タブレット

「江面模型店」と言われるほど、プラモのストックで溢れる私。「これからの人生は、溜め込んだものを消化するぞ」とココロに決め、「もう買い物は極力控えよう」と思った矢先に、結局プライムデーで「Fire HD 8」を買う始末。

 

アマゾンの甘い罠、プライムデーに今年もひっかかってしまった‥‥とは思うものの、コンピュータ関連機器は「使用期間の限界」があるのも現実なので、Fire HD 8で旧iPadを置き換えた次第です。

 

ちなみに、Fire HD。私がどのように使い分けているのか、ご参考程度に。

 

Fire HD 7

作画机でのビデオ鑑賞用(流し見)

絵コンテなどのラフ画のビュワー(解像度を必要としない)

参考写真1枚表示(はがきサイズと2L判の中間くらいの大きさ)

音声再生(Amazon Musicなど)

 

Fire HD 8

作画机でのビデオ確認用

絵コンテなどのラフ画のビュワー

設定などの詳細画ビュワー(ピンチインして拡大して見る)

参考写真1枚表示(2L判くらいの大きさ)

 

Fire HD 10

作画机でのビデオ確認用

絵コンテなどのラフ画のビュワー

設定などの詳細画ビュワー

参考写真1枚表示(A5くらいの大きさ)

ネット検索(Webブラウザ)

 

 

‥‥という感じで、画面の大きさが使い分けの基準になっています。画面が大きいほど、用途も広がります。一方で、限られた面積の机では7や8も賢く用いて、空間を効率的に使うことが求められます。

 

「PCを置いて、24インチのパソコンモニタで見れば、済むんじゃないの?」と思う人もおられましょう。

 

でも、作画机にパソコン‥‥は足元としても、パソコンモニタを机天板に置くのは、それこそ前世紀の20年前から「狭い机」の象徴として繰り返されてきたことで、正直「辟易」しております。「パソコン導入のワクワク感」のうちは気づかないんですけど、1〜2年使っていると、作画机の面積がモニタとモニタのスタンド(台座・脚部)、キーボード、マウスで、アホみたいに消費されていることを再認識して、パソコンが主役で、作画作業をする人間が風下の脇役‥‥みたいな境遇に鬱憤が溜まってきます。

 

特に、PCの操作にキーボードが必要なのが、致命的です。キーボードを常設すると、机は一気に狭くなります。モニタのスタンドで場所を占有され、キーボードで占有され‥‥と、ダブルパンチです。

 

設定書や参考本を机にポンと置くようにして、モニタも気軽に置けたら良いのに‥‥を、まさに叶えてくれるのがiPadやFireなどのタブレットです。

 

作画机にパソコン一式を置くのは、まさに前時代的だと感じます。もし作画机にパソコン一式を置くのなら、作画机自体の設計見直しが必要でしょう。ペーパーレス時代の作画机‥‥ということです。でも、そうした作画机はまだ出現していない‥‥ですよネ。

 

なので、20年の長きにわたり、既存の作画机をどのようにして「パソコンの占領」から解放するかを考えています。現在の私の作画机のコンピュータ機器は、全てiPadとFireで構成されているので、それらを1枚2枚と避ければ、60秒もかからず机の上はクリアになります。据え置きのモニタと違って、フットワークが格段に軽いのです。掃除も容易です。

 

 

作画しつつコンピュータを使う人誰もが、一度は作画机にコンピュータを置いてみる。そして「アカンな」と思う。もっと空間を有用に使う方法はないかと模索し、各人の方策の分岐に至る‥‥と、パターンは決まっています。

 

恐ろしく軽量薄型で、24〜32インチで、ワイヤレスで、タッチパネルの4K HDRモニタが発売されれば、遠隔にパソコンを置いといて、机の上にスッキリ薄いモニタだけをスタンドに立て掛けて作業‥‥なんてこともできるのでしょうが、まあ、今は無理ですネ。

 

まあ、絶対無さそう‥‥だけど、Fire HD 16とか、iPad Pro Plusで19インチとか、大画面タブレットPCが出てくれれば、より一層、快適に作画机をセッティングできるんですけどね。

 

そういえば、iOS版のPhotoshopフルバージョンの噂が流れてますネ。そうなってくると、やっぱり今よりも大画面のiPadは欲しくなるのですが、う〜ん、iPadは現在のAppleの戦略からみて13インチで打ち止めなように思いますし、複雑なところです。

 

 


Fire、また買う。

もういい加減、買い過ぎでしょ‥‥と自分でも思うのですが、またFireを買い増しました。プライムデー特価により、8インチのコイツが税込5480円なので。

 

 

 

なぜ、また買ったかというと、一番最初に買ったタブレットの「iPad2」と初代「iPad mini」がほとんど役に立たなくなってきたからです。iOSは9で打ち止めですし、スマートホーム=WiFiコンセントの設定アプリすらまともに動かない状況なので、iOSの主要なアプリはiPhone8 PlusとiPad(=最新の無印)、iPad Proに集中して、ビュワーやアマゾン&アレクサ系アプリをFireで仕切るように、切り分けました。これを機に、iPad2などの「iOS9で打ち止めの機材は使用終了」させます。

 

 

Fireは、8と10の性能(=コスト性も含めて)が際立っています。

 

まあ、正直にいえば、iOSの使いやすさにはまるで及ばないのですが、それを補って余る、本体性能の高さと価格の安さが魅力です。何の文句もない。

 

私はFire 10を自宅と作業場に常設して、設定や絵コンテビュワーにしています。HDの解像度を10インチに詰め込んだキレのある解像感と色の美しさは、絵や写真やムービーの閲覧に申し分なしです。

 

*プライムデーの今日は、税込で10480円と、安過ぎにもほどがあります。このクオリティが1万円で買えることを普通だと思ってはいけません。

 

 

私は作画関連の作業環境をiPad ProとFireのコンビネーションへと移行して、そろそろ2年くらい経過しますが、困ったことは何もないです。むしろ、従来では考えられない柔軟な作業性の高さを実感しています。だってさ‥‥設定やコンテ一式と作画机と鉛筆消しゴムが、2枚の軽量な板に収まっちゃうんだもんネ。

 

iPad ProとFire HDの組み合わせは、かなり強力です。ぶっちゃけ、このセットで何十〜何百万も稼げる‥‥と言っても過言ではないです。

 

前回書いた「昔話」の延長線上のような話ですが、2018年はiPadやFireのような製品が恐ろしく安価に手に入る(昔と比べれば)のですから、これら現用の機材を活用して自分の能力をアピールすれば良いのです。

 

会社から与えられた液タブの作画環境に甘んじて、日々の原画や動画作業だけを「自分の画業の全て」にするのではなく、です。

 

むしろ、こうした現代の機材を駆使して、どのように「原画・動画以外の画業を成立させるか」も、絵を描いてメシを食う人間なら、考えないとダメだと思います。

 

せっかく、今の時代に生きているんだもん。「時代性」を賢く利用すべきです。

 

 


昔と未来の長話

アニメーターの低賃金の話題は事欠きません。最近も「アニメ業界を辞め時」云々のツイートや取材記事がありました。

 

そうした記事は、私が20年以上‥‥いや、30年前にハッキリと認識した状況を、代弁しているかのような内容です。ネットのインタビュー記事で書かれている「制作構造に問題がある」との指摘も、全く異論なく同意です。30年前の当時、フリーアニメーターだった私は、作品の要求内容に応えようとすればするほど、まさに、どんどん貧乏になっていく生活を体験しました。‥‥体験とか言うとライトな感じですが、インフラまで止まるような生活は今思えば破綻そのもの‥‥でした。

 

特に私はメカ・エフェクト系の作画を得意として引き受けていたので、カット内容は大変なのが普通ですし、いざとなればクオリティは二の次にされる(=スケジュールがない場合、キャラのカットの品質を優先する)‥‥と、日々、ココロに闇が出来ない人のほうが異常と言っても言い過ぎではないです。

 

じゃあ、なぜ、私が潰れずに生き残ったのか‥‥は、私がダメになりそうな場面で、作品制作で起用してくれた監督さんやプロデューサーさんの存在、そしてMacintoshとPhotoshopの出現でした。

 

ここで「コネで生き残れたのか」と咄嗟に思う人は、実は何もわかっていない人です。おそらく、会社勤めだけでフリーランスの経験などないのでしょうネ。「コネ」なんて単なる「出番待ちの繰り上げ」くらいのことで、潜在能力や実力がなかったらコネがいくらあっても先には繋がりません。監督さんやプロデューサーさんが、この人に仕事を頼もう‥‥と思うきっかけは、その人に「何かある」「何かできる」と直感するからです。年功序列や会社組織の都合ではないです。

 

そして、自分の能力を飛躍的に拡張する道具との出会いは、セレンディピティと言っても言い過ぎではない‥‥とも思います。

 

 

私はフィルム時代から「自分の作ってみたい映像」のイメージボードを仕事絡みでも自費でも描いていましたが、その時は一眼レフカメラ(=もちろん自前)をコピースタンド(これも自前)に装着し、水彩で描いたイメージボードをフィルム撮影して現像してプリント(これも自前)して、仕事仲間や監督・演出さんに見せていました。

 

普通に考えて、そのカメラ代、現像代を、全部生活費に回せば、多少は生活を持ち直せたかも知れませんが、正直、「焼け石に水」だと思っていました。なんとか切り詰めて捻出した水を、焼け石に振りかけたところで、冷えるわけがなく、どうせなけなしの水を使うのなら、未来に繋がるようなこと、夢を実現できそうなことに使おうと思っていました。

 

焼け石にわずかな水を垂らすよりも、自分の見つけた1つぶの種を土に埋めて、そこに水を垂らすほうを、選択したのです。

 

でも、どんどん追い詰められていきました。極端な時は、電気水道ガス電話、全てが未払いで止まったことすらありました。

 

そんな中、貧乏を共に歩んできたような間柄の監督さんが、制作会社のMac(7100くらいだったと思う)でPhotoshopをいじらせてくれました。私の写真ボード(=イメージボードをフィルム撮影してプリントしたもの)をスキャンしてくれていて、「江面くんのボードをPhotoshopで見ると、こんな感じだよ」とMacとPhotoshopで触らせてくれたのです。

 

イジってすぐに、「トーンカーブだけでも色々な仕事ができる」と思いました。私がゼラチンフィルタ(カラーフィルタ)や軟焦点フィルタでEOS100で撮影していた内容がいとも簡単にPhotoshopで実現できるばかりか、それ以上のことが山ほど可能になるであろうことに、「これならいける」と未来を確信しました。1994〜95年くらいのことです。

 

MacOS(当時は漢字Talk)のことは全くわかりませんでしたが、Photoshopの操作内容は、絵具やカメラでやっていたことを移し替えれば良いだけでしたから、すぐに馴染みました。

 

おそらく、私が原画だけを描くタイプのアニメーターだったら、Photoshopをイジらせてもらうような事もなかったでしょう。原画の作業が終わって帰宅した後に、日本画水彩(という絵具がお気に入りでした)で着彩したボードを描き、「生のPhotoshop」みたいなことをして撮影&現像プリントし‥‥ということを、諦めずに続けていたことが、セレンディピティ的な出会いを生み出したと実感します。

 

もしかしたら、Mac&Photoshopとの出会いが1年遅かったら、手遅れだったかも知れない‥‥とすら思える、ギリギリの状態でした。

 

 

 

では、すべての人にセレンディピティは起こり得るのか?

 

多分、起こり得ません。与えられた仕事をこなし続けるだけでは、可能性の範囲も広がらず、「偶然のような必然」が範囲に入ってこない=網にかからないからです。

 

じゃあ、突飛な行動すれば良いのか? 多分、それも不正解です。あくまで、自分の能力をエクスパンド(拡張)する新機軸を実践することが求められます。

 

なぜかというと、突飛なことをしても、その出来栄えがよくなければ、周囲の人々の琴線が共振しないからです。自分の得意分野や、過去に手応えがあったことを、アニメの作画作業とは「別枠」「別手段」で実行し、周りの同意や共感を呼ぶことが重要です。独りよがりじゃダメなんです。

 

人の繋がりは重要ですが、コネだけで生きていけるほど、技術系・技能系の仕事は甘くありません。「コネ」の役割は、自分の能力を周囲に知ってもらうだけの一時優先機能に過ぎません。能力の低い人がコネで繋がっても、その繋がりはあっけなく切れます。

 

捉えどころがない話‥‥だとは思いますが、要は計算し過ぎてもダメで、計算しなさ過ぎてもダメなのです。他の言い方をすれば、必然性を高める行動と、偶然性を高める行動の、2つが同時に必要‥‥とも言えます。

 

で、多くの人は、必然性と偶然性のどちらも高めようとはしない=日々の仕事を終わらせればそれで良いと思っているので、状況を変える幸運な何かには出会えず、業界の趨勢に呑み込まれていくばかりです。

 

 

 

では作画作業の未来、アニメーターの未来はどうか?

 

私は今までの「作画の仕事」だけでは無理だと考えています。どう考えても、効率が悪いです。

 

あくまで私の考えやビジョン‥‥ですが、アニメ作品のアニメーターの定義は、いったん、ゼロにバラして、「絵を描いて、動かす人」という原理に戻って、再構築すべきです。昔の流儀を継承したら、おそらくお金の流儀も継承して、貧乏も継承するでしょう。

 

「デジタル作画」は、すなわち、今までの作画作業を、ペンタブに置き換えた内容ですが、単に道具やシステムの移行であって、作画作業における根本的な構造悪をなんら解決していません。ゆえに、「デジタル作画」に移行しても、労働的な明るい未来は訪れないと、私は考えます。

 

「そんなことはない。デジタル作画に移行することで、作業効率もアップし、報酬の問題を解決できる。」と考える人も多いでしょう。全員を社員として雇用するか拘束制にして、単価制を廃止すれば、カット毎の内容の格差も払拭できる‥‥と。

 

でも、その運用の試算って、あくまで2K8fpsSDRの話‥‥ですよネ。未来の高品質映像フォーマットに対応することは、ほとんど何も計算に入れてないでしょ。今のアニメが「それでも何とかなっている」のは、2K(実質は1.2〜1.5K)で3コマうち=8fpsだからです。

 

アニメの現場が、たとえ「デジタル作画」で多少効率化できても、新しい映像フォーマットに対応しようとした途端に破綻します。社員雇用、もしくは拘束料金で作画作業を依頼しても、新しい高品質対応にしたら、カットUP数/時は確実に下がります。一方で、その下がった効率を相殺できるほど、制作費は上がらないでしょう。

 

確実に未来の映像フォーマットは高品質化します。過去の技術進化の歴史を振り返れば、永久停止したことも、先祖返りしたこともないのですから。

 

つまり、アニメの2K24p基準(実質は1.5K 8fps)が世間的に時代遅れになるのは確定している‥‥と言っても過言ではないでしょう。

 

ですから、アニメーターいち個人としては、旧来意識の「デジタル作画」にも当座は対応しつつ、「絵を動かす」という本質に戻って、その本質から派生する「新しい」作業で仕事を得ていく必要があるでしょう。原画と動画の作業段取りだけがアニメの全てではないことを、思い出すべきです。これだけ酷い目にあってきた旧来の原動画システムに、まだ忠誠を誓う必要、あるんでしょうかネ?

 

 

 

私らの進める新しいアニメーション技術は、4K60pHDRが基本です。「何コマうち」なんていう旧来の枚数稼ぎの手法は根本的に必要ありません。「何コマ止め」という意図したポスタリゼーションは作画技術として使うことがあっても、エコノミー目的の2コマ3コマ作画は無用です。

 

未来に必要なのは、原画&動画の枚数節約テクニックでもなければ、フィルム時代の美学でもないです。あくまで、4K以上の高密度画素のキャンバスで、24コマフルモーション以上の動きを駆使し、HDRの美麗な色彩で彩る、新しく美しい世界の価値観と認識です。

 

4K60pHDRで何を作ったら良いかわからないのなら、未来に進むのは諦めて、過去の世界で生きる術を探しましょう。文字に踊らされる事ほど、愚かなことはないです。

 

アニメだって、映画やテレビ放送など近代技術を味方にして出現した時に、それまで存在した子供向けの娯楽を散々駆逐して台頭したわけでしょ? ‥‥で、今度は新しい技術ムーブメントに同じことをされる番‥‥というわけです。

 

何の意識変化もなく、キャンバスサイズを3840に設定したところで、未来のアニメーション像は見えはしません。

 

「そうか。アニメーターって、絵を動かす職業だったよな」と原点に戻って、そこから仕事を創出していく意識があってこそ、未来のアニメーション像も浮かび上がって来ます。

 

 

 

今までの方式や慣習を継承する以上、アニメ制作は逆風ばかりで、未来はもっと強風となるでしょう。でも、私は逆風を文字通り「逆手」にとって、一方では新しい技術を新しい味方につけて、一層、アニメの可能性を広げていこうと思います。

 

セレンディピティ‥‥なんて言葉、実はあまりホイホイ使いたくはないのですが、実感として、これから先の数年は、10年前の「レッドオーシャン化」とはケタが違う、20〜30年規模の大転換期ですから、セレンディピティ的な何かと遭遇しなければ乗り越えられないように思うのです。

 

 

私が昔から好きなワッツの絵画があります。両目は光を失い、竪琴はいまや弦1本だけ切れずに残っています。これは死の寸前の「絶望」でしょうか。それとも、全てを失う中でみつけた「希望」?

 

絵画で描かれる女性の、耳を弦にあてて、微かな響きを聴き取ろうとする姿は、私を勇気づけてきました。女性の表情は、悲しげというよりは、「何か」を感じ取った表情‥‥にすら思えます。

 

ありきたりな美談でまとめられるはずもないです。ただ、福音は、音を聴こうとする者だけにしか聴こえない‥‥のは、経験上からも確かなことだと思っています。

 


iMac 5K、4年。

自宅のiMac 5Kのローンがあと数ヶ月で4年満期を迎えます。購入した4年前=2014年は、MacBook Proも同時期に購入したため、Appleローンの月額を抑えるために期間を4年で組みました。購入当時は「4年目はそれなりに古いマシンになってるんだろうな」と思ってましたが、性能で不満を感じることはなく、自宅用途では十分現役です。

 

一方、作業場のiMac 2.5Kの2012、Mac Proの2013は、もはや色々な面で古さが隠せず、特にiMac 2.5K Late2012は、その画面解像度により、フォントがぼやけて見えるので、肌身で古さを実感します。しかし、計算端末としてはまだ有用なので、「もうアカン」と限界の時まで、使い倒す所存です。

 

来週には本格的に作業場の主要モニタを4K環境へと移行し、公私ともに4Kがデフォルトになります。ここ数年は、自宅は4〜5Kでも、職場は2Kという「スペック逆転」現象が起こっていましたが、ようやくそれも解消され、波形モニタやレンダリング端末でもない限り2.5K以下のモニタは引退となります。

 

ご家庭向けテレビも、もはやわざわざ2Kを買うこともないほど、4KHDRテレビの価格は下がって来ています。でもまあ、自宅の2Kテレビが正常動作しているのなら現時点では無理に買い換えることもなく、液晶の寿命がそろそろやって来る頃に4Kに切り替えれば良いでしょう。

 

iMac 5Kのi5モデルだと、20万円以下でAmazonで買えるようです。メモリは後から交換&増設して64GBにできます。

*私は色々とカスタムして買うので、購入するのはAppleストアばかりです。i7にしたり、ビデオカードのランクを上げたり‥‥と。

 

初代iMac 5Kが、今でも現役足り得るのは、私の実感ですと、

 

  • i7で4.0GHz動作のCPU
  • 32GBメモリ
  • とりあえず速度的になんとかなるFusionDrive
  • 5Kの解像度

 

‥‥のあたりです。購入当時、iMac 5KをBTOでカスタムしておいたのが、功を奏しました。もうしばらく=2〜3年は、自宅のパソコンを買い換える出費が抑えられる‥‥ということですネ。これは嬉しい誤算です。5年が買い替え時期だと考えていたので。

 

やっぱり、私のiMac 5Kが2014年の4年前のモデルでも「じゅうぶん現役感」を醸し出しているのは、5Kのモニタ解像度です。コンピュータはたとえターミナル操作でも、必ずテキストフォントは目に映りますから、CPUやメモリよりも、日頃の威力はデカいです。

 

2〜2.5Kの画素密度の低いモニタは、字がぼやけて見えるため、老眼の影響じゃなくてもまるで老眼で見たようなニュアンスに感じられます。4〜5Kに慣れてくると、2〜2.5Kのうっすらボケているのが、明確に意識できるようになるのです。PCモニタと比べると、同じ2K解像度クラスのiPhoneやiPadでも、画素密度が高いので(=小さい画面にPCモニタと同じ画素を詰め込んでいる)、全然テキストのカッチリ感が優れてますもんね。

 

画業で言えば、むしろ鉛筆を使って絵を描いている人ほど、4〜5Kの世界がぴったりなんですよネ。紙に鉛筆で描いた絵のスキャン画像をiMac 5Kのモニタに映し出すと、生々しいほど、自分の描線がリアルに表示されます。2〜2.5K程度のモニタでは、その画素密度の粗さから、鉛筆画のニュアンスなんて表現できていなかったことが、つぶさに見てとれます。もちろん、線を二値化をしたら台無しなので、階調を保ったまま扱う必要がありますが、生々しい鉛筆の黒鉛の筆致・ニュアンス、描いている当人の筆運びや感情までも克明に表示する4〜5K解像度の世界は、2〜2.5Kのモニタでは全く味わうことのできない境地です。


一方、ペーパーレスにおいて、私の映像制作上の価値観を近年大きく変えたのは、iMac 5KとiPad Proに他なりません。紙と鉛筆がなくても、十分、未来を切り開けると確信できたのは、iMac 5KとiPad Proの存在あってこそです。もはや紙と鉛筆による2K24pは私にとっては過去に過ぎず、新時代の映像制作技法と高度な映像品質が自分の生きる道と心得ます。3〜4年前に導入したiMac 5KとiPad Proは、品質の意識を大きく塗り替えてしまいました。どうせ描くのなら、どうせ作るのなら、2K24pSDRじゃもったいない、同じ苦労をするのなら、4K60pHDRで作れば、その先の様々な展開や発展も引き寄せられる‥‥と考えるようになりました。

 

 

世の中には、高いお金を出しても、所有欲だけしか満たせない物品も多いです。自分の人生の未来を変えてしまようなチカラを、高級な時計も自動車も与えてはくれません。‥‥まあ、少なくとも私にとっては、ですが。

 

iMac 5Kの価格では、今どき、125ccのバイクを買うのがやっと‥‥かも知れませんが、絵や映像を作る人間にとって、30万円そこそこのiMac 5Kが与えるチカラは、当人の情熱次第で計り知れないものとなりましょう。

 

私がしみじみ思うのは、3〜4年前に、ホントに良いタイミングで、iMac 5KとiPad Pro&Apple Pencilが発売された事です。私はAppleがどのタイミングで何を発売開始するかなんて与り知らないわけで、次世代品質のアニメ制作技術を模索していた最中に、決定的な道具が「意図せず偶然のように」現れたのです。‥‥ある意味、セレンディピティに近いです。

 

私は22〜24年くらいまえに、同じような「セレンディピティ」チックな体験をしているので、今回のムーブメントも「サイクルがひとまわりしたんだ」と感じました。After EffectsのloopOut("cycle")で言えば、ループの先頭に戻るタイミングですネ。

 

偶然のようで偶然じゃない、必然ではないように見えて必然だった‥‥という体験を指して、ものすごく大雑把に言うと、「時代性」と呼ぶのかも知れません。思うに、時代性とは、意図したことが意図しない繋がりを経て、やがて意図したかのような結果を導き出す「必然と偶然のsuperposition(重ね合わせ)」を事実として体現したもの‥‥なんでしょうかね。

 

 

まあ、そういうややこしい話はおいといて、iMac 5Kが2014年の秋に発売されて、もうそろそろ4年。iPad Proと相まって、「次世界への列車」に乗り込む、まさに「切符」のような役割だったと思います。

 

列車にのって、どこにいくか、お楽しみはまだまだこれから‥‥ですネ。

 

 


昔話と今と

私が小学生の頃、全国的に流行った宇宙戦争アニメの劇場版がありました。特定の作品はあーだこーだ言わない主義ですが、もう40年も前の話だからいいよネ。

 

で、その特集本「ロマンアルバム」を今になって読むと、子供の頃にはわからなかったことが、業界で仕事するようになると「しみじみ」わかるようになります。

 

特に驚くのがスケジュール。

 

3月後半にコンテUP。4月から作画開始。ふむふむ。

 

8月全国ロードショー。

 

ぎゃふん。

 

 

‥‥なんだ。この頃=1978年から、こうだった‥‥のか。

 

この頃は当然、紙の作画、紙の背景、セル用紙とセル絵具のペイント、フィルム撮影(=つまり現像プロセスが必須)とフィルム編集です。上映フィルムを上映館分複製して全国に届ける手間もあります。今より、格段に時間はかかったはずです。

 

とは言え、ロードショーまで3ヶ月しかない制作期間。かなり、「スケジュールのつじつま合わせ」に苦労したはずです。線の多い宇宙戦艦はもちろん3DCGではなく手描きと手塗りです。

 

全ての作品が「そうだった」わけじゃないと思います。しかし、40年も前から「そうだった」作品が存在したことは、皮肉にも作品の素晴らしさを伝える役割の特集本・ムック本で今に伝わっています。

 

まあ、普通に考えて、3ヶ月で劇場アニメがまともに作れるわけないよネ。では何が犠牲になっているかというと、品質です。現在のチェック基準だと、半分はリテークになると思いますヨ。振り向いた後でクチパクだけ残して宙に浮いてるし、セリフのシートミスでキャラは挙動不審な動きになってるし、今だと何が何でも絶対に直すリテークがそのまま劇場に流れています。

 

1978年の家庭用録画機も円盤再生装置もない昔だから許された品質と言えましょう。‥‥2018年の今は、DVDやブルーレイになって、リテークすべき内容がつぶさに見えちゃいますけどネ。

*家庭用録画機は、1978年でもかろうじて存在していたと思いますが、相当珍しい(=高価)な家電でした。

 

毒色の駄菓子、不衛生な繁華街、通学路に貼ってあるポルノ映画のポスター‥‥と、雑な時代の雑な基準は、現代では通用しません。

 

しかし、アニメ制作のスケジュールは、40年経った今も同じか、それ以下です。

 

40年前とは比べものにならないほど、複雑になったキャラを丁寧に仕上げるのですから、「デジタル」で絵具の乾燥時間が消滅したところで、相殺できるどころか、どんどん辛くなっています。

 

作画を実際にやってみれば、わかりますよネ。ちゃんと描こうとすると、いまどきのいキャラの顔を描くのにどれだけ時間がかかるか‥‥が。

 

 

 

しかし、品質の基準を昭和40年代、1970年代に戻すわけにはいかないのが、2018年の現実です。

 

だったら、2018年なり、2020年代なりの、新しい方法を作り上げなきゃダメですよネ。

 

複雑なキャラを何千枚も描いてて、「苦しい」「お金が稼げない」なんて、当たり前なんですヨ。4Kになったら、もっと苦しくなるのは目に見えますよネ。

 

でも、皆が皆、ミッフィみたいなキャラでアニメを作るわけにはいかんでしょ。日本のアニメがなぜ世界で評判になったのか、ちょっと考えれば、「複雑絵柄路線」からは逃れられないのはお判りのはず。

 

ディテールを描写した線の多い絵柄で、4K60p、8K120pの未来を切り拓くのは、決して今までの延長線上の制作技術ではないです。ごく普通に、理屈で考えればわかることです。

 

 

 

少なくとも私の年齢で持ち得る記憶で言えば、アニメ業界の根本的な問題は改善されることなく、今まで踏襲され続けてきただけでなく、悪化の一途を辿っています。どんな業界団体が存在しようと、根本的に何も変えられなかったのは、事実として潔く受け止めるべきでしょう。

 

「ここままじゃいけない」「何とかなるといいですね」と何万回ツイートしたところで、状況は何も変わらないことも、ツイッターが登場してから今までの経緯で証明しています。

 

結局、自分たちの現場を、自分たちで変えていくしかないのです。他人の現場なんて変えられないですよ。ましてや業界全体なんて。

 

「うまくいかなかった」ことを何度も繰り返すよりも、「うまくいきそうなこと」を新しく始めた方が良いんじゃないですかネ。

 

 


4KHDRと言っても

4K HDRのモニタが随分と安く売られております。ただ、映像制作に必要なスペックは満たしておらず、何よりも致命的なのは、PQカーブに対応できるプリセットを持てない点です。

 

HDMI経由で信号の中にメタデータが含まれる場合は対応できる‥‥との製品もありますが、その仕様では制作現場ではNGなのです。配信データと同等の信号を、PC/Macのディスプレイ出力から(簡単には)送出できるわけではないので。

 

ディスプレイポートで4K60pかつHDR PQの信号の運用をどうするか。

 

う〜ん。金がかかる方法しか今は存在しない‥‥みたいですネ。

 

 


新型MacBook Pro、46万。

新しいMacBook Proが発表されましたネ。

 

 

 

私はMacBook Proはあまり必要としないので、買うことはないですが、怖いもの見たさにカートに入れてみました。

 

15インチモデルをベースに、Core i9、32GBメモリ、1TB SSD‥‥という映像制作に必要なBTOをカマしたら、

 

税込46万円。

 

 

高い‥‥ねえ‥‥。

 

まあ、CPUはi7で我慢したとしても、32GBメモリと1TBのSSDは必須です。2020年代の映像制作では32GBだって足りないくらいだし、512GB SSDでは、色々なライブラリを入れたらすぐに半分消費しちゃうだろうし、キャッシュの置き場を考えると1TB SSDは必須です。

 

46万。

 

なんだかもう、お金の感覚が麻痺してきちゃったよ。ボクは。

 

 

こんだけ高いんだもの。内部のSSDは、実測で2000MB/s(=16GBbps)くらいは出て欲しいよねぇ。公式発表では3.2GB/sを謳っていますから、実際にiMac Pro並みの速度(3000MB/s近く)が出るのかも‥‥知れませんネ。

 

46万円も出すんだから、そこらへんの安いパーツで構成したノートPCとは歴然とした性能差が出てないとアカんですわな。

 

 

ちなみに、私が使っているのは、2013年あたりのMacBook Pro 15インチです。去年あたりにローンが終わりました。

 

私は、もうよほどのことがない限り、MacBookは買わないと思います。iCloudとiOSの連携によって、持ち歩きはiPad Proで充分ですし、そもそもMacBookじゃ直に絵は描けないですからネ。職業ゆえの選択です。

 

おそらく、実写畑の人は、今後もMacBookは必要になるように思いますし、デスクトップ機にひけをとらない性能によって、対費用効果は充分あるでしょう。

 

i9の6コア12スレッド(たぶん)、32GBメモリ、高速なM2の内部SSDを1TB、15インチのRetinaかつP3‥‥と、映像制作には充分ですが、やっぱり46万は強烈だわぁ。

 

 


外からじゃわからないから

アニメ作品に対して「XXXの出来はイマイチ」「XXXは、OOOと***を足して2で割ったような作品だ」「今回のXXXはひでーな」みたいなのをツイッターとかでカジュアルに呟いちゃうのって、ファンなら全然構わないけど、同業のプロの人間がソレをするのは中々ビミョーだと思います。実名で名指しで‥‥はネ。

 

実際、映像を見て、スタッフクレジットを見れば、大体のことは察しますが、どんなことが実際に起こったかまでは想像の域を脱しませんし、さらには、明日は我が身かも知れません。

 

忖度しまくれ!‥‥とは思いませんが、自分の過去の辛い体験に照らし合わせれば、同じようなことがおこったであろう作品やスタッフを、実名を挙げて、ライト感覚で嘲笑する気にはなれないです。たとえ、それが軽いノリの軽い言葉であっても。

 

例えば、作画崩壊はどうすれば防げるのか、なぜ、そうなったのかを、思考したり議論するのはアリだと思います。プロの現場の問題としてネ。

 

でも、実際に作画崩壊を招いた作品そのものを揶揄する気にはなれんわ。

 

 

ツイッターは軽いキモチで発言できるから、内輪の雑談と勘違いする人も多いのかも知れません。しかし、あくまで全世界に公開される「公言」「公式の発言」ですからネ。

 

この先、アニメ業界はどうなっていくんだろう‥‥と思いを馳せることはあっても、「あの作品はイマイチだった」「あの作品は面白くなかった」みたいな素人さんみたいな発言は、少なくとも私は控えるようにしてます。同業のプロとして、そんな発言をする気にはなれないですもん。

 

もし、他人の作品を「面白くなかった」と思ったのなら、自分の作品制作に昇華すれば良いだけですからネ。

 

 


インストラクター

新たに技術を導入する際に、インストラクター的な立場の技術者や経験者の存在は、非常に重要だと思っています。インストラクターの質が、まるでその技術本体の質のように受け取られるからです。

 

インストラクターとはWikipediaによると、

 

インストラクター(instructor)とは、工業技術、スポーツなどの分野に於いて様々な指導を行う立場の者をさす。

 

‥‥だそうです。とても重要な役職‥‥ですよネ。特に技術の導入期においては。

 

アニメの技術、特に描画に関するソフトウェアの場合、単にソフトウェアの使い方だけを知っているだけでは、有能で指導的なインストラクターにはなり得ません。インストラクター本人の画力と経験は、ソフトウェアの有用性を実証する上でも、とりわけ不可欠です。

 

どんなにスペックを暗記しても、マニュアルやヘルプを暗記しても、描画系ソフトウェアの場合は、「実際に何を描けるか」に対して人々は注目するので、インストラクターが描いてみせる絵は、そのままそのソフトウェアの印象として受け取られます。これはもう、20年も前から同じ傾向なので、今後も同じでしょう。

 

描画ソフトウェアではないですが、After Effectsがアニメ業界で台頭して、コアレタスが事実上死滅したのは、「映像表現の印象」が決定的にユーザに作用したからだと感じます。After Effectsのメーカー(=Adobe)での宣伝映像や画像は、「こんなことができるようになる」とそれまでのアニメ撮影とは一線を画した表現にあふれていましたが、コアレタスは「再現できます」「今までと同じことができます」スタンスに終始して、しかもサイトで掲載していたサンプルはお世辞にも「未来を感じさせる内容」ではありませんでした。2000年前後の話、です。

 

同じことが、2020年前後に、作画セクションで起こるように思います。作画に用いるソフトウェアが、実際にどんな表現をアピールするか、そして、その未来の可能性を印象付けるか‥‥です。

 

現在、幅広くクリスタが支持されているのは、やはり、サイトのデモ画像が美麗であることと無縁ではないでしょう。クリスタを使えば、こんなことができるようになるんだ、と思えるサンプル画像の数々は、これから何を導入しようか迷っている人にとっては大きな印象を与え、強い指針となり得ます。そして、あの月額(今でも500円?)が決定的に人を動かします。

 

TVPaintに関して言えば、その昔「Aura」の名で呼ばれていた頃から、恐るべき画力で様々な画風で使いこなしていたアニメーターさんがいますが、そういう手練れの人たちが他人が羨むような絵を描いてデモするようになると、流れは大きく変わるかも知れません。Cacaniも内容の良さそうなソフトウェアですが、アピールの印象はあくまで機能説明に終始しているように感じられます。

 

物事を動かすのは、細かい機能解説の数々ではなく、圧倒的と言えるほどの大きな印象です。

 

もう散々、いろいろな「フォーマット戦争」で経験して来たこと‥‥ですよネ。細かい機能のアピールが勝敗を決したか? 否!‥‥です。

 

じゃあ、大きな印象って、結局、何?‥‥って、それは当事者たちでその「印象の実体」を作るしかないです。それがまさに、「ものつくりの戦い」なのですから。

 

 

 

思うに、ソフトウェアのインストールベースや普及の趨勢だけでなく、アニメ制作会社の未来も、インストラクションで変わってきます。インストラクターの質が低いと、その会社の「技術の質」も停滞するのです。

 

通り一遍の機能をレクチャーするだけの「人間マニュアル」のような人材が、ソフトウェアの使用法の基準になってしまうと、「基礎の先にある応用技術」に到達するまでに多くの時間がかかってしまい、発展のチャンスを逃し続けます。基礎が出来上がってくると、応用がとんとん拍子で面白いように発展するのが、まさに技術の醍醐味ですが、そうしたことがインストラクターの質が低いことによって阻害されるのです。

 

とはいえ、ソフトウェアの使い方や機能を知っているだけでインストラクターが務まるのは、技術移行期の極初期だけです。現場の人間は、やがて基本的な使い方や機能をマスターしていくわけですから、そうなれば、質の低いインストラクターは存在意義を喪失します。

 

ですから、インストラクターはある種、エヴァンジェリストのような役割も担って、どんどん更新される技術内容、どんどん台頭してくる新しい技術を、現場に広めることが主として必要になりましょう。アニメ制作現場の場合、その普及の実践段階において、描画ソフト系インストラクターは画力を宿命的に求められます。

 

では、アニメ制作現場のインストラクターが成立するのは、どのような状況でしょうか。

 

実際、「そのソフトでどこまでできちゃうのか?」を掘り下げるのは、その当人の表現力に依存します。つまり、絵が描けない、映像のイメージが希薄、映像が頭の中で動いていない人は、ソフトのポテンシャルを「チュートリアル程度」にしか引き出せないので、リアルな現場のインストラクターとしては役不足です。

 

ソフトウェア開発者自身すら驚く「そんな使いかたまで出来たのか」というレベルまでソフトを使いこなすのは、第一線の表現者・作業者です。基礎を終えて応用まで到達するのは、実際に作品制作で凌ぎを削って生き残った、キャリアを積んだ当事者です。

 

ということは、アニメの現場に有用なのは、インストラクターかつエヴァンジェリストで、最前線の作業者として活躍している人間‥‥となりましょう。要は、現場の技量の高い人間が、若年の人間を指導する‥‥ということです。現実的な経験を積んだ一定以上の技量を持つ現場の人間が、インストラクターを兼任する‥‥ということに落ち着くでしょう。

 

‥‥あれ? それって、「善き現場」の復興‥‥ですよネ。

 

 

 

思うに、現場が幼くて不安を抱えている時こそ、曖昧なインストラクター的ヘルプを必要とします。しかし、それは「自分たち自身で、必要な技術を体得するんだ」という覚悟を先延ばしにする温床にしかなりません。なんだかコンピュータは難しいっぽいから、誰か知ってる人、助けて‥‥なんていう弱腰が、いつまでたっても「乳離れ」できない幼い現場に留め続けるのです。

 

特にアニメーターにありがちな「コンピュータ苦手意識」は、アニメーターがコンピューターネットワーク時代に「ひとりだちできない」大きな原因です。

 

以前、コンピュータの知識がない‥‥というだけで、いかにも不利益で不毛な現場の未成熟状態を、私は経験しました。画力の高いプロフェッショナルな人間たちが、コンピュータの知識が乏しいというだけで、低い発達状態のまま停滞していました。

 

コンピュータを用いた制作現場において、それらコンピュータ関連機器を取り使う人間の意向に、作品表現が従属しなければならない状況は、あからさまに、構造悪だと思いました。

 

しかし一方で、コンピュータの知識がなければ、映像デジタルデータ時代の作品作りにおいて、作家性や絵画表現力を発揮することは難しいです。

 

構造悪は、自分の「コンピュータって難しいからわからないや」という甘えも、大きな原因だったのです。新しい時代の作品作りには、作家性、絵画表現力、そしてコンピュータの知識を、全て兼ね備えることが必要です。

 

コンピュータ音痴を自嘲的に自分のステータスとして気取っているのは、未来の映像制作からの脱落と逃避を意味します。

 

コンピュータをどんどん知って、コンピュータのシャーシが軋むまで使い倒して、今までとは別次元の作品表現を成し遂げる、まさに「コンピュータ時代の映像表現の体現者」として、制作現場の人間は成立すべきです。そのくらいの気迫を胸に秘めても、バチはあたるまい。

 

 

ちなみに‥‥、私の作業場の傍には、「フランケン」と呼んでいる、ボロボロのiMac(Late2012)が現役ですが、iMac Proを導入した今でも、最後の最後まで使う所存です。

 

まあ、私にとって頼りになるのは、中途半端な技量のインストラクターではなく、リアルな現場の仲間、そしてコンピュータそれ本体‥‥ですからネ。

 

そして、別立てでインストラクターを用意するまでもなく、頼りになるリアルな現場の仲間が、良質な「専門分野個々のインストラクター」足り得るとも思っています。

 

 


プログラムの入り口としての表計算

昨日、表計算で「COUNTIF」と「SUMIF」を思い違って暫くうんうん悩んでいました。私はスクリプトや開発言語で色々とやってきましたが、実は表計算は必要に応じてのみ使っていたので、板についた感じがまだ無いのです。表計算を使いこなせるようになると、面倒な計算と集計が綺麗さっぱり正確に導き出せるので、覚えて損はないですネ。

 

現在、アニメ業界の20代の若い人が、単にソフトウェアの使い方や機能を覚えるだけでなく、自分で「プログラム的な」ことを覚えようとした時、何が「入口」としてふさわしいか。例えば‥‥

 

After Effectsを使っているのなら

→エクスプレッション

 

コンピュータ全般なら

→表計算の関数

 

‥‥のようになるんじゃないスかね。

 

自動処理といっても、Photoshopのアクションではプログラムは一向に覚えられません。ソフトウェアの内部的にはともかく、ユーザ側から見れば、ただ単に操作を記録しているだけに過ぎないですからネ。

 

自分の望む結果を、マウスとキーボードの操作で直に反復作業するのではなく、命令文・スクリプト文を作成して自動処理するのは、コンピュータを使う最大と言っても良い利点です。コンピュータを使って仕事をするのなら「プログラムの基礎知識は常識」にすべきです。

 

では、「自分の常識」にするには、何をどうすれば良いか?‥‥といえば、「日頃から使えば良い」のです。詰め込み暗記ではなく、日常の雑事で表計算を使えば、自分の欲する結果をプログラム的スタンスで得る方法を学べるし、日頃のちょっとした集計の計算も間違わないし、表計算ソフトを使いこなせるようにもなるしで、一石二鳥、三鳥です。

 

例えば、コンポジットの担当カットを振り分ける時に、表計算を用いれば‥‥

 

‥‥のような表が、自動集計機能で作成できます。

 

通し番号は「ROW()」で、カット番号も数字のみの場合は「ROW()」で、条件付き書式(または条件付きハイライトとも)で担当者別に自動で色分け、各担当者の集計は例えば「Aさん」なら「COUNTIF(C$2:C$37,"=A*")」で自動集計、担当カット数の集計は「SUM()」や「SUMIF()」で、カット総数と担当カット数が一致しているかは「IF()」で検証‥‥など、ほとんどを自動処理で集計できます。

 

私はNumbersで作成しましたが、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも同じことができます。関数の内容もほぼ一致しているので、Numbersで覚えたことをGoogleスプレッドシートでも活用できます。

 

表計算は表作成ソフトではないです。あくまで、表の中身を計算するソフトですので、関数を使いこなしてナンボです。

 

ExcelもNumbersももってないのなら、ロハ(「ただ」=「只」=無償‥‥というのは少々不適切ですがあえて)のGoogleスプレッドシートを使えば良いですから、コンピュータを使うほとんど全員が使えるはずです。日頃の暗算では面倒な計算を、さっと表計算のSUM()で計算すれば間違いのない結果が得られますし、後々に品目の価格や個数を修正しても計算し直す必要なく、自動で更新されます。

 

 

何よりも有用なのは、「地道に手作業で潰す」概念から解き放たれ、「構造を考えて作る」概念が自分の中に生まれることです。

 

表計算のセルに、1000カットものカット番号を根性で手打ちで書き込んでも、全くもって凄くも偉くも何ともないばかりか、愚かですらあります。1行1カットならば、行番号をうまく活用して、abcカットだけ手打ちにすれば良いのです。

*ちなみに桁を3桁で揃えたい時は「RIGHT(ROW()+1000)」とかにすれば、1001の右3文字だけ抜き取って「001」にしてくれますヨ。

 

以前にも書いたことですが、コンピュータを常用する仕事において、プログラム的発想の頭脳を持つか否かで、色々な意味での貧富の差が変わってきます。時間を貧しく使い捨てることは、すなわち、手にするお金も貧しく捨てている‥‥ということです。

 

その貧しさは、アニメの本質である「絵を描くこと」すら蝕みます。コンピュータをうまく駆使できない人間は、絵を描く時間をコンピュータの雑事に蝕まれ、絵の質が落ちるか、不眠で作業するか、残念な結果を招く‥‥ということです。

 

コンピュータのプログラムなんて「ある程度までは」大したことないです。‥‥だって、覚えりゃ、使えるようになるんだもん。無理だ‥‥と思う人は、「プログラム」という単語のイメージに戦う前から負けているだけです。‥‥日本語を覚えられたのなら、プログラム言語の基礎なんて楽勝ですヨ。

 

覚えないから、使えない。‥‥ただ、それだけです。

 

高度なプログラムを書こうというのなら話は別ですが、日頃の雑事を軽減する程度のプログラムの嗜みは、「身の丈」視点で覚えていくのが良いのでしょう。

 

プログラム習得のきっかけは何が良いのか、昔から色々言われてきましたが、今は無料のGoogleスプレッドシートもあることだし、表計算の関数使いこなしが、ちょうど良い‥‥のかも知れませんネ。

 

 

 



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