 

モニタに関してはもうちょっと様子を見るのが良いです。現在、ちゃんとプロとして使える4KHDRモニタは、最安で60万くらい(CG-319X)なので、まさかそれを個人で買うわけにはいかないでしょうから、今は2.5K〜2560pxのsRGBモニタか、買い替え覚悟で10万円以下の4KHDRモニタ(HDMIでHDRが目覚めるヤツ)を割り切って買うのが肝要かと思います。

 

 

 

先日、米国のカラーサイエンティストの方と意見交換‥‥というか、色々とお話を聞かせてもらったのですが、今はどんどんノウハウが溜まっている時期で、かつ機材も徐々に充実し始めており、柔軟な対応が求められると痛感しました。

 

1000nitsで今は作業していますが、2000〜4000nitsになった時の明るい部分の扱いはどのようにすべきか(白の中の白)とか、ドルビービジョンにおけるHDR to SDRの「下位品質への配慮」とか、「この歳になっても、まだまだ覚えることが、いっぱいあるなぁ」と感じ、未来の映像制作は何とも刺激的です。

 

After Effectsでも、

 

 

‥‥みたいなエラーも出るしで、今まで普通にできていたことが、未来は普通にできなくなることも多々あるだろうと思います。

 

ちなみに、上図のエラーは、2万3千ピクセルのコンポサイズにしたわけではなく、内部的な処理の何かが、より大きいイメージバッファを必要とするルーチンなのでしょうネ。AdobeのAfter Effectsインサイドのことは、わかりません。アウトサイダーなので。

 

セルシスさんもそろそろ、いい加減、8bpc止まりの設計から脱して、さらにはsRGBモニタでHDR PQ1000の「擬似表示」ができるようにカラープロファイルなどにも対応して、未来のロードマップを示してほしいものです。Adobeに一歩も二歩も遅れをとらないように頑張って欲しいです。‥‥日本屈指のメーカーさんが、世界標準から遅れに遅れて失笑されるようでは、悔しいじゃないですか。

 

 

 

何度もしつこく書いていることですが、これからは金がもっとかかるようになります。

 

つまり、制作技術の大変革・大転換をしなければ、破綻するということです。

 

作画界隈は、今まで大きな変革期を迎えずにきました。反面、ずっと低額な報酬額に耐え忍んできた‥‥とも言えます。大転換を免れた代わりに、報酬の改善もなされてこなかったわけです。

 

現在、ちまたの業界人ツイートでは、報酬についての意見が盛んですが、今までの作業基盤・技術基盤が継続するという「暗黙の前提」で話されていて、いまいち現実味が欠けるように感じます。

 

紙と鉛筆の時代に比べて、結構金がかかるようになる‥‥ではなく、猛烈にハンパなくお金がかかるようになるのに、1枚いくら1カットいくらでカウントする意識のまま報酬金額の交渉をするなんて、未来の世界を全く無視した近視眼的な考えです。

 

作業環境は、いわば、自分の「武器」です。

 

その武器を、「作画工場」用途だけの貧弱な装備に留めて、自らを「デジタル作画専用」の人材に限定しますか?

 

昔、「いい加減、目覚めなさい」が決め台詞のドラマがありましたが、アニメーターも新しい春に向けて、目覚める時が近づいている‥‥と思います。

 

 

 


赤ちゃんのシナプス

留守録したまま観ていなかった「赤ちゃんの脳の発達」の特集番組を「ながら見」してたら、シナプスについて興味深いことが語られていました。

 

赤ちゃんのシナプスは1歳ごろに成人の1.5倍の密度となりピークを迎えるが、その後、緩やかに、そして確実に減少し、さらには「役に立つシナプスは残り、発達に役に立たないシナプスは消され、発達に役に立つシナプスが新たに形成される」とのことで、「あー‥‥うん、そうだね」と感じ入った次第です。

 

シナプスは密に形成されており、発達に役に立たなくなったシナプスがそのまま存在し続けると、新しいシナプスが形成できずに、赤ちゃんの脳の発達の邪魔をする、ゆえに、不要となったシナプス(30〜40%の大量の)を消して場所を空けて、新しいシナプスの形成を可能とする‥‥とのことで、これは赤ちゃんに限らず、「新しく生まれて成長する何か」に共通する特徴だと思いました。

 

私が新しいアニメ作画技法に取り組み始めたのは、もう10年以上前の2005年前後の頃でしたが、その当時の私の頭の中には「タップ」「タイムシート」「原画と動画」という旧来のアニメ制作技術の「様々な古いシナプス」でガッチリと固められており、それらを取り除いて新しい意識に転換する=「新技術の成長における新しいシナプスの形成」まで、5〜6年はかかりました。

 

私は、アニメ制作現場の作画技術に自信と誇りを抱いていましたから、まさかその作画技術の基盤となる様々な要素が、新技術の成長を阻害しているとは思わなかったですし、思いたくもなかったのです。特に「原画」という工程に対する信頼は絶大(=自分はソレで生き抜いてきたという確かな実感ゆえ)で、「原画という技術志向自体」が発達の大きな邪魔になっているとは、想像できませんでした。

 

「不要なものを壊し、新しいものを試す」という赤ちゃんの成長期におけるシナプスと同じプロセスを、まさにアニメの新技術で実践することが求められました。私も徐々に、今までの考えを改め、新しい考えを受け入れていきました。

 

今では、こうして普通に状況を淡々と書けますが、「原画意識」の強かった過去の自分だったら、「そんなことはない」「古いとか、新しいとか、関係ない」とムキになって「現状の肯定」に躍起になったでしょう。自分が誇りに感じていた技術スタイルが、次の可能性の大きな障壁となる‥‥なんて、誰だって、いきなりは受け入れがたいですもんネ。

 

番組中の‥‥

 

「新しいシナプスを作るためには、無駄なものを残しておく余裕はありません。積極的に要らないものを切り捨てていくことによって、はじめて、より良い脳のネットワークを作ることができるのです」

 

‥‥という言葉は、身に沁みます。

 

 

 

「俺たちは、古いシナプスか」‥‥というのは、あわてんぼう。

 

自分自身は脳であり身体です。

 

シナプスが自分なわけではないです。シナプスは今までに身につけた技術の細かい1つ1つ=構成要素です。

 

自分の中の「技術シナプス」に関して、有効なものは残し、古く形骸化したものは消して余地を確保し、試行しながら新たな「技術シナプス」を形成していけば良いです。

 

リアルな脳のシナプスは自分の意思ではコントロールできませんが、自分の技術シナプスなら、自分の意思で管理することも可能、自分の意欲次第で自己発達させることが可能ですよネ。

 

 

 

実際、「タップがないとイヤだ」「原画動画の段取りでしか考えられない」「タイムシートの用語じゃないと受け付けない」みたいなスタンスの人ですと、「新しいことを、一緒にやってみませんか?」と声を掛けることすらできません。頑なに従来の流儀でしか思考しない人を、新しい考え方のフィールドに無理に呼び込んでも、双方にとって不幸ですもんネ。

 

最近の業界関係の人々のツイートを読んでいると、「状況が変わっていかない事への苛立ち」を感じます。それは外的な要素も多いでしょうが、自分の内的〜「技術シナプス」が旧世代のまま凍りついて更新されない事による、「未来社会での、自分に対する不安と苛立ち」も含まれるでしょう。

 

技術の更新なんて、一夜にして完了するはずもなし。

 

赤ちゃんの脳の中で、シナプスが成長に合わせて、徐々に活発に更新していくのと同じく、自分や自分たちの「アニメ制作の脳内」において、徐々にシナプスの更新を促進して、未来の時代に生きるべく確実に成長していく必要がありましょう。

 

組織も個人も、苛立っているばかりでは、どうにもならんですよネ。

 

 


原動画と、新しい「手描き」と

現在、私はアニメの作画の毎日ですが、いわゆる「原画」は一切描いておりません。頼りになる旧知の方々に作業(〜タブレット作画)をお願いした場合は、「原画上がり」として上げて頂いて、ニュアンスの修正において「昔ながらの作監修正」はしますが、自らは原画は描かずに、新しい作画方法で作画する日々です。

 

タブレットでの原画作業をお願いした方々も、旧来の作画方法だけで今後の作画を支えるのは難しいし、もっと他の方法も取り入れるべきとの考えをお持ちです。今は、システムの未発達ゆえに「原画」という作業スタイルを踏襲しているけれど、新しい作画技術への意欲があることを、お会いした時に雑談がてらよく話します。

 

さらには、従来の「原画」作業から、「動画」作業を経た作業上がりのクオリティも、既に次世代の品質の基盤となる内容をもっています。旧来の「動画」と呼ばれる作業のクオリティは、未来の新しい作画技術へと繋がる基礎を既に獲得しているのを実感しています。

 

しかし、その新しい作画技術は、現時点ではインハウス、インサイドに留まります。なぜならば、「アウトソーシング」の基盤ができていないからです。

 

「アウトソーシング」、‥‥ものすごく、ぶっちゃけて言えば、「単価」が決まっていないからです。

 

単価の制定方法は、既にもう何年も前からアイデアがあります。アイデアと言っても、思いつきではなく、長年温め続けた、すぐにでも取り組み可能な具体的なアイデアです。

 

単価には「正当性」が必要だと考えます。

 

口パク1枚と、顔全体の1枚が、同じ単価なんて、あまりにもどんぶり勘定過ぎます。

 

初級作業者と、中堅作業者と、ベテラン作業者のそれぞれの技量による「結果物のクオリティ」が単価に考慮されないのも、大雑把過ぎます。

 

旧来のアニメ作画は、めまいがするほど大雑把でズボラな単価計算で成り立っており、新しい作画技術は、決してその悪習を踏襲してはなりません。

 

内容の重さ・軽さ

作業品質の高さ・低さ


‥‥なぜ、そうした当たり前過ぎる「価値の違い=お金の違い」を、単価に反映できないのか。

 

旧来現場だって、実はコンピュータの力をもってすれば、かなり「いい線」まで「変動単価のシステム」を実現できると思います。

 

でもねえ‥‥、従来現場の古い作業習慣を仕切りなおすのに、新しい技術を志向する私が関与しても変でしょ? 従来作業習慣の中で生きる当事者が決めれば良いことです。私がちょっかい出すのは、いかにもお節介ですわな。

 

 

一方、新しい作画技術における、新しい作業基盤は、全くのゼロから仕切ることができます。であるならば、「大問題を抱えた単価制度を踏襲する必要など、全くない」です。

 

新しい技術には、新しいお金の基準。‥‥私の「お金」に対する関心ごとの本命はソコです。

 

上手くなればお金がもっと稼げんるんだ。頑張ろう!

 

大変な作業は、ちゃんとお金がいっぱい出るんだ。自分の技を活かして頑張らなくっちゃ!

 

‥‥こんな当たり前なことすら実現できない単価制度のままで、どんな明るい未来が期待できますか? 今の制度のまま単価を上げても、「楽なカット」と「大変なカット」の落差がさらに極端化し、大変なカットを作業する人間はもっと報われなくなりますヨ。

 

致命的で破壊的な単価制度を抱えたまま、新しい作画技術を広めていくつもりはないので、今はインハウスにとどめているのです。

 

新技術の成長戦略としては、「次のステップ」になりましょう。ちゃんと開発(=画像と作業条件から単価を「動的」に割り出すシステム)にもお金を注いで、未来の希望が持てる現場、仕事を出す側も受ける側も「ちゃんと納得できる」基盤を作るのが、次のフェイズです。

 

 

 

 

ここ数日、アニメ関係者のツイートで話題になったお金の話は、あくまで「今までの作画技術が不動無比」の意識で話されていて、ちょっと何だか、ガッカリ。

 

新しい技術でアニメ作りの基盤から変えていくんだ!‥‥という意識を持つ人はほとんど存在せず、かたくなに単価の話に終始していれば、そりゃあ、水掛け論にもなりましょう。

 

1話につき何千枚も動仕をする技術体質を変えずに、単価を10倍近く、6〜8倍にしたら、どうなるでしょうかネ。誰が考えたって、猛烈に制作費は膨張することは予測できますよネ。

 

1カット3万円x350カット=1050万円

動画1枚1200円x8000枚=960万円

 

単純にカット数+動画枚数で2010万円。2000万円オーバーに恐れをなし、カットを300カットに抑え、動画枚数を4000枚に抑えても、900+480=1380万円です。単純な原画と動画の合計だけで、です。

 

これに加えて、作画監督や動画チェック、さらにはメカやエフェクトの作監や、総作監の費用まで追加されますが、そのセクション監督費も相応に値上げが必要です。テレビではなく、劇場だったら、もっとすごいことになるでしょうネ。

 

「いや、そんな、テレビで、3万円とか1200円とか、ふっかけ過ぎでしょ。もう少し、現実的な‥‥」とか言う人は、じゃあ、いくらなの?‥‥です。

 

200〜300円の動画単価が400〜500円になって、問題解決する? 4〜5千円の原画カット単価が、5〜6千円になって、改善はどれだけ見込める?

 

「おためごかし」の「ちょっとお金をアップしました」なんて、改善効果や問題解決にほとんど貢献していないのは、もうわかりきっていますよネ。

 

さらに深刻なのは、大変なシーンばかりブッ込まれるアニメーターは、芝居シーンばかりを作業するアニメーターに比べて、極端な収入の落差が「かえって生じる」ことです。‥‥なぜ、そこを問わずに、ちまたでは単価だけの話にご執心なのか。

 

私が動画の新人だったころ、「メカやエフェクトが好きです!」とか「言わなきゃいいことを言っちゃった」ために、メカの動画ばかり来るようになって、全く枚数が稼げなくて、そんな様子を上の人が不憫に思ってくれたのか、ロングサイズのキャラ芝居の動画を回してくれたんですが、驚くように枚数が上がりました。

 

巨大ロボ1枚も、ロングのちっこいキャラ1枚も、皆同じ単価の業界システム。

 

「なにこれ? この理不尽さは何なの?」

 

たとえ上がる枚数は少なくても、大変な内容に応じた単価が設定されていたら、その当時の「圧倒的な不信感と猛烈なわだかまり」は生まれなかったでしょうネ。‥‥どうなの、その辺? 変えていく気、ある? 単価だけ上がればそれでオーライなの?

 

これは発注側だけの問題ではなく、お金の話になれば、一律単価制であることをすっかり忘れて、単価だけの話で盛り上がってしまう受注側の問題も大きいです。「単価そのもの」と「一律単価」の問題は、セットで考えないと、ダメでしょう?

 

 

 

 

私は今では、主軸を新しい作画技術、CO/KFアニメーションに移しているので、そちらの「正常な発展」が重要な主題です。

 

新技術、すなわち、原画動画ではない、新しいタイプの手描きのアニメです。

 

前述の単純計算の通り、旧来現場の単価を「社会一般のレベル」(=バイトやパートの時給に、特殊な専門職の報酬が劣らない金額)にまで引き上げるのは、アニメ業界のツイッターでのやりとりをみるに、相応の困難が予想されます。いつまでも、ツイッターで愚痴りながら待ち続けるのは得策でしょうか? 誰かが変えてくれるのを待っているだけ‥‥が本当に最善の解決策ですかネ?

 

新しい技術に移行して、新しい秩序と基準を作れば良いのです。お金の問題も仕切り直しです。

 

新しいがゆえに、技術の成長は順次必要です。ですので、四つん這いで歩いていた乳児が、二足歩行できる幼児へと成長、やがて駆けずりまわって、言葉も覚え‥‥と、可愛い我が子のように育てるがごとく、「栄養にも気を使って」、技術を育てています。

 

旧来の作画工程は、

 

genga

douga

 

‥‥というジョブ名ですが、新しい作画工程は、

 

md

fd

cd

 

‥‥という全く違う略語です。略語なのでもちろん「略する前の正式名」はありますが、この辺りの話題はまだ詳しく書けなくて、申し訳ないス。現時点でベラベラ喋るわけにもいかんのですが、要は、もはや「原画」でも「動画」でもなく、新しい「手描き」の作画ジャンルが工程として定まりつつある‥‥ということです。

 

原画をKey、動画をInbetweenなんて、無理に本家の言い回しに戻さなくても、もう旧来の日本のアニメ技術は「GENGA」「DOUGA」で良いと思います。「KAWAII」みたいに。

 

新しい作画技術の工程と、旧来の工程とを混同しないように、明確に「ジョブ名=仕事の呼称」も変えています。

 

新しい技術は、名前を与えられた時、覚醒するのです。‥‥何だか、巨神兵みたいネ。

 

ちなみに、レイアウト、美術、彩色はそのまま健在です。手描きでアニメを作る以上、美術と彩色がなくなるわけがないです。また、「撮影」という工程は消滅し、新たな作業工程に分割されますが、コンポジット作業はもちろん存在し続けます。

 

 

*知る人ぞ知る「4人のライダー」。こんなことにならずに、新しい技術へと優しく転換できると良いんですけどネ。

 

新しい時代の技術には、新しいアニメの技術。そして、新しいお金の基準。

 

車両の動力源が、馬匹だった頃、新しい時代の交通に対応するために、1〜2馬力だったのを10馬力にするために、10頭だての馬車にするのは、愚かしいことです。馬を5〜10倍に増やしたら、道の周辺はどんなことになるか、考えてみれば解りますよネ。

 

新しい時代の動力源を活用しましょう。馬を増やす発想から逃れて、ピストンエンジンや電動機を導入しましょう。

 

紙と鉛筆、A4〜B4用紙、何千何万の作画枚数にも及ぶ「作画エンジン」を、新しい時代の「作画エンジン」に変えていってこそ、新しい社会に順応できると確信します。

 

新しいエンジンを搭載した新しい車両を運転して、新しい映像表現のフィールドへと走り出すのは、あくまで人間です。無人にはなりません。

 

人間はいつでも健在。‥‥変わっていくのは時代、そして表現技術のエンジン部分です。

 

 

 


PM

PM(プロジェクト・マネージャ、プロジェクト・マネージメント)のソリューションは、今後不可欠なものになると思います。現在作業中のプロジェクトも構造が複雑ゆえに、PMなしでは、前の工程は何か、次の工程は何かすら把握できなくなります。

 

形骸化した無駄な作業や段取りはどんどん省く。必要な作業や段取りは確実に把握する。

 

二値化では絵が潰れてしまう内容を、二値化フローで取り回す必要はないです。原画で描いたものの中は、全て動仕を経なくても、実現できるものもあります。レイアウトが完了した時点で作画的アプローチ(=例えばパーティクルによる水とか炎とか)のコンポジット作業が可能なものは、どんどん先行で進めてしまえば良いです。

 

 

 

確かに、今までのアニメ制作フローは、いわば、制作運用の高速道路を整備して、IC(インターチェンジ)からICへ次から次へと伝送できる、タフなシステムを確立しました。現在のアニメ制作が持ち堪えているのは、そうしたアニメ制作現場屈指の「運用網」ゆえでしょう。

 

脇道まで含めて全ての道路網を完全に記憶しなくても、高速道路にさえ乗ってしまえば、次のIC、また次のICと、進み続ければ到達できます。

 

しかし、ICとICを繋ぐ高速道路だけでは、大回り過ぎて小回りが効かず、かえって遠回りして時間がかかったり、高速料金ゆえにお金がかかったりと、「時間とお金」の無駄を出し続けることは、これから先の未来にはどんどん厳しくなるでしょう。

 

加えて、ラッシュアワーの高速道路のように、渋滞が常態化して、思うように進行しないことも多々あります。現在進むべき進路と目標に対して、高速道路しか使えないという選択肢の狭さ(無さ)は、新しい手段なら2日で終わるところを紙運用だと2週間かけたりもします。車が大渋滞している脇で、モノレールがスイ〜っと走り抜けていくのは、何とも滑稽。「アレに乗っておけばよかったかな」と思いつつも、少なくとも次のICまでは渋滞から抜け出ることはできません。

 

 

 

とはいえ、旧来のフローなら勝手知ったる各工程が、新しい工程に差し代わった時、どの工程地点から、どの工程地点へと繋ぐのかすら判断できなくなり、むやみに新技術を導入してもかえって混乱の元になるでしょう。ゆえに、いつまで経っても旧来技術から抜け出せない状況にとどまります。

 

そんな時、せめて「カーナビ」の役割を果たしてくれるPMがあれば、状況判断は人間がおこなうにしても、「右にいくべきか、左へいくべきか、迷う」ようなことはなくなります。渋滞予想も完全ではないですが、意欲的に盛り込めるでしょう。

 

もちろん、カーナビ、iPhoneのマップと同様、経路(フロー)はあらかじめ選択しておくわけですが、どんなに複雑な道筋でも、走り出してから迷うようなことはなくなります。したみち、抜け道もどんとこいです。経路の中途変更も可能。

 

 

 

制作運用において、PMを導入した集団としない集団では、2020年代以降の未来に、徐々に差が表れてくるでしょう。

 

また、PMを導入したとしても、PMの質も問われるでしょう。「原動仕美特撮編」という今まで通りのフローでがっちり固めて静的で融通の効かないPMでは、未来の新たなリソースを活かすに活かせません。単なる「皆がチェックできる集計表」じゃダメなんですよネ。

 

PMは地味ですが、絶大なインフラです。銀行の窓口と、コンビニのATMくらい、利便性に差がある‥‥と言っても言い過ぎではないかも知れません。

 

 

 

タブレット作画のソフトウェアやTIPSだけでは、現場は回りません。

 

制作さんがいなければ、一切、テレビアニメ・劇場アニメは完成しませんよネ。

 

未来は、PMがインフラとして敷かれ、PMの値(情報)から的確な状況判断する制作さんがいて、制作現場は回っていくと思います。

 

PMはアニメ現場に根付くか。

 

何かしらでもPMが根付かないと、今はまだ何とかなっても、未来はやっていけない‥‥と私は思うんですよネ。

 

 


tech

techドメインの更新時期のお知らせが来て、更新すべきか一旦止めて仕切り直すか、悩んでおります。

 

高いんだよなぁ‥‥techドメイン。1年4千円。

 

まあ、中には6千円とか8千円のドメインもあるんですけど、comやtokyoになれちゃうとね‥‥。

 

新しい技術における共通の基本仕様や用語辞書の一般公開に使おうと思って去年取得したんですけど、本業のほうが忙しくて手がつかないままです。

 

用語辞書は、どう考えてもコンピュータのデータベース、小規模なら表計算が適しています。

 

呼称 正式名 よみがな 英字 ジャンル カテゴリ ID 参照元(別名の場合〜リダイレクト先)

 

‥‥などを、任意のソートで検索するのは、出版物では無理ですもんネ。

 

 

現在、4KHDRなど新しいプロジェクトは、手探りの部分も多いですが、反面、過去の現場の「標準仕様すら明確に定まらない」問題点を深刻に受け止め、「アニメーション標準技術」を徐々に策定しながら、進めています。

 

過去の因習を踏襲し続けるのではなく、4KHDR時代以降の制作運用を見据えて、レイアウトフレームの規格や、用語の取り扱いなど、ベースになるものを規定した上で制作しています。

 

畑は違いますが、もしUSBやHDMIが「どの信号線をどんな風にでも使って良い」なんて話だったら、規格云々はもとより、普及も発展も見込めないでしょう。

 

現在、2K24pから、2.5K、3K、UHD(=3840px)、4K60pまで基礎的な規格を作業スケール別に決めており、アマチュアからプロまで、フリーランスから会社員まで、分け隔てなく活用できることを目標としています。もちろん、無償でネ。‥‥金を取らないゆえの、強い結束力が生まれることもありましょう。

 

以前に、「撮ま」の取り組みに、非常に胸を打たれて(個人の方がボランタリー=使命感だけで活動していた)、同じようなことを未来にアニメを作る人々が自発的にアクションしても良いと思うのです。

 

 

う〜ん。やっぱりドメインの契約は延長しておくかな‥‥。今年後半にセッティングを持ち越すとしても。

 

今の私は、毎日、Apple Pencil、Apple Pencil、Apple Pencil、Apple Pencil、Apple Pencil‥‥で働かないとイカんのです。サーバとかセッティングしている余裕はないので、ちびちびと、表計算で内容を記録しています。まあ、いざとなれば、タブ切りテキストでエクスポート&インポートすれば良いんだし。

 

ドメインの費用も、トリキ2回分と思えば、まあ、いいか。

 

メガハイボール!

 


建替の進め方

昭和30年築の古い建物を、新しい時代に適応する「新しい建物」に建て替えるには、どうすれば良いでしょうか。

 

建物が古くなったからと言って、何も土地を手放す必要はなく、むしろ、その土地を有効活用するために、現代の様々なテクノロジーを反映した、新基準の「我が家」「我が店」を建てるには、どのくらいのお金と時間がかかるのか。

 

4KHDRをはじめとした新しい時代の映像産業の中で生きていくということは、すなわち、そういうことです。

 

どう考えても、かなりのお金と時間は必要ですよネ。

 

私が前に「今のアニメ技術のままでは、4KHDRのスタートラインにも立てない」と書いたのは、アニメ制作現場のスタッフの力量の話ではなく、作業環境に起因する話です。

 

絵を描く環境

色を彩る環境

演出する環境

コンポジット&編集する環境

制作運用する環境

 

「げ。‥‥全部じゃん。」‥‥と思うでしょうが、ぶっちゃけ、その通りです。

 

なので、一気に建替なんて無理なんですよネ。

 

そもそもシステムや新技術の導入は、エラー&リトライの試行錯誤の時間が必要です。

 

仮に、お金をものすごく用意できたとしても、いきなり「住みやすい家を建てられる」保証はありません。「凄くお金をかけて建て替えたけど、凄く住み難かった」なんて笑い話では済みません。

 

従来の制作システムを所与のものとしてしか考えない人は、次世代の制作システムもお金さえ出せばポンと完璧な状態で手に入る‥‥なんて思ってませんか?

 

自動販売機のように、お金さえ入れれば、最適な環境一式がゴトンと落ちてくるわけではないです。

 

 

今まで何も準備してこなかったのに、「明日から4Kです」と言われて対応できるわけがないです。そもそも環境が対応してないので、作業を開始することができませんし、慌てて環境を更新しても、それが適切な更新内容とは限りません。

 

目安としては、以下の通り。

 

絵を描く場合は、タブレット作画に完全移行。マシンのスペックは最新のものにリプレース。

 

色を扱う場合は、モニタは4KHDRの最低でも300nit PQ対応の機材に完全移行。色を塗るマシンも最新のものにリプレース。

 

コンポジットと編集の場合は、4KHDR24pをコマ落ちなく正確な色で再生できる機材に完全移行。もちろん、最新のマシンが必須。

 

制作運用は、PM(プロジェクトマネージメント)のシステムへと完全移行。何らかのPMのソリューションを導入し、全スタッフに供給。

 

 

‥‥うんざりしますかね。でも、これが未来の現実です。

 

お金と時間がかかるのは、避けられません。避けたければ、2KSDR24pのままの環境でアップコンに頼るしかないですが、その仕事は4KHDRとして受注することはできません。

 

 

 

私ら技術グループは、2013年頃から「紙での4Kを開始」し、翌2014年に4Kの取り組みを本格化(=実用化を目標)しました。「2014K」というニックネームをプロジェクトに付けたので、よく覚えております。iMac 5K、iPad Proと矢継ぎ早に「4K時代の製品」が発売されたのも、取り組みを開始できた要因の1つです。

 

つまり、現在で既に4年以上の基礎技術の積み上げが経過しています。「時間がかかる」とこのブログで度々書いているのは、そうした今までの実感に他なりません。

 

ちなみに、カットアウトの技術に関しては、2005年くらいには実用を目的とした研究をスタートしているので、もう13年以上になります。Blood劇場版の頃(部分的に使っていた)からカウントすれば、ほぼ20年です。

 

ぶっつけ本番でいきなり4Kなんてできません。準備と慣れの期間が必要です。

 

 

お金も、徐々に徐々に投入して、今に繋がっています。普通に考えて、実績のないものに会社はお金を出しませんし、仕事もくれません。現在受注している仕事の中で、徐々に成功事例を蓄積して、「D-Day」〜大作戦の下地を作っていくのです。

 

ですから、安易に成功事例を安売りするのは禁物なのです。「秘密主義」なんて揶揄する人もいますが、成功した事例は大切に「D-Day」に向けて備蓄して守る必要があります。過去のアニメ業界において、野放図に何の戦略も無しにどんどん技術を共有したからこそ、ディープレッドなオーシャンがアニメ業界を覆ったことも忘れてはなりません。

 

技術はお金と時間によって生み出されます。つまり、技術は財産です。

 

ゆえに、どのようにお金を使うかは、重要なキモです。チャンスを逃さずに、徐々に投資していく「タイミング」はどうしても必要です。それは組織に対しても、自己に対しても‥‥です。

 

 

 

自分たちの住む古い家を、現代化するために建て替える。‥‥となると、どうやって建て替えるか。

 

難しいですよネ。

 

建替の長期的なロードマップも必要でしょう。中期的な住み替えプランも必要でしょう。目先の短期的な家具の入れ替えも必要でしょう。

 

幸い、人間は同時にいくつもの事柄を処理できませんから、まずは液タブやiPad Proを獲得してタブレット作画に慣れて短期的ステップを達成し、そのタブレット作画技術を足場にして、次の中期的ステップに進む‥‥という「ステップアップ方式」は、有効な手法です。

 

でも、何もしなければ、当然何も変わらないし、どんどん置き去りにされるだけです。ステップを昇らなければ、一向に上の段階には進めません。

 

一方、時代は必ず進みますから(ガラパゴス化はあるでしょうが、時代そのものは止まった試しがないですよネ)、未来を見据えた建替のプランをあれこれと当事者自身がまず考えることが肝要です。

 

 



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